不忍ブックストリートに大事件発生!?

『旅の仲間 瀬田貞二追悼文集』を拾い読みしているうちに、いろんな発見があり、腰をすえて最初から読む。没後に、ライフワークだった『落穂ひろい 日本の子どもの文化をめぐる人びと』上・下(福音館書店)が出たことを知る。出版文化研究会の「子どもの本関係参考文献 絵本・児童文学・児童文化にふれて」(http://members.jcom.home.ne.jp/tn_delamancha/sankou/sankou.html)に目次が掲載されていて、参考になる。下巻には石井研堂や大供会、水島爾保布のことも書かれている。かなり高価な本だが、手に入れたくなった。


今日は自宅で作業。ちょっと風邪気味らしく、アタマが重い。連絡や原稿まとめなど。夕方、〈古書ほうろう〉に顔を出して、納品書を渡す。神原さんが「知ってます? この辺にブックオフが出るんですよ」と云う。不忍通りのこないだ撤退したファミリーマートの後に入るらしい。隣のファミレスは、夜中によく行って仕事している。ほうろうからは直線で200メートルほど。「影響あるでしょうね」と神原さんは心配そう。たしかに、買い入れや文庫・マンガの売上には多少影響があるだろう。でも、この辺は天邪鬼な客が多い(たぶん)から、ブックオフができてもほうろうを使い続けるヒトは多いんじゃないかな。むしろ、新刊書店、とくに谷中銀座の〈武藤書店〉あたりは相当厳しくなるのでは。


ぼくはただの客として、近所にブックオフができるコトを無責任に喜んでいる。選択肢が多いことは歓迎するし、新古書店ができることで地域外から来る客が増えたりして、この近辺の古書店・新刊書店に刺激が与えられると思うからだ。ちなみに、最近ぼくはこの辺りを「不忍ブックストリート」と命名したので、普及をよろしく。で、千駄木ブックオフだが、近々買い入れを開始し、その後オープンするらしい。まだサイトの新店情報にも載ってない。なので、開店日はココではヒミツ。その日はトーゼン朝から行こう、と手帳につけておく。


ほうろうで児童書コーナーを見ていたら、瀬田貞二の『絵本論』(福音館書店)が目に飛び込む。函入り・グラシン付きで550ページ。売価は4000円。中身を見せてもらうと、明治大正の絵本作家についての評伝もあり、索引も完備している。『落穂ひろい』の次に出た本らしい。コレは買いでしょう。ほうろうでは、ある本を読んだ翌日にその著者の別の本が見つけるケースが多い。前からそこにあって気づかないコトが多いが、ホントにその日に入荷したばかり、ということも何度かあった。今度はどっちだったのか。あとで『絵本論』をパラパラ見ると、小山内龍についての章で、小山内が森永ミルクキャラメルの箱に描いた絵を見るために、浦和図書館の池田文痴菴文庫に足を運んだ、とあった。瀬田氏は浦和の太田窪在住であった(津野海太郎さんの家の近くらしい)。


ブックオフの情報を得たせいか、少し元気出てきたので、自転車で三ノ輪へ。商店街でギョーザを買う。〈古書ミヤハシ〉が以前の店の前に移って、新しくなっている。入ってみたけど、整理があまりされてなく、スカスカなカンジ。これなら前のほうがヨカッタ。つい最近おやじさんが亡くなった〈遠太〉に行くが、やはり閉まっていた。しかたがないこととはいえ、このまま閉店してしまうのだろうか……。三ノ輪から西日暮里に帰るときは、なるべく違う道を通る。今日も適当に走っていたら、「荒川仲町商店街」というのを発見。すげえ活気がある通りで驚く。電車の沿線でもなく、大きい道にも面してないところで、古くからの商店街を見つけると、隠れ里に来たみたいで驚く。しかし、さっきのほうろうの本と同じで、その商店街は以前からそこにある。うまく書けないけど、そういう場所を見つけることで、自分のほうが逆に発見されているというか。このことは、また考えてみたい。総菜屋で菜の花おひたし(150円)、マカロニサラダ(100円)、山くじらの煮物(150円)を買う。安いなあ。


ウチに帰り、ちょっと寝てから、さっき買ってきた諸々で夕飯。『フィールヤング』を読むと、伊藤理佐の『チューネン娘』が文化庁メディア芸術祭マンガ部門にノミネートされたらしい。一昨年に黒田硫黄が受賞したものである。どうなるんだろう、ドキドキ。安野モヨコの『監督不行届』では、カントクくん(庵野秀明)が自力で部屋を片付けていた。旬公がコレ読んでナンと云うか心配だったが、何もいわなかったのでホッとした(諦められたか)。ちなみに、カントクくんの不精者でカワイイというキャラは、モクローくんにちょっと似ている。ライバル?(とか云ったら、安野=庵野ファンは怒るだろうが)。


【アンケート回答ご紹介】
◎匿名希望さんより。

近所(西日暮里)に住んでいるので、地元のいろんな出来事を書かれているのが楽しいです。たとえば、8月1日「オヨヨなる船出」(http://d.hatena.ne.jp/kawasusu/20040801)。へえ、こんな古本屋さんができたんだ、と早速行ってみました。このほか、食べ物屋情報が豊富ですね。谷中銀座の「千尋」(これは前から知ってましたが、いい店ですね)。西日暮里の「大栄」(圧倒されました)などなど、役立ちます。
いただいているだけではなんなので……。駅からは少し離れているのですが、荒川区役所に行く途中の居酒屋「三岩」が安くて魚も量が多いです(おひたし180円! だったりしますので)。
http://izakayadaisuki.at.infoseek.co.jp/diary20.html
ぜひ機会があればどうぞ

〈三岩〉は2、3年前に、のれんの感じに惹かれて入り、うまい魚を味わいました。ココは定食もうまいんだよねェ。匿名希望さん、ありがとうございました。


【今日の郵便物】
★阿瀧康さんより 『ガーネット』第44号
田中栞さんより 新刊『古本屋の女房』(平凡社
★古書目録 美濃