〈ちぐさ〉に行ったころ

午前中は布団の中で。午後になってようやく起き上がる。東京新聞の「TOKYO発」に、桜木町のジャズ喫茶〈ちぐさ〉が今月末で閉店、という記事が載っている。大学生のときに何度か来たときには、まだご主人(吉田衛氏)がお元気だった。注文すると、分厚いレコードリストを渡されて、「リクエストがあればどうぞ」と云われた。ぶっきらぼうな応対の店員が多いジャズ喫茶にあって、かなりフレンドリーな(といってベタベタしない)店だったと思う。パシフィック・レーベルの諸作品をはじめ、この店で初めて聴いたレコードは多い。1994年にお亡くなりになった。その後は妹さん(未亡人だと思っていた)が店を継いでいる。最近は1、2年にいちど入る程度の客であった。もう一度、あそこに座ってジャズを聴きたかった。


彷書月刊』届く。特集は「ふたりはいつも」。作家と妻、詩人と娘など、さまざまな関係の「ふたり」を取り上げる。地味だけどいい特集だ。〈山王書房関口良雄の未亡人・洋子さんのインタビューもあり。ぼくの連載では〈立石書店〉のオープニングイベントについて書いたのだが、岡崎さんの連載でも触れられている。ありゃー、ダブっちゃったなあ。


3時前に団子坂の銀行へ。先日もらった小切手を換金しようとしたのだが、現金では受け取れず、自分の口座がある銀行で手続きして入金するのだ、と教えられる。小切手なんて受け取ったコトがないから、そんなしくみは知らなかった。3時過ぎたので、明日やり直すしかない。本郷図書館でリクエストの本を受け取り、〈結構人ミルクホール〉へ。わりと長居して本を読む。倉知淳の猫丸先輩シリーズ、おもしろし。


書評のメルマガ」の特集「この版元がエライ!」へのご回答をお寄せくださった方、ありがとうございます。お返事出してない人もいます。すいません。締め切りは20日にしましたが、発行は来月なので、今月末までは受け付けます。「あの版元をプッシュしたい!」という方はぜひご回答を(上記アドレスまでメールで)。


では、最後に「路上派少年遊書日記――1981年・出雲」を。

1981年4月11日(土)
★今日、部会があった。このごろのいろいろなことについて話しあったのだ。
二年生の女子は二重性格が多くていやになる。


★帰りに三年生にからまれる。他の部を退部になったやつだ。チビのくせに、いばりおって。あんなもの、なぐりとばせばよかったのに。


★注文していた本が来ていた。*1
広瀬正・小説全集』の第2、3巻は品切れ、第6巻は注文していなかった。総計5冊来ていた。


★『少年ビッグコミック』NO.8 180円 小学館
買ってびっくりした。ファンコーナーのところに僕の書いた投書がのっていたのだ。
こんな投書だ。
〈表紙について一言いわせてください。
“少年ビッグ”は一作品ずつ表紙にしているのがいいですね。他の雑誌ではごちゃまぜにしているのに、“少年ビッグ”では一作品にしぼっている。それがぼくの好きな作品の時はうれしくなってしまいます。こんな“少年ビッグ”に出会えたことを、ひじょうにうれしく思っています。
島根県 河上進)〉
僕の名前が目についた時、一瞬びっくりした。まさかのっているとは思わなかったからである。
原稿料は千円である。
これが僕の初めての原稿料、自分でかせいだものである。


★今日来た本
広瀬正・小説全集 第1巻 マイナス・ゼロ』広瀬正(NO.180)1200円 河出書房新社
広瀬正・小説全集 第4巻 鏡の国のアリス広瀬正(NO.181)880円 河出書房新社
広瀬正・小説全集 第5巻 T型フォード殺人事件』広瀬正(NO.182)880円 河出書房新社
『奇想天外SF放談集』第1巻 豊田有恒他(NO.183)880円 奇想天外社
『奇想天外SF放談集』第2巻 筒井康隆他(NO.184)880円 奇想天外社


初投稿の文章が、雑誌の表紙についてだったとは……。まあ、『みゆき』の熱狂的礼賛でなかっただけマシか。

*1:書店で受け取ったのではなく、当時、家に出入りしていた、店舗を持たない本屋さんに頼んで、自宅に届けてもらったようだ。