大井町よいとこ

朝から仕事場で、紀要の校正。眠気をこらえて、夕方までにカタをつける。途中、「十番勝負」のチラシを印刷して、〈古書ほうろう〉に持っていく。


6時に出て、京浜東北線大井町へ。好きな街なのだが、〈大井武蔵野館〉の閉館(1999年)以来、めっきり来る回数が減ってしまった。東口を出ると、駅ビルみたいになっていて〈ブックファースト〉が入っていたので驚く(しょぼい品揃えだったけど)。東小路に入る手前の建物が今風になっていたので、心配したが、東小路の飲み屋街は健在だった。ちょっと先にある〈海老原書店〉も残っていて、あいかわらず狭い店なのに品揃えがよい。塩山芳明『東京の暴れん坊』(右文書院)なんてのもあったりして。「特集 馬込村の文士たち」の『史誌 大田区史研究』第32号を800円で買う。宇野千代の随想、近藤富枝、木村久邇典の講演などを収録。大田区は『馬込文士村ガイドブック』などの冊子を刊行しているが、コレは知らなかった。東小路に戻ると、いつも寄っていた〈永楽〉が定休日。その数軒隣にあって店構えも似ている〈朋友〉でビールとギョーザ、焼きそばを食べる。五臓六腑にしみわたるウマさだなあ。


8時に改札で、渡邊裕之さん、光文社のMさん、右文書院の青柳さんと待ち合わせ。渡邊さん編集の『ポスト・ブックレビューの時代 倉本四郎書評集』の上巻が刊行されたので、そのお祝い。青柳さんオススメの〈しげちゃん〉で、焼酎のゴーヤ割という妙なものを飲み、その裏にあるジャズバーへ。そのバーはいいレコードをかけていた(亡くなったばかりのジョニー・グリフィン)が、冷房がなくて、穴倉みたいな場所に座ったので、酸欠状態になった。11時にお開きになり、京浜東北線で帰る。青柳さんのハナシでは、東小路は再開発で消える予定になっているらしい。とつぜん消えたら悔やんでも悔やみきれないので、せいぜい通おうと思う。