チキンどもの宴

朝8時起き。仕事場に行き、昼過ぎまでに長めの原稿を1本書く。今日のトークのメモを取り、明日書くための資料を読んでから、1時に出かける。池袋で、東武百貨店の〈旭屋書店〉(都内に残っている数少ない旭屋では?)を覗き、書評の本を選ぶ。ココのカウンターはいつも客が長い列をつくっている。近くのラーメン屋で油そばを食べる。あまりくどくなく、けっこうウマい。


会場には2時すぎに来いと云われているが、どう考えても、そんなに早く行く必要がない。そこで、西池袋の街をぶらぶらと歩き、公園のベンチで塩山さんの本にざっと目を通す。酒屋の自販機で缶ビールを買い、会場の「上がり屋敷」へ。入口に〈往来座〉の瀬戸さんが立っているが、昔のGSの歌手みたいな髪型になっている。そのあと、退屈男くんにあったら、その一世代下みたいなカットになっていた。いつの世代だ。今日の主役の塩山芳明武藤良子の両名は、早くも到着していた。虚勢を張っているが、ふたりともけっこう緊張しているのが伝わってくる。意外とチキンなのである(あとから否定してもダメ、みんなが見てたぞ)。


リハーサルが終わり、お客さんがしだいに入ってくる。4時10分にスタート。リコシェ・豆ちゃんの開会の辞、アストラ・奥山嬢の葬儀調のあいさつに続き、3人で壇上に上がる。座布団に座り、ビールを飲みながらトーク開始。最初はジャブ程度に、塩山本の「外側」についての悪口を。そのあと、Pippoとウサリンのライブ。30分ほどだが、じつに堂々としてやりきった。途中の詩の朗読もイイ。前にライブハウスでのアウェイ感はまるでなく、初めて見る客も楽しんでいた(最初、苦笑気味に下を向いていた人が、終わりの方では手拍子をしていた)。休憩をはさみ、後半。すっかり出来上がってきたので、二人の受け答えも上がり調子になり、安心してツッコミを入れられる。ときどき、こちらにも攻撃が来るので油断できない。途中、いがらしみきおさんに出ていただいたが、「耳が悪いから話がうまくできない」とおっしゃっるにもかかわらず、話がめちゃくちゃうまく、間の取り方が絶妙だった。6月に仙台での塩山・いがらしトークを司会することになっているが、なんの心配もいらないな、コレは。


終りごろ、塩山さんから「なんでそんなにオレの文章を買ってるの?」と真顔で質問される。そ、それに公衆の面前で答えろっつのか。なんて、自己愛の強いヒトなんだ……。お客さんからの質問を入れて、6時40分ぐらいに終了。盛りだくさんの内容のわりには、コンパクトにまとまったほうだろう。終わってから、何人ものお客さんに声をかけられ、おおむね好評だったのでヨカッタ。セドローくんがブログで司会をホメてくれた(わめぞのドンに褒められると、なんかウラがあるんじゃないかと疑ってしまうが)。昨年来の「トーク十番勝負」の修業の成果がすこしはあったかも。塩山、ムトーの二人は、終わった途端、さきほどの緊張を忘れたように元気になる。やっぱ、この二人、似てるわ。


目白駅近くの〈海賊〉という居酒屋で、打ち上げ。いがらしさん、多田さん、高崎俊夫さんらと話す。栗原裕一郎さんも来てくれ、ムトーから「出版界の変な慣習を変えるために立ち上がれ!」と無茶なハッパをかけられていた。岡崎武志さんからは、水戸芸術館の雑誌『WALK』の日記特集号をいただく。岡崎さん、栗原さん、林哲夫さんらが日記を書いている。10時頃にお開きとなり、目白から帰る。