中島貞夫を観に

朝、旬公と散歩。午前中はちょっと涼しい。〈往来堂書店〉でPOPを渡す。10冊ぐらい積んであった。常盤新平『ニューヨークの古本屋』(白水社)ほかを買う。この店は『エルマガジン』を毎月入れてくれている。今回の特集「いちにちサイズの街と店へ」もイイ。京都の洋書屋とか、行きたい店がまた増えた。不忍通りのネパール料理屋でマトンのカレー。旬公はチキン。旬公はウマイと云っていたが、ぼくは「カレーライス」的であるかが基準なので、とくにウマいとは思わず。まずくもないけど。


根津で別れて、交差点からバスに乗ろうとしたら、池袋行きは本数が少ない。西日暮里まで戻って、JRで池袋へ。〈リブロブックス〉と〈ジュンク堂〉を偵察。『ナンダロウアヤシゲな日々』、リブロは3階人文では置いてあるが、地下の文芸書売り場では影もかたちもない。うーん。〈ジュンク堂〉では1階新刊コーナーと、3階文芸書で置いてくれている。福嶋さん宛にPOPを託す。


新文芸座〉で「遊撃の美学 映画監督・中島貞夫」特集をやっている。今日観たのは、松方弘樹主演の《893愚連隊》(1966)〈ニュープリント〉と、渡瀬恒彦主演の《狂った野獣》(1976)。《893愚連隊》で松方が天知茂に云う、「電気冷蔵庫には五年の保証があるけど、わいらには明日の保証もないんでっせ」という台詞(正確じゃないよ)にシビれる。《狂った野獣》はバスジャック犯の川谷拓三が最高。バスに飛び移ろうとして地上に落ちてしまう警察官の室田日出男も。ところで、渡瀬、川谷、室田で、しかも暴走がテーマとくれば、これは深作欣二の《暴走パニック 大激突》(1976)ではないか。調べてみると製作年が同じ、ロケ地も両方京都だ。2本続けて観なおしたいトコロだ。


受付で、この特集に合わせて出版された『遊撃の美学 映画監督・中島貞夫』(ワイズ出版)を販売していた。コレを買うのも今日来た目的の一つなので、本を取り上げてレジに持っていこうとした瞬間、目の前で場内アナウンスしてる男が、「なお、この本には間違いがあります」という衝撃発言に、本を運ぶ手が止まる。現在、正しい版を刷り直していて、今週中にはできるとのこと。今日間違った版を買ったヒトは、特集期間に本を持ってくれば正しいものと取り替えてくれるというのだ。隣の男が受付のお姉ちゃんに「どのぐらい間違いがあるの?」と聞いている。「よく判らないけど、けっこうあるみたいです」。正誤表で対応できないほどの量なのだろうか? 間違った版でもとにかく会場で売ろうという商魂に感心し、買いかけるけど、もしこれで読みはじめてあとで正しい版に取り替えてもらったときに、どこが間違っていたかの確認ができないママになってしまうことに気づいて、今日はヤメておく。今週中に出る正しい版を買おう。
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ウチに帰り、ソダーバーグの《ウェルカム トゥ コリンウッド》をレンタルDVDで見始めるが、30分ほど経って。画面が乱れはじめ、とても観てられなくなる。まだ買って一年にもならないDVD機だが、レンタルDVDではときどき画面がむちゃくちゃになる。なんどか入れ直してみるが状況は同じ。映画自体、たいしておもしろくもないので、そのまま中断。旬公が帰ってきてから、晩飯を作る。昨日の「魯肉飯」にヒントを得て、豚肉・エリンギ・しめじなどを炒め、ショーユで味付けして、それをご飯の上に掛ける。ウマイ。食べながらNHKスペシャル「21世紀の潮流 アメリカとイスラム」第二回を見る。イラン、イラク、ヨルダン、パレスチナなど広範囲に勢力を持つシーア派に焦点を当てた、丹念なつくりの番組。


書店用のPOPを書いたりしていたが、12時過ぎてから、旬公と出かける。〈バーミヤン〉でメールを書いたり、本を読んだり。


【本日のしおりページ】
畸人研究学会『定本 畸人研究Z』(ちくま文庫、2004年)
132ページ 「古代中国料理」の看板のある店に入り、店主にさんざん講釈されたあげく、「不気味な赤色」や「きれいな緑色」をした液体を舐めさせられるくだりは、落語を聞いているようなテンポの良さ。