やればできる子なんです

今日は自宅で作業。著者との校正のやり取りをしながら、朝から自分の原稿を書く。BGMは[高田渡トリビュート]。ちょっとリスペクト感が強すぎるのでは。もっと自分流に解釈してほしかった気がする。高田渡本人の「調査節」も入っている。ジャケットは森英二郎さん描く吉祥寺〈いせや〉だ。一本書くと大体そこで力尽きるのだが、今日は続けて二本目を書く。アタマの中で幻の母親(なぜかダウンタウン松本が扮する「おかん」に酷似)が、「この子はやればできる子なんですわ……」と誰か(編集者か?)に訴えている。その助けを借りて、二本目を書き終える。


虚脱して、昨日ほうろうで買った、篠田昌已・西村卓也[篠田・西村DUO]を聴く。コンポステラ結成以前、サックスの篠田とベースの西村が、スーパーの開店イベントで演奏した音源をCD化したもの。最初の一音から、サックスの音が体に染み入ってくる。なんという伸びやかな音なのか。


夕方、神保町に出て、遅まきながら青空古本市を覗く。まず田村の平台で、小沼丹『懐中時計』(講談社)を900円で。そのあと、交差点脇の会場や、岩波裏の会場も見るが、あまり気を入れてみなかったせいか、買わず。そのあと〈三省堂〉の会場で、米田利昭『歌人松倉米吉』(筑摩書房)800円を買う。〈Folio〉でFさんと会う。知り合い経由で相談を受けたのだが、説明を受けても、どうも先方がぼくに求めている意図が判らず、力になれることはなさそうだった。途中、打ち合わせで来ていたらしい国書刊行会のTくんに声を掛けられる。


あと数軒、古本屋を見て、〈玉晴〉で岡野他家夫『出版文化史』全二巻(室町新書)500円を買い、ウチに帰る。夜、ジョン・トラボルタ主演の《閉ざされた森》を観る。《地獄の黙示録》+黒沢の《羅生門》か。ラストにドッチラケ。あとは仕事をあれこれ。


【アンケート回答ご紹介】
三人から「オモシロかった日」として挙げていただいたのは、7月17日「ナベさんって誰だ?」(http://d.hatena.ne.jp/kawasusu/20040717)でした。三人とも「旬公になじられた」ところでとくに受けているのが、おかしい。
◎「モクローくん通信」初期からの読者である、みみさんより。
「楽しめた日記はやや反則気味ではあるのですが、知らないオジサンに話しかけられた7月17日です。もちろん日々の本をめぐるお話は面白いのですが(食べ物と飲み物の話と本の話はいくら読んでも厭きません)なんか不思議でくすっと笑えた17日の日記はよかったです。特に内澤さんの返しは最高!でした」
チェコ在住の田中大さんより。
「7/17の「ナベさんって誰だ?」は読んでて声を出して笑ってしまいました。(興味深い、という意味での「面白さ」ではなく、本当に笑ってしまいました。)本があたってうれしい、とかこんな本見つけた、というのも好きですが、この人に会った、というのが面白いです。本のことは、結局「情報」になってしまうかもしれないけれど、人と会う経験は一回きりの出来事で反復不可能である分だけ、いっそう、一日一日の記録である「日記」的であるのかもしれません。そういう記事がいっぱいなのが気に入っていますが、ものすごく具体的に会話が書かれていて、状況がイメージできるものですから、この日の記事をとりあえず「一番面白かった日」としておきます。
ちなみに(あとで、旬公に「そんなに面白い状況でナンでお茶しなかったの!この腰抜け!」となじられたが)の一句がおかしい。でも、やっぱり私も行きません。」
◎「古書ほうろう」のミヤジミカコさんより。
「特にオモシロかった日記は、7月17日のナベさんです。当惑顔のモクローくんが目に浮かびました。内澤さんに「腰抜け」となじられてしまうくだりも、大ウケです。(略)
あと、関係ないですが、いい機会なので数えてみましたら、「ほうろう」が96回も登場しました。最多は8月21日の6回です。ちょっと自慢です。」


【今日の郵便物】
★荻文庫より目録注文
関口良雄『銀杏子句集』(三茶書房)3000円。山王書房の関口さんの句集。木版の表紙(山高登の画)がカワイイ。特装版もあるらしいが、ぼくはコレで充分。
横尾勇之助述・三村清三郎写『店頭日記』(青裳堂書店)2000円。上野の古書店「文行堂」の店主の昭和22〜23年の日記。なんと翻刻ではなく筆写である。こんなの読めないよー。索引に「バイブル翁(琳琅閣初代)」とあるのが気になる。ナンだ? バイブル翁って。