素晴らしき〈書原〉仙川店

ご無沙汰です。ライターと名乗りつつ、昨年までは月刊誌の仕事が少なかったので、「年末進行」というヤツがどこか他人事だったのですが、今年はそれに引っかかる仕事がかなり増えた上、単行本の編集や書下ろしの準備があり、さらにコミケに間に合わせるためのミニコミを編集していたりで、なんだかスゴイことに。ちょうどこの時期、旬公が海外に行っているので、愚痴を云う相手もおらず、夜はDVDで映画ばかり観ています。なんだか淋しいので、塩山さんや畠中さんを誘って忘年会をやったら、武藤さんに「この店高いよ! ナンダロウさん」と怒られ(6人で4時間さんざん飲み食いしたんだから、仕方ないと)、酔っ払って従順になった塩山さんを武藤さんが騙して2万円払わせたり。


今日は午前中に打ち合わせがあり、そのまま取材に。京王線の仙川だったのだが、帰りの商店街に〈書原〉を発見。入るなり、阿佐ヶ谷の同店よりもスペースを広く取ってはいるが、その精神は阿佐ヶ谷にも劣らないディープな店であることを直感。なにしろ、新刊の新書とか文庫が版元別に平積みされてなく、テーマごとに一冊ずつ既刊と混ぜて並べられているのだ。ちょっと覗くには不向きな店で、いつかじっくり眺めに来たいもの。竹内洋『学問の下流化』(中央公論新社)、猪野健治山口組概論』(ちくま新書)、『コミックビーム』1月号を買う。千駄木に戻り、デザイナーIさんから三校を受け取り、西日暮里に行き、原稿を書く。1本書き上げたが、まだ残りが◎本ある。


このような状況で昨日、ある本のオビ文を書いてほしいという依頼をいただく。好きな著者だし面白いテーマなので快諾したいところだったが、締め切りまでに一週間しかないという。せめて2日延ばしてほしいと頼んだけど、来週末に入稿するというので断るカタチになってしまった。いろいろ事情はあるんだろうけど、週刊誌じゃないんだからさー、一冊分のゲラを読む時間と労力を考えて頼んでくださいよ。


ウチに帰って、アラン・パーカー監督《ザ・コミットメンツ》(1991・アイルランド)を観て涙が出そうになった。ダブリンの底辺でくすぶっている連中が、バンドという軸に向かって集結していく前半はコミカルで楽しく、バンドがどんどん成長していく一方でエゴがむき出しになっていく後半は甘酸っぱい。ヴォーカルを、ブサイクで下品で最悪の性格だけど歌声は素晴らしいという男にしたのもイイ。もっと早く観るべきだった。日本でコレに匹敵する音楽映画はあるんだろうか? 


来週17日(水)の津野さんとのトーク、まだ予約受付中です。ぜひどうぞ。

『ぐるり』プレゼンツ
南陀楼綾繁トーク十番勝負 その8
雑誌が生まれる場所〜『おかしな時代』刊行記念〜


出演
津野海太郎(編集者・演出家)
南陀楼綾繁(ライター・編集者)


サブカルチャー〉が生まれていく過程を時代の息づかいとともに描いた『おかしな時代 「ワンダーランド」と黒テントへの日々』(本の雑誌社)の著者・津野海太郎さんを迎えてトークします。『新日本文学』、『ワンダーランド』、『水牛通信』など、津野さんが関わってきた雑誌について、たっぷりとお話を聞いていきます。また、執筆者あるいは読者として関わってきた雑誌についても話していただきます。『季刊・本とコンピュータ』以来の師弟による対談です。どこまでつっこめるか、乞うご期待!?


日時 2008年12月17日(水) 18:30開場/19:00開始
場所 古書ほうろう
文京区千駄木3-25-5 1F
電話 03-3824-3388
http://www.yanesen.net/horo/


入場料 1000円(要予約、飲みもの持込み自由)
予約方法 
(1)ビレッジプレス「ぐるり」編集部
info@village-press.net 03-3928-7699
(2)古書ほうろう 店頭受付のみ


津野海太郎(つの・かいたろう)
1938年、福岡県生れ。和光大学表現学部教授。著書に『小さなメディアの必要』『本とコンピューター』(以上、晶文社)、『新・本とつきあう法』(中公新書)、『滑稽な巨人 坪内逍遥の夢』『ジェローム・ロビンスが死んだ ミュージカルと赤狩り』(以上、平凡社)など。