早大生に引かれて均一台めぐり

9時起き。朝方は雨が降っていたが、午前中にやんだ。『進学レーダー』のIさんから電話があり、書評本の経費が出たので渡したいと。西日暮里の駅で受け取る。ありがたし。駅の向こうのそば屋でかき揚げ丼とうどんを食べるが、値段のワリに限りなく立ち食いに近い味だった。イロイロやっているうちに、出かける時間に。


バスに乗って早稲田へ。少しうとうとする。〈古書現世〉に行くと、この店には見慣れない女子大生が4人も店内に。「早稲田リンクス」(http://waseda-links.com/)という学内サークルが秋に出すフリーペーパーが古本特集を組むというので、その取材である。4人は、最初の依頼から熱心に連絡をしてくれていたOさんとその仲間で、もう一人、カメラ担当のSくんという男子も。この5人を引き連れて、早稲田の古本屋の均一台を回ることに。


ぼくは早稲田の古本屋は大好きだけど、均一台にはあまり目が向かない(その理由は長くなるので略す)。だから、この企画を聞いたとき、ちょっと困ったのだ。しかし、いざ出発しようとして、現世の店内均一棚を見たら、海野弘『アンドロイド眼ざめよ』(駸々堂)があるではないか! セドローくんに訊くと、「引っ込めようと思ってたけど、南陀楼さんが来るって云うから残しといた」とのこと。コレで景気がついたのか、〈三楽書房〉〈安藤書店〉〈金峯堂書店〉〈メープルブックス〉などの均一台で、イイ本が見つかる。15冊ぐらい買ったか。このうち数冊が誌面で紹介される予定。最後に〈さとし書房〉に行って、終了。そのあと、〈シェ・ヌー〉で少しハナシをする。皆さんの生年を訊くと、1984年とか86年とか答えるので、のけぞる。1986年って、オレが大学に入った年だよ。こんな酔狂な企画をやるぐらいだから、みんなけっこう本好きで、固有名詞さえちゃんと説明すればハナシについてきてくれる。そういえば、どこかの店の均一台で沢木耕太郎の『深夜特急』の文庫が全冊出てたのをOさんが見つけて、ほかの連中と取り合いになっていた。


7時に終了。セドローくんと待ち合わせて、全員で水稲荷神社へ。ココで今日と明日、「富士祭り」が行なわれているのだ。境内に「高田富士」という人造の富士があり、この二日間だけ上に登ることができる。ナカに入ると、ずらりと屋台が並ぶ。セドローくんが「ここはテキヤが入っていない」と云っていたが、そのせいか、ぼくの子どものころの縁日みたいにノンビリした感じだった。びっくりするほど多くの人が集まっている。本殿の辺りでは盆踊りもやっている。大学時代から20年ぶりに、高田富士に登る。これについては次の「早稲田古本村通信」で書きます。


半日一緒にいた大学生たちと別れ、セドローくんとグランド坂下へ。学生時代の行きつけだった〈いこい〉が更地になり、何かが建つ模様。しばらく前から営業している様子がなかったから、廃業したのだろうが……。隣の〈志乃ぶ〉(ココも学生時代からあるが、ちょっと高いのでめったに入れなかった)で、おでんなどを食べ、焼酎を飲む。9時半ごろに店を出て、最終のバスで西日暮里に帰ってくる。