大船から西荻へ

朝8時に起き、朝飯を食べてから出かける。どんよりと曇っている。京浜東北線の車中で、大村彦次郎『文士のいる風景』(ちくま文庫)を読む。大村さんの文壇三部作から、100人の作家を選び、その人らしいエピソードを入れて、3ページジャストに収めている。作家の没年順に並べているのがミソ。猿が大好きで『愛猿記』という著書もある子母沢寛のエピソードで噴き出す。

昭和四十三年七月十九日、子母沢は心筋梗塞を起こして急逝した。七十六歳。二年前、最愛の妻タマを喪って、「もう何もする気になれない」と、新しい仕事は全部断っていた。亡くなる日には、翌日お手伝いの若い女性と、横浜で映画「猿の惑星」を観ることを楽しみにしていた、という。


死ぬときまで猿がらみ。しかし、かえって「猿の惑星」を観ずにおいてヨカッタのでは? 猿のかぶりものをした人間を見たら、映画館で憤死してたかもしれない。


1時間半近く乗っていると、途中から『進学レーダー』のIさんが乗ってくる。大船の近くの某駅で降りる。日差しが急に強くなり、学校の坂を登ると汗が出てくる。Y校の取材、1時までかかった。近くの新古書店を2軒覗き(新刊刊行時に書店でいくら探しても見つからなかった、ジェフリー・ディーヴァー『クリスマス・プレゼント』があったのが収穫)、Iさんオススメの中華料理屋で焼きそばを食べる。時間がなくなってきたので、先に出る。


横浜で東海道線に乗り換え品川、山手線で新宿、中央線で西荻窪へ。3時の約束だったが、遅れてしまった。やっぱり遠いのだ。1時間ほど打ち合わせ。帰りに〈音羽館〉に寄り、海野弘1920年代の音楽 音楽の万華鏡2』(音楽之友社)1000円、を買う。広瀬さんに挨拶し、「西荻ブックマーク」のチラシをいただく。今度の日曜日の石神井書林内堀弘さんのは予約いっぱいになったようだ。盛況で何より。久しぶりに〈興居島屋〉も覗き、澄子さんからふちがみとふなとのチラシも受け取る。ふちふなの東京ライブ、〈古本酒場コクテイル〉も〈lete〉も予約で満員になってしまったそうだ。出遅れてしまった。今回は〈古書ほうろう〉以外にもドコかで聴きたいと思っている。暑くてたまらんので、〈戎〉でビールを飲み、〈にわとり文庫〉も覗くだけ覗いて、電車に乗ってウチに帰る。ちょっと雨が降り出してきた。


本の雑誌』8月号が届く。上半期ベスト特集で、旬公がコメントを寄せているのだ。さて、ナニを紹介したでしょうか。晩飯(豚肉・ニラ炒め、卵とじ)の用意をしていると、芥川賞直木賞の発表が。芥川賞伊藤たかみ角田光代さんと結婚されていることを初めて知った。直木賞森絵都三浦しをんで、三浦さんは今度「西荻ブックマーク」でハナシをすることになっているので、すぐさま満員になることだろう。