『古書肆・弘文荘訪問記』はスゲエぞ!

8時半に起きる。午前中は、ふたつのゲラを直す。チェックしなければならぬコトが多く、けっこう時間がかかってしまった。一段落してから、昨日到着した青木正美『古書肆・弘文荘訪問記――反町茂雄の晩年』(日本古書通信社)を読み始める。コレが最高におもしろく、途中でやめられなくなってしまった。4時ぐらいまでかかって、370ページを読み終わった。


まえがきによると青木氏は、以前から『私の「反町茂雄」伝』を書くことを志し、その目次まで考えていた。それは実現せず、「反町氏の晩年の言行にその十年間に交わした氏との書簡を交えながら、その晩年十年の氏の面影を写そうとするもの」になった。だから本書は、日記の抜書きのように、時系列に反町と会ったこと、話したことを記録したものになった。しかし、かえってこの形式が良かったのではないか。業界内部ではよく話されていても、文字には残されてこなかった反町の強烈な人柄が、日記の記述からはっきり立ち上がってくる。いずれ書評を書くつもりなので、いちいち例は挙げないけど、ナカでもある件で突然激昂して青木氏を殴るシーンは白眉。気になるところに付箋を貼っていったら、20箇所にもなってしまった。本書に何度も出てくる反町編の鶉屋書店の追悼文集、そして反町の追悼文集は、いま某誌編集部に預けてあるのだが、早く読み返したくなった。本書は万人におもしろい本だとは云えないが、『一古書肆の思い出』(平凡社ライブラリー)を読んだコトのあるヒトにとっては、絶対オモシロイはずと断言しよう。ぼくとしては、現段階で、今年のベスト5に入ると思う。昨日〈書肆アクセス〉に入っていたので、読みたいヒトはそちらでどうぞ。


山本善行さんからメール。8月11日〜16日、京都・ガケ書房内で、「古本ソムリエ 山本善行の世界 〜ガケに蔵書大放出〜」という古本市をやるそうだ。「ガケに大放出」というのがスゴイ。その初日、下鴨神社納涼古本祭りの初日会場では、山本さんや岡崎さん、林さんが「ランチタイム・古本トーク」をやるそうだ。まず、店に入って食べ物を注文まで20分ぐらい古本話が白熱すると思います(笑)。山本さんからは、「下鴨、面白いですよ。河上くんもどうですか。古本の話、したいですね」と誘われる。行きたいけど、その二週間後に大阪に行くので、ちょっとムリだよなあ。


伊丹市の矢部直英さんからお手紙。ぼくも(幽霊)会員であるJMCC(日本マッチラベルコレクタークラブ)の会員の方で、「マッチのコレクション」(http://www.eonet.ne.jp/~nyabe/)というサイトをおやりになっている。チェコマッチラベルを1100枚お持ちで、データベース入力されているという。ぼくの本を読んで、チェコのラベルに出てくるCSNやsoloが何か判ったと感謝された。いやー、ここまで深く読み込んでいただけると、こちらこそ嬉しいです。図版中心の本であっても、マッチラベル・コレクションのディープな面を押さえておいて、ホントにヨカッタと思う。


4時過ぎに出て、郵便局に寄り、〈NOMAD〉でトークの打ち合わせ。マッチラベル9月展開催中の9月12日(月)に行うコトに。ゲスト、その他の詳細は、数日中に発表します。谷中コミュニティセンターの図書館に寄った後、夕焼けだんだんの下にできた飲み屋へ。酒類もつまみも390円均一。店内は広いが、早い時間なので、客は誰もいなかった。店員は、どうも隣の屋台村をやっていたヒトたちに思えるが、どうか。谷中銀座で買い物して帰る。晩飯は、タラチゲをつくってみる。暑気払いにはイイ味。