東京には「床」があるとモクローは云う

夕べは本の山の間に、布団を敷いて寝た。今朝はまず、生活用品の店に行き、カラーボックスを三つ(一つは仕事場へ持っていく)注文し、組み立てて夕方に配達してもらうコトに。さて、そこから獅子奮迅の働き。〈古書ほうろう〉に、フェア用と買い取ってもらう荷物を台車で運ぶ。それから、室内の本の移動。夜のニュースではこの夏いちばんの暑さだといってたが、クーラーかけっぱなしでも全然効かない。何度もシャワーを浴びる。


電話とメールで仕事の連絡を取りつつ、どうやら夕方にはカラーボックス二つ分を設置する空間ができた。おお、床だ。この一年間、ずっと「牛若丸跳び」で移動していた「けもの道」も、そのまま歩けるじゃないか! しかし、カンゲキしたのもつかの間、配達されたカラーボックスを置き、そこに本を詰めていくと、たちまち一杯になり、その前に山積みしていくコトになった。ジャンル別に本を並べたいと思ってたが、いままでと全然変わらないじゃないか! 今日はやらないけど、このあと、奥の空間(ここは足を踏み入れることすらできない。奥の本は背伸びかジャンプして取っている。マジで。)の整理もあるが、結局、置ける本棚の数が少ない以上、山積みにするしか手はいのだろうか。


しかし、まあ、汗だくで本の山を崩しては、また積んだだけの功徳はあり、ずっと探していた書肆ユリイカ伊達得夫氏の評伝『われ発見せり』が山の奥から見つかった。まさに、われ発見せり。谷沢永一『文豪たちの大喧嘩』、矢作俊彦『ららら科学の子』も。ホント、意表を突いた場所にあるもんなあ。〈古書現世〉に買い取り宅急便二箱発送し、ほうろうにもう一度荷物を持ち込む。コレ以上続けると、腰が痛くなるので、今日はココまで。豚肉と大根、ネギ、みつばを入れた雑炊をつくって食べる。ああ、もう12時過ぎてしまった。


〈貸本喫茶ちょうちょぼっこ〉(http://www.nk.rim.or.jp/%7Eapricot/chochobocko.html)の日記で、福島さんが『ナンダロウ〜』を読んだと書いてくれた。「この本の中でも気に入ったところは街散策の部分。バスに乗って田中小実昌の跡を追う様子が印象に残りました。」
一方、〈烏本舗〉(http://homepage2.nifty.com/hon-karasu/sakamuke-bessatu-dokuha04-7.htm)では、みみさんが、「私事が仕事になり本とその周辺の人々との出会いが素敵です。「わが青春のながら食い」良かったです。」と書いてくれている。
読むヒトによって、面白がってくれる場所がゼンゼン違うところがおもしろい。「わが青春のながら食い」は、得票率高し。「四季の味」担当の藤田さんのおかげです。


【今日の郵便物】
★葉書 内澤の友人のウエハラさんより、『ナンダロウ〜』について。なんと、先日、高崎の地酒を贈ってくださったのだ。今日、冷やして飲みました。
★目録 伊勢丹浦和、五反田遊古会


【今日のしおりページ】
藤木TDC『アダルトメディア・ランダムノート』ミリオン出版
噂の真相」のアダルトメディア欄に連載された12年間のコラムを収録。このヒトの文章は硬派でそれでいてユーモアはある。ルポライターでも評論家でもなく「ライター」のスタンスで、こういう文章が書ける人は少ないのではないか。各項の「追記」がまたイイ。

148ページ 「通俗的タイトルと尖端的映像表現の落差――これは若松孝二が台頭した六〇年代以来、ピンク映画業界が抱えるパラドックスと同じ問題で、日本のセックス映画産業にまつわりつく最大のジレンマである」
田中登の傑作(というか問題作)《マル秘色情めす市場》が、最初からずっと監督が主張していたタイトルとはまったくかけ離れたものだったコト(DVDのインタビューで田中監督が云ってた)を思い出した。