「けものみち文庫」創刊!

10時前、ミニコミ『積んでは崩し』が宅急便でドーンと届く。仕事場には200冊ちょっと。コミケで販売する分はブースに直接持ち込まれる。表紙の写真、もうちょっと明るく出るかと思っていたが、しかし、見た感じは悪くない。10年ぶりに印刷でつくったミニコミなので、やはり嬉しい(こんなコトやってる間に、出版社からの書下ろしを進めろよという声が聞こえるが)。


というワケで、もう一度告知です。

けものみち文庫1
積んでは崩し 南陀楼綾繁のブックレビュー&コラム1999〜2004


A5判・88ページ・表紙カラー
定価1000円+税


けものみちに埋もれていた掲載誌やパソコンのハードディスクから発掘された、南陀楼綾繁の書評や本に関するコラムのテキストを集成。もちろん全文単行本未収録。


8月17日(日)コミックマーケットにて発売
西 な―15b サークル「けものみち計画」
以後、古書ほうろう、東京堂書店ほかで販売予定

コミケの翌日、〈古書ほうろう〉でのトークでも販売します。今回は300部制作で、印刷費とデザイナーへの謝礼を入れて、120部ほどでモトが取れる計算。コミケとほうろうトークの2日間でその半分ぐらい売れたらイイなあと思っています。みなさま、よろしくです。また、置いてくれる書店やブックカフェを募集中。10部単位で納品させてもらえると助かります。


以下に、まえがきと第一部のリストを載せておきます。

はじめに


 ある大学で非常勤として「雑誌研究」という講義を持っていて、そこの学生たちに「とにかく自分でミニコミをつくってみろ」と焚きつけているウチに、そういえばぼく自身、十年ぐらいミニコミつくってないなと気づいた。
 印刷本をつくったのは一九九八年の『日記日和』が最後で、その後、『モクローくん通信』という古書目録についてのフリーペーパーをつくっていたが、数年前から出ていない。
 だからといって、ライターとして活躍していて、どこの出版社からでも本が出せる状況では、もちろんない。いや、声をかけてくださる編集者はいるのだが、基本的にどれも書き下ろしのハナシなのだ。「あちこちの雑誌やウェブ媒体に書いてきた文章を集めて出しましょう、編集はぼくにお任せください!」という編集者が出現するのを待っていたが、一向にそんな気配はない。
 しょうがない、やっぱり自分で出すか、としぶしぶ重い腰を上げた。……カネもないのに。
 仕事場の「けものみち」に埋もれている掲載誌や、パソコンのハードディスクの中をさらって見つけ出したテキストをまとめて、とにかく一冊にまとめてしまおうというのが、この「けものみち文庫」の趣旨である。
 自分の文章だけでなく、ほかのヒトでも、こんなに量があるのにまとめないともったいないと思えるものを出していきたいと思う。
 一冊目は、いろんなところに書いた書評を集めた。ほんとは今年書いたものまで入れるつもりだったが、量が膨大になるので、一九九九年から二〇〇四年までの六年間にしぼった。
 連載中の『COMIC Mate』の「活字本でも読んでみっか」、『SPA!』の「文庫一冊決め」は、今回は収録していない。
 第二部は、毎月二回編集を担当している「書評のメルマガ」に載せた本の紹介やコラム、アンケートなどを適宜拾ってまとめた。
 書いた記憶があっても原稿テキストや掲載誌が見つからないもの、探し出す努力はしなかった。それと、ゲラ(校正)のときに入れた直しは、ほとんど反映していない。テキストと切抜きを照らし合わせるのには、すごくタイヘンなので。
 つまり、この本は初稿そのままの、未編集バージョンで、ショーケースみたいなものだとご理解いただきたい。
 ここに入ってない分を手間をかけて探し出したり、原稿と切抜きを照合したり、それを気の利いた配置にするなどの作業は、いつか現れるかもしれない、奇特な編集者にお願いしたい。……来世になるかもしれないが。
 そういうワケで、「雑纂」という言葉がふさわしいつくりになっていますが、取り上げた本の幅広さにだけは自信があります。どこからでもイイので、読んでくださいませ。


二〇〇八年七月十七日
                          南陀楼綾繁


第一部で取り上げた本・雑誌(登場順)
塩山芳明『嫌われ者の記』 
飯島朋子『映画のなかの図書館』
島本和彦燃えよペン
小沢信男『裸の大将一代記』
冨田均『東京映画名所図鑑』
日本缶詰協会監修『缶詰ラベル博物館』
大村彦次郎『文壇栄華物語』
『気刊 何の雑誌ストロング』
青井夏海『スタジアム 虹の事件簿』
野原一夫『含羞の人 回想の古田晁
福島正実『未踏の時代』
蝦名則『美術本屋の旧刊案内』
伊藤理佐『やっちまったよ!一戸建て』
みなもと太郎風雲児たち
秋山祐徳太子『泡沫桀人列伝』
大庭萱朗編『田中小実昌エッセイコレクション』
山本マサユキガタピシ車で行こう!!』
いましろたかし『釣れんボーイ』
川崎ゆきお『秘蔵版・猟奇玉手箱』
岡崎英生『劇画狂時代』
大屋幸世『蒐書日誌』
『別冊太陽 発禁本』
野坂昭如『文壇』
大村彦次郎『ある文芸編集者の一生』
林哲夫『喫茶店の時代』
川畑直道『原弘と「僕達の新活版術」』
藤木TDCブラボー川上『東京裏路地〈懐〉食紀行』
笠原和夫荒井晴彦・スガ【糸へんに圭】秀実『昭和の劇 映画脚本家・笠原和夫
横山剣『クレイジーケンの夜のエアポケット』
中村よお関西フォーク'70sあたり』
貸本マンガ史研究
杉山平一『戦後関西詩壇回想』
『別冊太陽 城市郎の発禁本人生』
佐藤嘉尚『「面白半分」の作家たち』
中野三敏『本道楽』
柳原良平『Ryohei Yanagihara』
荻原魚雷『古本と借家』
『いろは』
亀有名画座閉館五周年記念 今井通雄ロングインタビュー』
清水一嘉『ソウルの古本屋』
『ポケットのなかの千野教授』
いわき市草野心平記念文学館編『真尾倍弘・悦子展 たった二人の工場から』図録
田口久美子『書店風雲録』
小田光雄『書店の近代』
岡崎武志+CWS編『本屋さんになる!』
うらわ美術館岩波書店編集部編『創刊号のパノラマ 近代日本の雑誌岩波書店コレクションより』
星新一『きまぐれロボット』