人生初IKEA

けものみち計画」事務所のフロント部分は、旬公の努力と高橋美礼さんのレイアウトによって、昨年4月には仕事場っぽいカンジに生まれ変わっていた。しかし、「けものみち」の本体たるぼくの部屋は手付かずで、日が経つうちに床が見えなくなっていった。そこで、フロントにある製本作業用の大きな机にパソコンを持ってきて、仕事をしてみたところ、きわめて快適でそこに居着いてしまった。蜜月は続かず、昨年秋に「そろそろナンとかしないと追い出す」と旬公に云われ、不忍ブックストリート青秋部のイシイ青年をアルバイトに雇い、奥の院の解体に着手した。美礼さんにも再度採寸に来てもらい(最初に来てもらったときには上から本が落ちてくるので危険だった)、購入する棚まで決めた。これまで使っていた棚6本をすべて廃棄し、その代わりに、同じ種類の棚を導入するコトとなった。


そして昨日、いよいよ棚を買出しに。目指すは〈IKEA〉横浜港北店。〈往来座〉のまこちさんに運転してもらい、瀬戸さん、美礼さんと一緒に乗り込んだ。1時間ほどして到着。「とにかく巨大」と聞かされていたが、高速道路を降りるときに、でっかいマークが目に入ってきて驚いた。ナカは目的ごとにフロアが分かれており、1フロアの広さが尋常じゃない。そして、全体に「いいものを安く」という信念(エコ風味入り)が充満しており、家族連れで訪れる客(平日だというのにたくさんいた)もそれを喜んで受け入れているようで、息苦しかった。しかし、そんなコト云ってられないのでちゃんと棚を見る(美礼さんに「これイイですね」と云われれば「そうだねえ〜」と返すだけの主体性なきオーナーなのだが)。1フロア見終わってレストラン(これもIKEA直営でスウェーデン風メニュー)に入ったときに、もう1時間半経っていたことに驚く。この空間では時間の流れが速いのか。さらに2時間かけてライトなどの小物を選び、最後に巨大な倉庫で棚6本、椅子1つを運び出して会計する。レジでIKEAファミリーカードをつくると1万円安くなる(棚が割り引き対象だった)と云われ、はいはいとつくる。荷物を積み終わってから50円のソフトクリームも食べたし、コレだけ買ってもまだ予定の半分なのでまた来なければならないしで、どうも気に食わないIKEAなのだが、すっかり軍門に下った気がする。


帰りは後部座席に棚を突っ込み、その余白にぼくと瀬戸さんが紛れ込むようにして座ったが、まこちさんの運転がうまいのでつらくはない。3時半に西日暮里に到着。荷物を降ろしていると、イシイ青年が到着。それから部屋に上がり、まず、本棚に収まった本をフロント部分に運び出して棚をベランダに持ち出して解体、その一方で、買った棚を組み立てて奥に入れるという、無計画かつ場当たり的な作業を行なう。しかし、美礼さんの指示により瀬戸さんが棚を切ったり背板に穴を開けたりという超絶技巧を発揮、何度も何度も本を運ばされているうちにすっかり慣れてきたイシイくんとさすが本職のまこちさんが順調に本を積み上げていき、8時頃には壁面に棚が6本設置された。ぼくはとりあえず直近で使う本が紛れないように気をつけているだけで精一杯で、ナニもできず。みなさんのおかげです。


作業中、西向きの窓から沈んでいく夕日が見える。この窓は本棚で完全にふさがれるので、美礼さんが「この部屋最後の夕日ですね」と云った。夕方からヘリコプターが何機も飛んでいるので気になっていたら、夕方、千駄木四丁目で女児への通り魔事件が発生していた。あとから来た旬公が「いまそこにテレビの中継車が来てるよ」と云う。一区切りついたので、全員で〈大栄〉に行き打ち上げ。


今日は午前中に仕事場に来て、フロントに積み上げた本を奥の棚に入れていく。今度の棚は奥行きが狭い(その分、本数を多くした)ので、二重に本を入れることができない。奥の本が見えるようにしたいので、手前に数冊を横積みにするだけにした。そのため、どうしても収容率が低い。2時頃に美礼さんとイシイくんが来てくれたので、本棚に納まらない本を箱詰めしたり、床に積み上げたり、ベランダの倉庫に入れたりする。椅子を組み立てて、次回の作業で棚が4本入るスペースを空けて、今日のところは終わり。新しい椅子に座って、棚を見渡すと、本の背表紙が(前の本で一部隠れているにしろ)見えるというアタリマエの事実に感動してしまった。この大改装が完成すれば、さくさく仕事ができるようになる……のかな?


発展途上の部屋の写真をココに載せておきたかったが、デジカメのケーブルがどこかに消えてしまったので、また今度。