ツキノヴァさんとビール、海野さんとお茶

昨夜は「虎ノ門」のしりとり選手権を最後まで見てしまったが、朝9時に起きる。紙モノの整理を始める。売ってもいいものを透明の袋に入れ、値札をつける。一度やり始めるとそれなりに時間が掛かる。道灌山下のパッケージ屋で、ポリ袋を買う。おばあさんの対応があまりにもゆっくりで、12時に千駄木駅で野口英司さんと会う約束していたのが、遅れてしまう。角のイタリア料理やでパスタを食べつつ(味はいまいち)、出版企画の打ち合わせ。うまく転がればイイけど。


練馬から自転車で来て、また自転車で帰るという野口さんと別れ、地下鉄でお茶の水へ。古書会館の趣味展で、野口冨士男『かくてありけり』(講談社)500円と、雑誌『古本屋』第7号が800円。この号には先日取材した玉英堂の斎藤孝夫さんが寄稿している。会場で内田魯庵がどうこう話している二人組。河内紀さんと月の輪書林の高橋さんだった。河内さんは今日は川崎の古書市から神保町、これから新宿京王の古本市を回るという。すげえ。


ツキノヴァにお茶にさそわれ、神保町の〈Folio〉へ。お茶といっても、飲むのはビール(ココではギネス)だが。そのうち、待ち合わせしていた海野弘さんがいらっしゃる。ツキノヴァさんを紹介する。古本屋の話をしてるうちに、海野さんが小学校の頃に、馬込に住んでいて、あの〈山王書林〉にしょっちゅう行っていたという驚くべき話を聞く。その後、ずっとあとに近藤富枝『馬込文学地図』(だったかな、中公文庫)の解説を書いたことが縁で、関口さんの奥さんと文通するようになったのだという。この本、持ってるハズだが、解説のことは忘れていた。ツキノヴァさんからは、『古書月報』に大森の〈天誠書林〉さんが関口さんの奥さんにインタビューした記事が載っているというハナシも。ツキノヴァさん帰り、その後、4時までいろいろと話す。仕事を離れても、こうして会ってくださるのは、本当に嬉しい。


千駄木に戻り、ペンなどを買って〈古書ほうろう〉へ。値段付けを1時間半ほど。ようやく段ボール箱ひとつ分が棚に並べられるようになった。まだ先は長い。ウチに帰り、夕飯はパスタ。昼のがまずかったので、自分でつくりたくなった。9時半にもう一度ほうろうに行くが、荷物置いただけで戻ってくる。NHKスペシャルでの乱歩の番組を見たかったのだが、最初の30分で飽きてしまう。なんとまあ、薄っぺらなつくりだこと。書庫の映像が見たかったが、とても付き合っていられない。


【今日の郵便物】
★岳陽堂書店(郡山市)より古書 真尾悦子『たった二人の工場から』(未来社)1000円
先日図書館で、いわき市草野心平記念館(http://www.k-shimpei.jp/)で、「真尾倍弘・悦子展」をやっていることを知った。倍弘は伊達得夫と同じ時期に前田出版社におり、「文壇」という雑誌の編集長だった(『われ発見せり』138ページ)。詩人でもある。悦子はこの時期のことをのちに『阿佐ヶ谷貧乏物語』(筑摩書房)に書いている。で、この二人はその後、平市に行き、そこで「氾濫社」という小さな出版社をつくったのだという。展示カタログが出ているというので、それは申し込むとして、そのポスターに載っていた、氾濫社のことを書いた本を「日本の古本屋」で探して買う。


【今日のしおりページ】
みんぱく』7月号(国立民族学博物館
巻頭エッセイで、海野弘さんが「モダン大阪研究」という文章を執筆されている。
関西で同人誌的なリトル・マガジンががんばっている、と書いたあと、
「面白いもので、二〇〇三年には、私はそれらのリトル・マガジンと急に縁ができた。その一つは、『sumus』である。その同人と知り合って、そのバックナンバーを知り、室の高さにおどろかされた。その第一二号(二〇〇四年五月二〇日)の特集「小出版社の冒険」はすばらしい。高桐書店、プラトン社、蜘蛛出版社といった関西の小出版社が次々と発掘されて感動的であった」
とある。このあと、海野特集を組んだ『BOOKISH』の話になるが略。これらを海野さんは「モダン大阪研究の新しい波」をまとめてくれている。
大学や研究機関のなかではなく、在野で身銭を切って書いているヒトたちをきちんと評価してくれる、海野さんのようなプロの書き手の存在は、とてもありがたい。
>林さん、岡崎さん、このエッセイ、ファクスで送りますからね。