一箱古本市・二日目、無事終了

文句なしに晴れ切った空の下、
一箱古本市の二日目を開催します!!
今回は10回目という節目です。
本日は谷中から千駄木にかけての10スポットで54箱が出店します。
詳しくは公式サイト(http://sbs.yanesen.org/)をご参照ください。
また、モデルコースはこちら(http://d.hatena.ne.jp/shinobazukun/20100501/p2)です。
たくさんの方々のおいでをお待ちしています。


ぼくは今日も「ミスター一箱古本市」のタスキをかけて、自転車で走ります。
恥ずかしくても平気さ!
見つけたら、石を投げたりせず、温かい声をかけてください。
では、会場でお会いしましょう!


今朝も文句なしの快晴。暑くなりそうだ。10時に特養ホーム谷中へ。ココは8箱。前回はへび道側だったが、今回は正面玄関で開催。近隣の迷惑になるので、店主さんには極力声を落として準備してもらう(そんな中でも、ついバカ笑いを発してしまうのが「オヤジ書房新社」のツカダさん。オヤジだ)。途中、〈不思議〉に「痕跡本ツアー」の様子を見に行く。助っ人の丹治さんが、通行人にやたらいろいろ尋ねられていた。


11時に開始。ホーム谷中は中間地点なので、まだ人出はゆっくり。今日も「ミスター一箱古本市」のタスキをかけて出陣。よみせ通りは29日よりも歩いている人が多く、眼を避けるようにして不忍通りへ。しかし、大通りだとよけい目立つ感じも。


〈古書ほうろう〉に到着。ココは7箱(1箱キャンセル)。「Book!Book!Sendai」「YEBISU ART LABO FOR BOOKS」「岡崎武志堂」「水族館劇場」という強力な箱が出ている。火星の庭の前野さんから、水牛楽団のカセットブック《休業》(本本堂)とカセットテープ《フジムラストア》を見せられ、悩んだ末に買う。2本で3500円。前者には2冊のブックレットがつき、坂本龍一浅田彰高橋悠治八巻美恵の座談会を収録(集合写真にはなぜか八巻さんだけ写っておらず残念)。本本堂は坂本龍一の出版レーベルで、冬樹社が発売元になっていた。


「YEBISU ART LABO FOR BOOKS」は、「OMIAI BOOKS」という企画で参戦。本は紙でくるまれて中身が見えず、外側には本文の一節と、登場人物の属性(性別とか性格とか)が書かれている。それを見て、自分とマッチしそうだなと思ったものを買うという趣向。コレはブックピックオーケストラの「文庫本葉書」以来の名アイデアだなあ。2冊買ったら、1冊はやや想像通り、もう1冊は意外な作品だった。「この引用見つけるの大変でしょ」と岩上さんに云うとやっぱりその通りだと。ぼくも毎回「小説検定」で苦労してるからなあ。

「ろんどんぴっぐ」の箱を眺めていたら、「去年の秋の一箱で、スポーツ小説を探してましたよね?」と声をかけられる。たしかに「小説検定」用にスポーツの出てくる小説がないかと、何人かに訊いていたのだ。店主の彼が箱から取り出したのは、神吉拓郎『芝の上のライオンたち』(旺文社文庫)。スリップには「前回出品した時、『スポーツ小説』ないの?というお客様がいらしたので置いてみます。ラグビー」とある。おお、この本はオレを待っていたのか。もちろんありがたく買う。200円。


その隣の「bukubukucafe」は、箱ではなく、本を面出しできるラックを使用している。若い男性に「これ、自作してるんですか?」と訊くと、書店で働いていて、手帳の販売ラックをもらったのだという。テリー・サザーン『レッド・ダート・マリファナ』(国書刊行会)を買う。訳者は松永良平さんだ。CDがあったので訊いてみると、自作の音楽を収録したもので、自作の小説を読めるアドレスも封入されているとのこと。あとで聴いてみたが、打ちこみ+弾き語りでかなり上手い。「ムーンリヴァー」のカバーなんか、雰囲気出ていた。



ほうろうでは朝からNHKが取材中。ぼくもインタビューされる(実際の放映で全面カットされたのはご存じの通り。赤シャツにタスキという服装が悪かったのか?)。お客さんにもたくさん声をかけられる。今回の岡崎さんの古本おみくじの「凶」は「ナンダロウくんに頭をなでてもらう」で、3、4人ぐらいの頭をなでなでした。金沢で四月からブックカフェ〈NYANCAFE〉をはじめたというTさんから、金沢でも一箱古本市が計画中というハナシを聴く。


そうこうしてると、横断歩道の方から異様な集団が。五っ葉文庫の古沢くん率いる「痕跡本ツアー」の御一行だ。さっそく箱や店内に散らばって、痕跡本を探しにかかる。参加者にライターの大塚幸代さんがいてビックリ。『クイックジャパン』で岡崎京子レビューを何人かでやったとき以来かな? 痕跡本をいち早く紹介したことがあるという。次のスポットである〈花歩〉にツアー一行を案内。ココは2箱。塩山芳明さんはお出かけ中で、ゴス娘さんが本を読んでいる。


次は〈コシヅカハム〉。ココは最大の10箱。「書評王の島と朝倉かすみ」では、買った人に豊崎由美さんの「幸あれ〜」という祝福が。「ANTIQUEスピカ」は昔のカストリ雑誌やパンフレットなどがたくさん。中野で古道具のお店をやっているのだという。朝日新聞の戦時プロパガンダの冊子など、興味深いもの多し。「とり、本屋さんをする」は、以前からの知り合いのブロガーだが、自作の木箱が素敵だった。


ココで「痕跡本ツアーに遅刻した」という男女がいたので、ツアーの最終地点まで案内する。道々話を聴くと、高円寺で古着屋をやっているとか。〈素人の乱〉関係者かなと思ったら、やっぱりそうだったみたいだ。夕焼けだんだん上のビル、以前〈ザクロ〉が入っていた2階に6月、新しい古本屋がオープンする。ほうろうから山崎・神原夫妻が独立し、〈古書信天翁(あほうどり)〉となるのだ。これから内装に入るが、そのスケルトン状態のスペースに座布団を敷いて、五っ葉くんの解説というか、妄想トークが進行中だった。


〈アートスペースゲント〉へ。ココは4箱。「書肆たんこ部」は牧野伊佐夫さんの同人誌などを販売。1000円で似顔絵を描いてくださるというので、お願いする。いつも笑っている牧野さんだが、絵を描きはじめると、こちらを見る目がギュッと鋭くなる。だから、横から声をかけられても、目を動かせなかった。10分後に完成。数人から「3割増しにいい男になっている」と云われる。「たけうま書房」は、トンブリン提供の「一箱専用の箱」を使用。CDを下の収納スペースに並べる。今回は「ムCD」ということで、ムシが曲名に出ていたり、ジャケットに使われているものをセレクト。それでいて、音楽的に彼の好みを反映しているのだから、すごいセンスだ。ハチのイラストのジャケットのボビー・コン[ラブ・ソングス]、「BUG」という曲の入っているPhish[Farmhouse]、虫の声が入っているレイモンド・スコット[The Unexpected]を買う。



今回初めて使わせていただいた〈TOKYOBIKEnoOFFICE〉前は3箱。「JUNGLE BOOKS」のテーマは「少年」。微笑ましい少年小説だけでなく、『泰西少年愛読本』や佐野美津男『浮浪児の栄光』が同じ箱に並ぶのが真骨頂か。出品リストをいただく。このリスト配布は他の箱でもだんだん増えてきたので、いずれこれらをまとめたファイルをつくりたいと思っている。全部の箱が1枚ずつフリペをつくって配布したら、すごいコトになるなあ。じつは旅猫雑貨店の「雑司が谷横丁文庫」では、けん玉に成功すると割引を実施中。目の前でチャレンジした女性がいて、見事いちばん難しいのに成功していた。


その斜め向かいは〈Gallery Jin+classico〉。二店の前で計7箱。名古屋から「しぃの家」が参加。「トンブリン」は一箱専用の箱に、「箱」をテーマにした本を並べるという、ハコづくしの趣向。実行委員としても忙しいのに、よくココまで凝る気力があった。えらい。ホーム谷中に戻ると、人出がピークに。そこに痕跡本ツアーの二回目がやってきて、すごいことに。〈ジュンク堂〉新宿店を離れ、新しい会社に移るMさん(現在Iさん)にも会う。

往来堂書店〉へ。ココは5箱。小布施からの「まちとしょテラソ」、よく売れている。村上春樹の本で揃えた「村上さん本舗+α」はほとんど残りがなかった。昨年「ブックマルシェ佐賀」を開催したスタッフの人たちに会い、お土産のお菓子を頂く。三崎坂をのぼって、〈藍と絹のギャラリー〉へ。ココは2箱。「つれづれ書店」で、ミニコミ『つれづれ』創刊号を買う。特集は「30歳」。今日の一箱に合わせて創刊したのだという。300円。


ようやく最後のスポットである〈貸はらっぱ音地〉にたどり着く。ココは6箱。「ブックオカ」と「酒とはかた」という福岡つながりの2箱が並び、その横に「デラシネ通信社」が。大島幹雄さんにご挨拶。「古本赤いドリル」は、赤い革命の世界というか、反権力闘争や思想犯罪などの本で構成。「カービン銃ギャング事件主犯 元死刑囚K・O著」の『さらばわが友 実録・大物死刑囚たち』(徳間書店)を見つけて、驚く。中島貞夫に同タイトルの映画があるけど、公開と同じ年(1980年)に原作本が出ていたのか。


4時前になったので、藍と絹のギャラリーに戻り、そこで終了を待つ。終わってから、ココとはらっぱの集計用紙を回収し、西日暮里の仕事場で荷物を置いてから、打ち上げ会場の〈八天将〉へ。いろいろ準備しているうちに、店主さんや助っ人さんが集まってくる。6時に乾杯。そして、表彰式へ。結果はこちら。

◎Book!Book!Sendai賞 ANTIQUEスピカ(コシヅカハム前)
ブックオカ賞 水族館劇場(古書ほうろう前)
◎まちとしょテラソ(小布施)賞 古本赤いドリル(貸はらっぱ音地前)
◎ブックマークナゴヤ賞 たけうま書房(アートスペースゲント前)
◎トヨザキ社長賞 トンブリン(Gallery Jin+classico前)
朝倉かすみ賞 のほほんや(アートスペースゲント前)
岡崎武志賞 とり、本屋さんをする(コシヅカハム前)
往来堂書店賞 JUNGLE BOOKS(TOKYOBIKEnoOFFICE前)
南陀楼綾繁賞 Bukubukucafe(古書ほうろう前)


《売上冊数ベスト3》
1位 書評王の島と朝倉かすみ(コシヅカハム前) 137点
2位 WれどもWれども(Gallery Jin+classico前) 125点
3位 古本かわうそ往来堂書店前) 117点


《売上金額ベスト3》
1位 あり小屋(コシヅカハム前)
2位 書評王の島と朝倉かすみ(コシヅカハム前)
3位 オヤジ書房新社(特養ホーム谷中前)


《合計点数》 2,719点  一箱平均 50点
《売上合計金額》 1,040,030円  一箱平均 19,260円


マイクを使ったが、横に長い店で死角になる壁もあり、とても声が響かない。いちど飲んじゃうと話し声も大きくなるし。だから、仕切るのは大変だったけど、まあ盛り上がったのではないだろうか。本当はサプライズ司会にほうろうのミカコさんが決まっていたのだが、この混雑で二人の掛け合いをやるのは無理なので諦めた。来年、お願いします。


2時間半でお開きになり、残った人たちで〈和民〉へ。30人しか入れないということだったのに、50人ぐらいいて、隅っこの方に縮こまっていた。12時まで飲んで解散し、さらにほうろうで飲むというので付き合わされる。そこに、ツカダさんから電話があり、千駄木で飲んでいた豊崎由美さん、朝倉かすみさんの御一行が合流すると。バーッと来て、いろんな悪口を云ってサーッと帰っていかれた。ぼくも翌日のシンポがあるので、2時には帰る。長い一日だった。


とにかく二日間の一箱古本市が、無事に終わりました。天候に恵まれたことが大きかったとはいえ、これだけ大勢の人が参加するイベントが、何のトラブルもなく終えられたことは、大家さん、店主さん、プレゼンターの皆さんのご協力があったからこそです。そして、事前から労を惜しまず動いてくださった助っ人の皆さんがいなければ、一箱古本市は成立しませんでした。ありがとうございます。実行委員の皆さんもお疲れ様でした。