福次郎さんの夜

昨夜はけっきょく3時に版下ができ、コンビニでコピーとって帰ってきたのが3時半。疲れたなあ。今回手書きの部分が多かったので、旬公はどんどん不機嫌になるし。朝から雨。台風接近か。仕事場に行って、連絡やらメモやら。懸案だったことが少しずつ動いているので、まあ順調か。詩人の白石かずこさんが、アンケート回答を書きます、というお返事の電話をくださって、そのまま30分、読書についてのお話をされる。これ、すごくオモシロかった。録音できればよかったのに。5時ごろ、先日の馬さんと陸さんが仕事場に来た。UBCで買っておいた棟方志功の展覧会図録を陸さんにプレゼント。本好きというのは、万国共通で、その人の好きな本を渡すと目の色が変わる。陸さんもそうだった。


5時半に古書会館着。ちょうど、八木福次郎さん、池谷伊佐夫さんがいらしていた。8階の応接室へ。東京書籍のUさんに挨拶。池谷さんの新刊『神保町の蟲 新東京古書店グラフィティ』の見本が間に合って、今日15冊だけ販売できるという。しかも、署名、捺印、手彩色蔵書票つきという豪華版。ぼくも欲しかったが、完売してしまった。八木さん、池谷さんと最後の打ち合わせ。八木さんのハナシはオモシロイが、ひとつのエピソードが長い上に、つづけて別の話に行ってしまうのが、トークとしては難点。そこで、池谷さんは先日来、何度も古書通信社に行って八木さんと話し、話に割り込むタイミングを計算しておられた。打ち合わせで、ちょうどいい間でツッコミを入れられていたので、これなら大丈夫と思う。


7時過ぎに会場へ。「八木福次郎夜話 私が出会った本・人・街」のスタート。雨のせいと、UBCの古書展が終わったあとのせいか、客は40人ほど。河内さんのときのような若い人は残念ながら少ない。でも、「古書通信」読者が多いので、固有名詞に説明を加えなくても大丈夫なのはよかった。松本八郎さん、矢部登さん、岡崎武志さんもいらしてた。まず、ぼくが趣旨を説明し、池谷さんからハナシを振ってもらう。前半は八木さんの半世記で、古今書院時代から古書通信時代へ。思い切りはしょったし、八木さんも短くまとめて話してくれるので、とんとんとハナシが進む。なので、途中からぼくが割り込んで、枝葉のエピソードも話してもらう。古通豆本や今日持ってきてもらった本の説明を聞いて、休憩に入る。


休憩時に古書通信の樽見さんから、明治大学の方を紹介される。八木さんがコーディネートしている古書業界人を呼んでのセミナーの担当者。なんと、定有堂の奈良さんと大学時代、一緒にミニコミつくってたとおっしゃるので、ビックリ。ご本人もいまでもミニコミを出しているというので、ハナシが合いそう。


後半は、斎藤昌三の「げて装本」のコトから入り、木村毅柴田宵曲など思い出深い人のハナシ、神保町のハナシなど。何度も聞いたおなじみのハナシだが、相変わらず、数字も正確だし、恐ろしい記憶力だと思う。最後に、酒もタバコもやめないのが健康法だ、と笑わせて、まとめる。9時10分に終了。


八木さんはお帰りになり、池谷さんと食事に行くことに。アクセスの畠中さんも一緒。〈ランチョン〉に行ったが終っていたので、下の〈出目金〉へ。池谷さんから、高校時代に『COM』にマンガを投稿していたことや、読売の漫画コンクールで賞金を稼ぎ古本を買っていた話などを聞く。閉店までいて、店の前で別れて、ウチに帰る。


これで、トークを二つ終えて、やれやれ肩の荷が下りた。当分人前で話すのはごめんこうむりたい(12月にふたつ、まだ残っているのだけど)。事前の準備はそれほどでもないが、気分的に大変なのだ。それにしても、いつまで経っても喋りがうまくならないなァ。ライターの渡邊裕之さんの日記「beach hut on the blog」(http://d.hatena.ne.jp/hi-ro/20041019)に、河内さんのトークのことが載っている。「私は古書も新刊も物質としての書物には興味はなくて、こういった古書フェアにいるだけで飽き飽きしてしまう」が、河内さんやぼくの本への接し方に興味があって、来てくれたという。こういう人が古書会館に来てくれるキッカケとして、こういうイベントが機能したというのは、狙いが成功したワケで、嬉しい。


夜中まで起きていて腰が痛くなったという旬公と、DVDでハンガリーを舞台にした、マフィアものを吹き替えモードで見るが、死んだと思わせておいて生きているというありきたりの伏線がありきたりの演出であって、呆れる。脱力して寝る。


【今日の郵便物】
★胡蝶掌本より 新刊2点。今回より新規会員として定期購入するコトに。