《縞の背広の親分衆》の幸せなバカ騒ぎ

朝8時起き。下読み、残り3本を頑張って読み終える。それから、鈴木則文『トラック野郎風雲録』(国書刊行会)の書評を書く。こういう本を紹介する文章を書くのは楽しい。『映画秘宝』に柳下毅一郎の書評が載っていたが、自分のを書くまでは読まずにおく。あとで読んだらあまり重なってなくてホッとした。ちなみに、そのキャプションに《トラック野郎》全10作のコンプリート研究ムックが別冊映画秘宝から発売予定とある。これは大期待。


千代田線で根津へ。日曜日なのであまり店は開いていない。とんかつの〈信濃屋〉に入る。なんか、とんかつが食べたいと思ったのは、昨日、かえる目の「とんかつ飛行」という曲を聴いたせいか。じっさいに食べたのはメンチカツ定食だったが。ふれあい館の2階で、6月の会議の部屋の予約をする。神保町に出て、〈東京堂書店〉で平積みになっている泉麻人『東京ふつうの喫茶店』(平凡社)を手に取り、すぐに買う。隣の〈ドトール〉に入って少し読むと、特別ではない、普通の喫茶店の良さを、泉麻人が普通の文章で伝えようとしているのが判る。


喜劇特集は毎週通うぞと心に誓った〈神保町シアター〉で、古澤憲吾監督《西の王将 東の大将》(1964)を観るが、凡庸の極み。べつに東京っぽくも大阪っぽくもないんだもんなあ。30分以上眠ってしまった。次まで時間があるので、〈三省堂書店〉を覗き、小谷野敦『日本文化論のインチキ』(幻冬舎新書)を買う。それと、〈三省堂古書館〉で宇野千代の文庫本を3冊買う。


また、〈神保町シアター〉に戻る。こんどは川島雄三監督《縞の背広の親分衆》(1961)。二度目だが、最初から最後まで笑いっぱなし。登場人物が全員イキイキしているし、ギャグも冴えている。森繁久彌フランキー堺というリズム感のいい二人が揃っていることもあり、音を使ってのギャグが随所にみられ、それが見事にはまっている(こないだの《九ちゃんのでっかい夢》とは雲泥の差)。終わってみればバカバカしい騒ぎなのだけど、すっきり幸せな気持ちで映画館を出ることができる。再見して、三人組のチンピラの一人が愛川欽也ジェリー藤尾の女が春川ますみだと気づいた。キンキンと春川ますみといえば、《トラック野郎》の夫婦だが、残念ながら、この映画でからむシーンはなかった。


仕事場に帰り、下読みした原稿のコメントを書く。コレがなかなか大変で、面白い作品についてはいろいろ書けるけど、ダメだと判断した作品にコメントを付けるのは苦痛。どれも「つまらない」の一言で済ませたくなる。11時までかかって、なんとか書き終える。はー、終わった。