本の海、やりたいテーマの夢の址

昨夜、荒木幸葉さんからメールが。池袋リブロを辞めて、結婚して金沢に行ったのだが、しばらく連絡がなく、心配していた。パソコンがつながったとのことで、「書評のメルマガ」の原稿を送ってくれる。うん、なかなかイイ文章だ。どうやら明日発行することができそう。


今朝はちょっと眠り足りない。一昨日、〈上々堂〉の長谷川さんが「いつ寝てるかと心配です」と云ってくれたが、大丈夫、欲求には素直に従うほうなので、睡眠は優先してます。むしろ、いつも赤い目をしてる長谷川さんの方が心配です。〈古書ほうろう〉に荷物を運ぶ。展示の本、販売の本がゴッチャだが、とりあえず全部運んでしまって、向こうで仕分けすることにする。だって、ウチじゃとてもできないし。そのため、ほうろうさんでは、「モク祭」(以後、こう略す)用に、段ボール箱と作業用の机を用意してくれているのだ。ありがたし。


仕事場に行き、6時過ぎまで。千駄木で降りて、また〈ほうろう〉へ。仕事場に置いてあった雑誌などを少々持ち込む。ウチに帰ると、入れ替わりに旬公が出て行く。「けもの道」の本を整理するのに、一度、居間(といっても布団敷くだけの空間)に本を積み上げる必要があるので、旬公は仕事を持って鎌倉の実家に三日間避難するのである。「私、実家に帰らせていただきます」というのはよく聞くが、本の整理が理由というのは、まあ、あんまりないだろう。


夕飯食って少し休んでから作業開始。今夜は本の山を移動させるのが目的。最初にデジカメで写真を撮っておく。ヒトに見せたら、おそらく引かれてしまうであろう衝撃映像だ。どっかで公開するか。奥の部屋も居間もクーラーをつけてやるが、汗だくになる。先週、仕事場の荷物を動かしていたのに、今度はウチ。しかも、年末にはおそらく実家も移動するコトになりそうなのだ。コレまでナニも考えず漫然と本を買ってきたツケが回ってきたのだろうか? 


それにしても、いったいナニを考えてこんなにいろんな方面の本を買っているのか。いや、そのときは「今度はこの作家を追ってみよう」とか「この分野のことを調べてみよう」という気があって買い込むのだが、そのどれもが中途半端に終っている。きちんと整理されていれば、まだ活用の機会もあるのだろうが、ただ積み上げてるだけだもんなあ……。前の引越しから5年、やりかけの、あるいは、やりそうにないテーマをリセットするイイ機会なのかもしれない。1時間ほどやって、少しだけ床が見えてきたので、嬉しくなる。こんなことで喜んでちゃまずいけど。


【今日の郵便物】
★葉書 宮下志朗さん、足立亨さんより、『ナンダロウ〜』について。
★『東京人』8月号 特集「東京土産」 短い文章を書いた。


【今日のしおりページ】
吉川潮『突飛な芸人伝』新潮文庫、2001年
奇行に走る愛すべき芸人17人の列伝。それぞれ短いのにじつに読ませる。
26ページ 月亭可朝の項で、
「可朝の会はまだ実現していない。会場の問題、資金の問題、私の力が至らぬせいだ。可朝に借金をしているような気分である。しかし、ものは考えようで、借りがある間は縁も切れない。借りは人と人とをつなぐ鎖のような役割をすることもある」
なるほど。