『柳都芸妓』を5回聴く
朝8時半起き。うどん。午前中から新潮社に行く日だが、昨夜、新潟〈北書店〉の佐藤さんから「午前着でRYUTistのCD送ったよ」と連絡あり、それを受け取ってから出ることに。それまで、YouTubeで以前のRYUTistのユーストリームを見る。むぅたんが万代シテイで人に気づかれるまで経ち続ける1時間とか、ともちぃがカラオケ100点取るまで歌い続ける2時間とか、なかなか忍耐力の要るコンテンツが多い。そのなかでは、先週やった27時間ユートリームのエンディングはRYUTistに関わっている大人たちがたくさん出てきて面白かった。
そうこうするうち、宅配便届く。開けて見ると、RYUTistのサードアルバム『柳都芸妓』とポスター、うちわが入っていた。さっそく聴く。「柳都」とは古町の別称で、張りめぐらされた堀に柳がかかる情景から付いたという。これまでのアルバムではおそらく意図的に歌詞に新潟の固有名詞は使われてこなかったが、今回は逆にバンバン前に出している。2曲目の「花見る花小路」は、次々出てくる小路の名前に沿って、古町を移動している気分になる。他の曲もいい。素晴らしい。ジャケットは私も以前行った〈北方文化博物館〉(新潟市江南区)の広間で撮影。そして、中見開きには大正15年の新潟市全図が使われている。この町の歴史とつながろうとする本気を感じた。
ただ、前作とくらべると、全体にしっとりしていて大人っぽいのだが、底抜けに明るい曲が1,2曲あってもよかったのではという気も。あと、初期のシングル曲でYouTubeで聴いた『どっぺり坂』は、このアルバムに入れるとよかったのでは。どっぺり坂を下ると、そこは古町なのだから。この曲のイントロは昔のCMソングみたいで好きです。
もう出ないとまずいのだが、あと1回聴いてから出かける。新潮社の秘密部屋に着いたのは12時過ぎ。今日からいよいよ2000年代に突入。その当時の自分の興味と離れていたせいか、ページをめくるスピードが速まる。いつもよりも2時間短い作業で、5年分終わった。途中、11月に開催する第2回「しのばずくんの本の縁日」のトークゲストとして依頼した方から電話をもらい、快諾いただいたのも嬉しかった。お名前はいずれ発表します。エアコン効きすぎるので、ときどき窓を開けていたら、網戸がなくて蚊が入り込んできて何か所も刺される。5時半に駅前の〈ベローチェ〉で、原書房のHさんと待ち合わせ。頼まれていたサイン本を渡し、企画の話や雑談。
大手町乗り換えで、根津で降りる。不忍通りのとんかつ屋〈ひのき〉へ。以前ときどき行っていたが、すっかりご無沙汰。7,8年ぶりか。相変わらずご夫婦で元気にやっていた。7時になったらもうのれんをしまいはじめるという営業時間の短さも、なかなか入れない理由ではあった。ビールとヒレカツ定食。とんかつは小ぶりだがジューシーでうまく、おしんこや豚汁がまたうまい。今度はあまり間を置かず来よう。〈往来堂書店〉で、紀田順一郎『蔵書一代』(松籟社)など3冊買う。笈入さんと秋イベントの相談など。バスで帰宅。
部屋に入るなり、『柳都芸妓』を再生。そのあと2回聴いたので、今日だけで5回聴いたことになる。13日に渋谷〈eggman〉でRYUTistのライブがあるが、アイドルのライブなんて行ったことないので躊躇していた。しかし、奇特な同行者が見つかったので、急いでチケットを予約した。はあ。
札幌の〈古書須雅屋〉の須賀章雅さんから吉田類責任編集『旅人類』第3号が届く。函館・青森の特集で池内紀、長部日出雄、つげ忠男、泉昌之らが寄稿。須賀さんは太宰治の『津軽』について書いている。雑誌としては、本文に見出しがなくて読みにくく、吉田類がやたら決めポーズで写っているよく判らない雑誌だ。吉田類に興味のないものから見ると、おっさんが接待受けているのを見せられている気がする。どこが「責任編集」なのか。
築地〈ふげん社〉のウェブサイトで、「全国区じゃない本〜地域からの風・書評篇〜」という連載を開始(http://fugensha.jp/?p=2831)。ふげん社で年1回企画している「地域からの風」の書評版で、地域で出版されている本や雑誌、リトルプレスを紹介しながら、その土地の歴史や風景を自分なりに描けたらと思っています。各地のいろんな町が登場する予定です。第1回は出雲大社の一箱古本市で買った『出雲国大社観光史 参詣地から観光地へ』(大社史話会、2014)を取り上げた。