古本クイズは難しい

朝、神保町へ。靖国通りの、いつも異様に愛想のいいおばあさんとおばさんがやっている〈長楽〉で、タンメンを食べる。ココは何を頼んでもなぜか冷奴がついてくる。〈三省堂書店〉で資料探し。「彷書月刊」の最新号(特集・印刷記)。本文よりも、経堂の〈大河堂書店〉の広告での「古本好き度クイズ」が気にかかっている。作家名のしり取りで、「吉行淳之介……◎◎……辻邦生」とつながるもの。「け」ではじまって「つ」で終る作家ぁ? 「け」のつく作家なんて源氏鶏太ぐらいしか知らないし、「つ」で終るのは車谷長吉ぐらいしか。大河堂のクイズ、前回は目茶目茶カンタンだったのに、いきなり難しくなった。


どう考えても思い浮かばず、ズルだなあと感じながらも、八木書店の作家別コーナーを覗いたり(ついでに外台で堀切直人『大正流亡』沖積舎、1000円を買う)、書泉グランデの文庫コーナーを眺めたりするが、けっきょく判らず。夜にウチに帰って、『日本近代文学大事典』も眺めるが「け」の作家自体ほとんどいないのだ。このクイズ、ぼくは応募を放棄するので、誰かわかったヒトは教えて下さい。気になってしかたがないよ。


三百人劇場〉で渋谷実特集。今日は《バナナ》(1960年)。黄色い背景のタイトルバックに、谷川俊太郎作詞のバナナの歌が掛かるや、こりゃいけると思う。岡田茉莉子の気まぐれに付き合わされる在日中国人二世の津川雅彦が、バナナの輸入に乗り出す。津川の両親(尾上松緑杉村春子)の性格の違いがよく描けている。冒頭、小池朝雄が学生服で出てくるので噴出すが、後半でやっぱりギャングだったとわかり安心(?)する。渋谷の演出は前半はテンポがいい。家の中の居間と台所と客間にそれぞれ一人ずつ座っていて、お互い会話が成立してしまうシーンなど、カットのつなぎかたに工夫がある。ただ、後半になると少しダレる感じはあった。まあ、面白く観た。


仕事場に行き、青焼きを校了。コレで13号はほんとにおしまい。うんうん唸っていた14号の案をまとめ、津野さんに相談する。だいたいの方向が出たところで、今週会議することに。その間に、今日はなんだか雑用が多く、一週間よりも短い締め切りの原稿依頼があったり、「アンダーグラウンド・ブック・カフェ」でのトークイベントの連絡など、いろいろ。「文化通信」のメールマガジンで、「洋販、青山ブックセンター本店と六本木店の営業を9月29日(水)に再開へ」とのニュース。

夜は代々木上原に出て、古本屋を偵察。明日以降、取材に来ることにしよう。ウチに帰ると9時。旬公が品川でもらってきたハラミを塩で焼いて食う。おっそろしくウマイね。今日の読書は、町山智浩『底抜け合衆国』(洋泉社)。トホホなエピソードの連続に笑いつつも、アメリカへの怒りが増幅される。


【今日の郵便物】
★木本書店より  麦書房の雑誌『本』創刊号〜22号
「古書通信」の目録を発行日から数日後に見て、アッと思い電話したらまだ残っていた。前の「sumus」展のフリ市で競り負けているので、1万6千円なら安いと思って注文。今日届いた。さっそく眺めていると、22号ではどうも終刊してないみたい。あわてて、「sumus」の林哲夫日記(http://www.geocities.jp/sumus_co/daily-sumus7.html)を確認してみると、全24冊とあるではないか。注文するときに一言云ってほしかったと思わぬでもないものの、コレはぼくのミス。いつもだったら確認するのに、ボケてたようだ。でもまあ、いつか最後の2号が手に入る日もあるだろう(フリ市でぼくに競り勝ったYさんがコピーでも恵んでくれるとイイなあ)。