100分のうち80分寝る

朝8時起き。《つばさ》はちょっと中だるみ気味。仕事場に行き、まず「早稲田古本村通信」の原稿。ほとんど覚えてなかったことが、23年前の手帖を見ると一気に甦ってくる。一休みして、『本が好き!』の原稿。今回は不忍ブックストリートの話で、どうしても客観的には書けないし、字数も少ないので難渋する。単行本化のときに大幅に書き加えるつもり。2時にいちおう仕上がる。


進行中の仕事に関する資料がどかどか届く。幻戯書房のTさんが、宇野亜喜良奥の細道』を送ってくれた。冒頭に俳句を1句引き、それについての文章とイラストを添えるという構成。あとがきに扉野良人さん(ヨッ、新婚!)の名前が出ている。宇野さんのゴージャスなイラストを落ち着いた装幀に仕立てたのは、間村俊一さん。幻戯書房で最初に間村さんにお願いしたのは、ぼくが編集した青柳いづみこ川本三郎編『「阿佐ヶ谷会」文学アルバム』で、それ以降もお願いしているようだ。


3時半に出て、阿佐ヶ谷へ。駅前の丸長に入り、ビールとシューマイを頼む。これから映画を観るので、眠くなってはいかんと思うが、一仕事終わった解放感で、つい。それとチャーシューつけ麺。なぜか、まだつけ麺に飽きずにいる。〈ラピュタ阿佐ヶ谷〉で中平康特集。こないだもらった招待券で入る。《現代悪党仁義》(1965)を観はじめるが、最初の5分で眠くなり、登場人物を把握しないままスヤスヤ。途中、何度か気がついたが、また眠ってしまい、目覚めたのはラストから15分前だった。結局、どういう映画か判らないままに終了。100分のうち80分も眠ってしまったのは初めてだ。暗闇になると眠くなる体質になってしまったのか。それとも、中平康と相性が悪いんだろうか。


JRで恵比寿へ。西口の飲み屋が並ぶ小路にある〈さいき〉へ。木造2階建ての居酒屋。1階はお客さんで満員。2階の小座敷へ。すすけた襖や、上の棚に本が並んでいる(なぜか『契沖全集』が!)のがイイ感じ。ここで東京のエルマガジン社の3人と、マユたんこと河出の高野麻結子さんと飲む。東京の隅々まで詳しいヒトたちだから、あちこちの話題が出る。ぶっきら棒だがけっこう親切な、たぶん中国人のお姉さんがときどき登場するのもいいアクセントになった。


風が通るので、襖を開けていたら、隣の座敷から出てきた男性が「おお!」と云う。なんと、間村俊一さんだった。神楽坂や神保町でバッタリ会うのは不思議じゃないが、こんなところでお目にかかるとは。一緒にいる作家の方がこの店の常連なのだと。間村さんは今年、早稲田大学の文化構想学部で「装幀と文学」(毎週水曜日16時半〜)という講義を持っているそうで、来週は石神井書林内堀弘さんがボン書店について話されるという。そんなスゴイ講義があるとは、現役早大生の豆惚舎くんも云ってなかったぞ。間村さんから聴きに来いと誘われたので、(原稿が終わっていれば)行くつもり。ニセ学生歓迎だそうなので、興味のある方はどうぞ。ちなみに、以下のブログによればそのあとのゲストも豪華。
http://d.hatena.ne.jp/bungeijournalism/20090511


11時にお開きとなり、マユたんとJRで帰る。以前彼女がプチグラでつくったインタビュー集『ぼくのしょうらいのゆめ』が文春文庫に入ったのでいただく。舟越桂インタビューを追加。単行本からは図版が減ったようだが。この内容は文庫に似合う。マユたんはいよいよ河出で、自分の企画が出せるようになり、張り切っている。考えてみれば、彼女とは交通新聞社にいたときに出した2冊にちょっと書いただけで、その後は一緒に仕事をしたことはない。それなのに、付き合いが途切れずに続いているのが不思議。いつか、彼女と一冊本をつくりたいものだ。西日暮里に戻ると、またアマゾンの大箱が2箱。部屋に放り込んでおいて、ウチに帰る。芋焼酎を飲みすぎたせいか、ちょっと頭が痛い。


助っ人Tさんが発作的に書いてぼくに送りつけてきた、「不忍ブックストリートMAP」配布のレポートが面白かったので、「しのばずくん便り」に分割掲載します(http://d.hatena.ne.jp/shinobazukun/20090522/p1)。題して、「助っ人〈不忍マピヨン〉のMAP配りの日々」。助っ人さんにナニをやっていただいているかの一端がうかがえる、好読み物です。何回か続きますので、ご愛読を。