『彷書月刊』岡崎武志特集

すでに話題になってますが、『彷書月刊』5月号の特集は「岡崎武志古本劇場」です。35ページもある総力編集。どれも面白く、電車の中で全部読んでしまいました。なかでも「一九九二年 高円寺日記」がイイなあ。フリーになっての不安と期待にあふれた日々。年譜(これも興味深い)をみると、岡崎さん、このとき35歳。本人が書かれている通り、まさに「第二の青春」だったのだ。日暮里〈檸檬屋〉の荒川洋治さんを囲む会で、隣に座った『サンデー毎日』の吉田俊平から「いっぱつ、書評を書いてください」と依頼されるくだりには、10年以上の話なのに「よかったなあ」と思う。そして、自分に引き比べて、この先のぼくにもあとになって転機になるような出会いがあればいいなあ、と思う。ちなみに、この吉田氏は、たしか大月隆寛氏に毎日新聞で連載させた辣腕編集者だったはずだ。いま、検索してみたら、2年ほど前にお亡くなりになっていた。


南陀楼と内澤は「10円コンビの岡崎武志邸『アンダーグランド書斎』訪問記」を6pにわたって。みなさん「内澤さんの絵はすごい」とホメてくれていて、嬉しい反面、たぶん文章に言及してくれる読者は少ないんだろうなと思うと、コンビの片割れとしてはちょいと複雑。『気まぐれ古書店紀行』を熟読して取材に望んだ成果が、少しは文章に反映されてると思うんだけど。ちなみに、絵を起こすために、岡崎さんの書斎の膨大な棚を、テーマ別にメモしていったのはオレなんだぜえ。ものすごく手が疲れました。ついでに云えば、掛け値ナシの校了ギリギリの朝に編集部までイラスト原稿を届けたのも、ぼくでした(タダの使いっぱってことだね、ようするに)。


我ながらエライと思ったのは、特集に加えて、連載もちゃんと載ったこと。今回は「不忍ブックストリートのお助け人」として、守本善徳さんに登場いただいた。取材の段階でまだ存在しなかったブログ「IT担当@谷根千辺り」(http://d.hatena.ne.jp/ymorimoto/)を更新中。今号には、伝言板広告でも一箱古本市を載せた。


で、『彷書月刊』、今号から表紙がPP加工になった。好みの問題かもしれないが、テカテカしてちょっと安っぽいカンジだなあ。何も加工しないときのほうが、「古本雑誌」という感じがするのだが。まあ、そのうち慣れるかもしれないけど……。