不思議な声と音の夕べ

フランソワーズ・サガン死去。69歳の若さだったとは。一冊も読んでないが、立花ハジメの「ビューティフル・シングス」という単語を並べたような歌のなかで、「フランソワーズ・サガン」という歌詞があったのを思い出す。

夜中からの雨が朝になっても降り続く。散歩したあと、〈ルノワール〉へ。原稿の取っ掛かりを求めて、書いたり読んだり。まだ書くまでにはいたらず。原稿に取り上げる本を読み返すうちに、その本で取り上げられた別の本のことが気にかかり、本の山をひっくり返す。そうこうしてるともう夕方だ。諦めて出かける。


6時前に高円寺に到着。まず〈十五時の犬〉へ。かんべむさしの文庫を3冊。高校生までは熱狂して読んでいたが、それ以後まったく読まずにいた。なので、1980年代後半以降の文庫は持ってないのがけっこうある。自分の中で、いま、少しずつかんべむさしを読みたいという気持が高まっている。そのあと、しばらく南側に足を運んでないので、そっち方面へ。〈大石書店〉は休み。〈勝文堂書店〉で中町信を2冊。同じ店内でナニも仕切らず、古着と古本を売っている〈アニマル洋子〉というヘンな店があった。古本は絶版文庫やミステリ、サブカルものを主とした筋のイイ品揃え。


もう7時前だと、あわてて駅前に戻る。〈古書ほうろう〉の宮地健太郎さんとミカコさんと待ち合わせ。店にはしょっちゅう行ってるし、先月はイベントもさせてもらっているが、西日暮里・千駄木以外の場所で会うのは初めて。今日は〈円盤〉の桂牧ライブに一緒に行くのだ。店に入ると、貴島さんが来ていた。古本屋回ってきたとのこと。餅屋ブックの折田烈さんも。こないだ弟さんと会ったばかり。「ぐるり」の五十嵐さんも。最新号をいただく。なんか知り合いばっかだな。お客さんは全部で10人といったところ。かしぶち哲郎の[LIVE EGOCENTRIQUE](モルダウ・ディスク)と、貴島さんオススメのラリー・パパ&カーネギー・ママ[ドリームズヴィル](中古)を買う。後者のジャケットは森英二郎さんの版画だ。


オープニングは、サボテンと松本里美さんのソロを交互にやる。自分の銅版画作品を見せながら演奏する松本さんのソロもいいが、ギターとベースのサボテンがよかった。エリック・サティの短い曲のインパクト大。次に、桂牧さん。アコースティック・ギターだけで歌う。最初、のどの調子が悪いと緊張されていたようだが、ぶつぶつ云いながらもどんどんやる。牧さんのギターは、どうしてこんなに不思議で繊細な音が出るんだろう。アルバムでも聴ける、上に向ってコブシの効いたような声はナマだともっとイイ。新曲の「振り」というのもヨカッタなあ。アルバム[牧]は、事情により10月10日に発売が延びてしまったそうだけど、多くの人に聞いてほしい(ほうろうには置かれる予定です)。11月にはまた円盤でライブをするそうだ。


古本酒場コクテイル〉に行こうとするが、電話がつながらず諦める。前も臨時休業で入れなかった。残念。手近な居酒屋に入り、乾杯。そのあと、家が遠くてすでに終電がないという牧さんを、貴島さんと一緒に谷中のアパートに泊めることにして、西日暮里まで出る。〈大栄〉をめざすが、ココも休み。〈和民〉に入り、牧さん、貴島さん、宮地夫妻、それに旬公も加わって、2時ごろまで話す。落ち着く店の条件とか、牧さんがバンドで全国回っていたときのハナシとか。ライブが終ってまだまだ話したりなそうな牧さんだったが、お開きにして、駅前で別れる。ウチに帰って、即、布団にもぐりこむ。


【今日の郵便物】
★古書目録 萬巻(大阪・天神さんの古本まつり)