七夕にはゾウリTシャツ

土日は、昨日までの疲れが出てしまったのと、あまりの暑さに外に出る気がせず。三省堂での岡崎・山本トークも、「外市」も行けずじまい。講演の原稿まとめをやった以外は、仕事場で本ばかり読んでいる。


栗原裕一郎『〈盗作〉の文学史 市場・メディア・著作権』(新曜社)を、半日かけて一気読み。「盗作事件とは本質的にメディアの問題」という観点から、「文芸作品をめぐって起こった盗作事件の収集と分析と検証を目指したもの」というまえがきの言葉どおり、戦前から現在にいたるまでの盗作事件を網羅している。盗作じたいはここで取り上げている以外にもあるはずだが、それらは噂だったり伝聞だったりして、きちんとした記録が残っていない。本書では「盗作事件」として報道されたり、記録されたりしたものを取り上げているが、それらの事件をめぐっても、明確に盗作だと判明したケースは少なく、うやむやのまま忘れられることが多い。「まるまるパクリ」が少ない(少なくともパクリだと確定されていない)のは、けっこう意外だった。個人的には、『噂の眞相』でリアルタイムに経過を見ていた山崎豊子の『大地の子』事件がやはりおもしろい。索引と年表がついているので、この先何度も参照するであろう一冊。まえがきにあるとおり、手に取ったらレジに直行すべきだ。


〈盗作〉の文学史

〈盗作〉の文学史


ほかにも感じたコトはあるが、8月の「トーク十番勝負」のお相手に、著者の栗原さんが出てくれることになったから、そこで話します。会場は〈古書ほうろう〉で、日時は8月半ばで調整中。さらにゲストも出演予定です。けっこうエグい話になりそうなので、乞うご期待。


気になったこと一つ。誤字は少なかったようだが、「おのれ【の】顔」(452ページ)、「小さな論争【が】あった」(457ページ)、「構成【に】なっている」(475ページ)など、なぜか助詞が抜け落ちている例がある(ほかにも何箇所かあり)。助詞の書き落としというのは考えにくいのだが、校正で脱落したんだろうか?


月曜は一日机の前にいるも、不捗。帰りに千駄木駅売店で、雑誌を買ったら、店のおばさんがこっちを指してナニか云う。ちょうど電車が来て聞こえなかったので、聞き返すと「そのTシャツ、変わってるわね」だって。云わずと知れた、ゾウリTシャツだ。韓国で買ってから10年近く、旬公の「早く棄てろ」攻撃にもめげず、夏になるとひっぱりだしている。このTシャツ、やたらとおばさん(とくに関西方面)にウケがいいのは、なぜだろう?


『未来』7月号の「書店のABC」に中尾幸葉「紙がみと書店と」が掲載。「書評のメルマガ」で連載している、リブロの荒木幸葉のことね。連載でもしばしば書いているけど、このひと、店内で拾った紙モノをコレクションしているのだ。目のつけどころがいつもオモシロイ。彼女のエッセイ集を出したいと前から思っているのだが、どこか乗ってくれる版元がいないかなあ(興味あれば南陀楼までご連絡くださいませ)。