エンテツ・フェイントと思ったら自分フェイントだった
朝起きて、「彷書月刊」原稿の続き。今回は定有堂書店のサイト(http://homepage2.nifty.com/teiyu/)。そのあと、自宅で原稿来るのを待ちながら、仕事。
午後、古書ほうろうへ。古書モクローの紙モノの籠を、座り込んで漁っている男性がいて、どこかで見た顔だなあと思っていたら、声をかけられる。「sumus」展覧会の振り市で、ぼくと「月刊TOWN」を競って勝った、小間さんというヒトだ。「CDにイイのがあって、買っちゃいました」と見せてくれたのが、アンディ・パートリッジのデモテイク集とか、井上敬三のフリージャズとか、ノンスタンダード・レーベルのプロモビデオとかで、やっぱり同世代だと判る。
そのあと、思い切って、売れない本を引っ込めて、新しい本に入れ替えていると、後ろから覗き込む妙な親父が。……塩山芳明さんだった。「いやー、仕事が暇でさあ」と。月の輪書林の目録を見ながら、「オレ、石川利光に会ったことあるよ。晩年は喰えなくてペンネームでエロ小説書いてたんだよ」と、戦後裏文学史に残る発言を。千駄木駅近くのうらぶれた喫茶店に入り、しばし雑談。最近はメールでやり取りしてるので、会うのは2年ぶりぐらい(?)。
夕方まで仕事して、6時過ぎに自転車で三ノ輪へ。エンテツさんから〈遠太〉で飲み会だと聞いたのだが、誰もいない。あじのなめろう、揚げだし豆腐(はじめて頼んだがウマイ)をつまみにビール、焼酎ハイボールを。7時過ぎても来ないので、ヘンだなと思い、参加者の一人に電話すると、「明日ですよ〜」とのこと。なんだー。あとでウチに帰って確認すると、昨日の時点でぼくが「明後日」渡辺勝のライブを見ませんかとメールして、その返事が「〈遠太〉で飲むから」だったのだ。エンテツさんが間違えたんじゃと疑ってしまったが、完璧にぼくのマチガイ。メールは証拠が残るからコワイね。
せっかく来たのにという思いで、自転車で前を通っていた、〈源氏屋〉という飲み屋へ。外から見ると、いかにも下町酒場の雰囲気で、中のつくりもオモシロイのだが、メニューがなぜか鍋物中心で、安いつまみがホトンドない。困って、ホッピーともつ煮込みなべというのを頼む。ガスに鍋をセットして煮てる間に、テーブルの上を、小さいゴキブリ(油虫ってやつ?)が這う。それもちょっと通っただけでなく、何度も巡回してくる(笑)。そのうち、3匹ぐらい同時に動き回り、さすがに食欲が失せた。一人で行く店じゃないな。
帰ると旬公が黒沢清の《交霊》(だったかな)というホラー映画を観ている。途中から観るが、ストーリーはかなり拍子抜けなのだが、何気ないシーンに鳴る音がじつにコワイ。10時ぐらいに、またほうろうへ。宮地さんのハナシだと、通りがかったヒトが、マッチラベルの残りを全部と、コミさんの単行本と文庫を買って行ったそうだ。この人だけで1万円近い売上。やったー。少しずつ古本屋の醍醐味を感じはじめてる。1時間ほど値付けをやってから、〈ジョナサン〉にいる旬公に合流。12時過ぎにウチに帰る。
【今日のしおりページ】
「小松左京マガジン」創刊号、2001年
80ページ 小松研創設期OB座談会(土屋裕、とり・みき、田北鑑生、米田裕)
とり「その頃(1978年)は、すごく自閉していた。部屋にテレビもなくて、毎日学校にも行かないで、名画座を回って、本を二、三冊読んで寝るという生活を送っていて。」
で、SFのファンダム(同好団体)に入ろうと思ったが、「もうでき上がっているグループに後から入って行くというのは、すごくバリアが高かったんですよね。(略)わざわざそんなところに行くのも嫌だなあと思っていたところに、コマ研発足の案内が出て、これから始まるんだったら、みんなスタートが同じで、平等だろうと思ったんで」(一部まとめてしまいました)
この、出来上がったグループへの入りにくさ、という感じは、すごくよく判る。