夢想ばかりの大学時代

朝、配線チェック用に本を動かす。本の山を移動しようにも、移動する先がない。ADSL工事が終わるまでこのママなのかと、暗澹としてくる。東大正門前で竹中くんと待ち合わせ、佐藤健二さんの研究室で打ち合せ。そのあと、急いで神保町に行き、堀切直人さんにはじめてお会いする。緊張したが、きさくな方で、新著『浅草』(栞文庫)のことなど、いろいろとお話を伺う。佐藤さんも堀切さんも、大学生の頃に名前を知り、ポツポツと読んできた著者だ。当たり前だが、その頃は自分が編集者になるなんて、思いもしなかった。そういう人たちと一緒に仕事ができるようになったコトが、とても不思議な気がするし、せっかくできたご縁なのだからイイ仕事にしたいと思う。


大学生の頃、といえば、まったく現実的ではなく、夢の中で生きていたような気がする。昨日、「新しい商売」なんて書いたけど、大学生のときにも、卒論の資料集めと代筆を行なうという新商売を夢想していた。同級生のレポートを代筆した(けっこう高額のギャラをもらった)ことから考えたのだが、どこでその商売の告知をすればいいか判らず諦めた。いまだったら、サイトや掲示板に書き込めばけっこう依頼が来るような気がする(もっとも、そんなコトを頼もうとする前に、インターネットのデータをコピー&ペーストしてレポート一丁上がり、というやり方がフツーになっているようだが)。ほかにどんな新商売を考えたか、それはヒミツだ。恥ずかしいからね。


スヰートポーヅ〉で中皿ライスを食べて、〈岩波ブックセンター〉で本を探していたら、塩山芳明さんにバッタリ。昼休みにいつもこの辺を流してるらしいが、神保町では滅多に出合わない。そういえば、「BOOKiSH」の次号目次に名前が載ってたけど、その話は出なかった(もう原稿書いたのだろうか?)。


仕事場で、依頼の電話や会議など。6時過ぎに出て、ウチに帰る。昨日からずいぶん多くのヒトに会ったせいか、疲れが出て少し眠る。晩飯はうどん。雨が降り出してきたが、〈古書ほうろう〉まで行き、奥に預かってもらっている「古書モクロー」の箱から本を一冊引っ張り出す。ダブリ本だったので、売るつもりでラベルまで貼っていたが、ウチにあるはずのもう一冊が見つからなかったからだ。結果として、売れ残ってヨカッタということになる。10月2日から行なわれる「第12回 谷中芸工展」のパンフレットをいただく。新しい店も増えて、イベントもずいぶん増えた。来年こそは自主企画で参加したい。


【今日の郵便物】
★古書目録 山崎書店(特別記事「明治期の写真・印刷と出版事情」)、LINE(古書籍BOX)
★古本 長谷川画廊より 正田勝朗『同潤会江戸川アパートものがたり』一水社、1991年、1500円
 こないだの五反田展で注文していたのだが、受け取りのときにこの本は出てこなかったので、ハズレたものだと思い込んでいた。ちゃんと確認すべきだった。この本、自費出版っぽいのだが、版元が一水社となっている。エロ漫画出版社にして、塩山さんの『嫌われ者の記』の版元ではないか。奥付に住所が「港区新橋5-18-1」とある。『嫌われ者の記』では西新橋となっているが、これは移転したのか? どうして一水社から出たのか、興味深い。
★展覧会「疾風迅雷 杉浦康平雑誌デザインの半世紀」展
銀座グラフィックギャラリー(ggg) 10月5日(火)〜30日(土)
杉浦さんがこれまで手がけてきた2000余点の雑誌デザインから、「遊」「銀花」「噂の真相」など500点を一挙に展示。コレは行かないと。8日、22日はギャラリートークもあり。