やむにやまれぬムーンライダーズ

マンハッタン・ラブストーリー》で書き落としていたこと。それは、小泉今日子の同僚・伊堀を演じる尾美としのりがとてもヨカッタことだ。尾美といえば、大林宣彦の映画でのナルシストっぽい少年というイメージがあったが、ここでは生活感あふれる中年オヤジを演じている。こういう歳の重ねかたもあるのだな、と思う。ちなみに、この日記で自分の好きなことを書いてあるとかならずメールで反応してくる前田“大阪のチン”和彦からは、この機会に同じクドカン脚本の《タイガー アンド ドラゴン》を観るように勧められた。

こないだ扉野さんとも、「タイガー アンド ドラゴン」及び長瀬智也の話になりました(笑) 僕は一話につき三回観てます!! クドカン作品は、テレビへの愛がビシバシ伝わるところが、何よりも良いところだと思います。


いやべつに、三回も観なくてイイですが……。それにしても、ナニに対してもいつも熱いヤツである。しかし、扉野さんも観てるとは。


午前中はウチで本の整理。段ボール箱3つを実家に送る。こないだ実家の本を大量に処分してすっきりしたのに、またしても送ってしまった。それから仕事場に行き、今度はこっちの本や書類の整理。しばらくはこんな日が続く。福岡や金沢の書店から、「本とコンピュータ」の終刊に合わせて、バックナンバーフェアをやりたいと連絡いただく。ありがたい。6月10日に最終号が出るので、その前後に、いろんな店でバックナンバーを置いてほしいと思う。首都圏だったら、編集長・スタッフがなんらかのカタチで出張ることも可能です。ご連絡は、編集室・河上までどうぞ。


5時に出て、渋谷へ。パルコの下の〈リブロ〉で、『コミックワイドショー』第2号を買う。特集は「探偵ナイトスクープ」。デザイナーのタナカちゃんと待ち合わせて、〈SHIBUYA-AX〉へ。体育館のような建物。ロビーに入ると、物販コーナーで『ユリイカ』を売っていた。へえーと思っていたら、いつもの帽子をかぶった郡編集長が出てきて、挨拶してくれる。あとのステージでも、鈴木慶一が「『ユリイカ』で特集されました」と云っていた。


一階は椅子席と立見席。今回は早くチケットを取ったので、椅子席の前から7列目、ど真ん中である。ホールでのコンサートでは、周りのヒトが最初から立ち上がり、それに付き合うかどうしようかと迷うのが、あほらしくメンドくさいのだが、ライダーズファンはクールというか歳がいってるヒトが多いセイか、あまり立ち上がるヒトもおらず、座ったままゆっくりと観られた。冒頭の「Frou Frou」から「Who’s gonna die first?」「30」と名曲が続く(以下、曲順・曲名はうろ覚え)。そのあと、ニューアルバムからの曲をやり、間に昔の曲(鈴木博文の歌う「ボクハナク」にはグッときた)を挟み、最後はインストで地味に終るという構成だった。そしてアンコールの「今すぐ君をぶっとばせ」と「BEATITUDE」で、また盛り上がった。


以前にムーンライダーズのライブを見たのは10年近く前だから、久々にたっぷり楽しんだ。一方で、あまり没入せずにステージの出来事を冷静に眺めている自分もいた。やっぱり昔の曲と新曲では客の反応に温度差がはっきり出るとか、いままで気づかなかったがライダーズのコンサートマスター(仕切る役)は白井良明だったのかとか、かしぶち哲郎の急病でカーネーション矢部浩志がドラムを代わったが、タイトでかっこいいドラムではあるがかしぶちのような色気には欠けるなとか、鈴木慶一の喋りはつまらんとか、いろいろ考えてしまった。コレは、ぼくがいつからか、ライダーズ本体よりは、鈴木博文かしぶち哲郎などのソロ活動に興味が行ってしまったせいなのだろうか。ともあれ、50歳を過ぎてここまでの力を出せるバンドは稀有であり、そのライブを眼にすることができるのも稀有な体験だった。また数年後に見にいきたい。同行のタナカちゃんが大満足だったというので、よかった。


9時半に終わったので、早めにウチに着いた。簡単にメシをつくって食べる。今日、渋谷の〈HMV〉でようやく見つけた、JBの[ルリパキダンス]を聴く。LOVE JOYのbikkeふちがみとふなとの渕上純子のデュオ。二人が歌い、ギターとピアノを弾く。ぞれぞれがつくった曲もいいが、デビッド・ボウイ原マスミのカバーのほうに、このデュオの良さを感じた。


一箱古本市の専従スタッフとして活躍してくれた加福さんが、オンライン古書店〈古本文句堂〉(http://www.monkudo.net/)をオープンしたと知らせてくれる。最初の特集は安野光雅の本。もうひとつ、対談・インタビュー本のコーナーもある。これからの展開が楽しみ。オンラインではあるが、千駄木・豆腐カフェへの出店も合わせて、「不忍ブックストリート」に新しい店が生まれたわけである。