一箱古本市、無事終了しました

おはようございます。現在朝6時ですが、天気にまったく問題がないので、予定通り「一箱古本市」を開催します。それでは、店主の皆さんとは10時に、お客さんとは11時にお会いしましょう。販売は11時スタートです(フライングはナシよ)。今日一日が楽しい日でありますように。


(その21時間後)
一箱古本市は無事終了しました。11時の開始時間から、多くの人が来てくださり、次々に売れていきました。途中、トラブルもなく、大盛況のウチに6時に終了。そのあと、各スポットでの計算がまたタイヘンで、時間が押しましたが、7時半に打ち上げイベントを開始、9時前に終了しました。売上や冊数の合計などは、近く発表しますけど、予想を超えた金額だったコトをお知らせしておきます。人出、反響も凄くあり、大盛況でした。そのあと、専従スタッフでお疲れさん会。帰ってきたら3時でした。以上、アウトライン。また明日にでも報告します。


ともかく無事終了しました。熱心に本を売ってくださった店主の皆さん、快く場所を提供してくださった大家さん、ご近所の皆さん、わざわざ来てくださったお客さん、通りすがりで本を買ってくださったかた、スタンプ制作の藤本和也さん、イベントを盛り上げてくださった桂牧さん、プレゼンテーターの岡崎武志さん、セドローくん、畠中理恵子さん、写真展をやっていただいた高野ひろしさん、大沼ショージさん、取材に来てくださったメディアのかた、そして専従スタッフの皆さん。皆さんの力があればこそ、こんなにうまく行きました。発起人として、南陀楼綾繁より心からのお礼を申し上げます。ホントーに楽しかったです。でも疲れました。これから寝ます。じゃあ。


(以下は5月1日・記)
2時間ほどトロトロと眠ったと思ったら、携帯に電話。笈入さんからだ。「晴れてるので決行でーす!」。寝ぼけ眼をこすって、ぼくも旬公もそれぞれのサイトに「開催」を告知する。目覚ましをかけてまた眠り、8時半に起きる。ぼくはさきに出て、古書ほうろうの前へ。まだ誰も来てないのでしばらく待ち、やってきた宮地さんに荷物を渡してから、自転車で根津へ。


ナニか腹に入れておこうと、〈赤札堂〉脇のカウンターのそば屋でタヌキそばを急いでかきこみ、オヨヨ書林へ。すでに高野ひろしさんが来て、写真展の準備をしていた。店内には専従スタッフが集まっている。オヨヨ担当のオヨちゃん、NOMAD担当の内沼くん、花影抄担当の三五さんと榎本さん。三カ所に配分する荷物を仕分け、簡単なミーティング。各自腕章を装着。ぼくは詩人の阿瀧康さんにいただいた、いまはなき「中野サンプラザ古本まつり」のエプロン(未使用のビンテージもの)も。コミさんの帽子をかぶり、腕章とエプロンをして自転車で走っていると、すぐにぼくだと判るらしく、声を掛けてくださる方が多かった。ついでに「身体はもう大丈夫ですか?」と心配してくれるヒトも。ありがたいなあ。


そうこうするウチに店主の皆さんが集まってくる。枝川公一さんの姿も。10時から店主ミーティング。ホントはオヨちゃんがやるほうがイイのだが、スタッフ全員が不安そうなので、代わりにぼくが説明を。そのあと、花影抄とNOMADの人たちは出発。オヨヨ前の設営に移る。箱を並べてみると、なかなか壮観。女性の店主は箱の周りを装飾したり、植物を添えたりしたりと工作感覚で楽しんでいるが、男性陣は質実剛健というか、箱を開けたらそのまま開店という風情。あまりにもそっけないので、箱の上部に屋号ぐらい書いたらと云ったら、古書桃里の寺田さんが赤マジックで店名を殴り書き。ますますおじさんくさいテイストが高まった(もっとも、ぼくも月夜と眼鏡に出てた「古書ういろう」の屋号をマジックで殴り書きしてしまった。ナイよりマシと思いまして)。郵送で送られてきた、ユトレヒト山本善行さんの本を、スリップの確認がてら眺める。山本さん、いい本ばかり出しているが、こういう屋外イベントにしては強気な値段。山本さんらしいなあと可笑しくなる。


オヨヨの前にはいつもの均一台があるし、店ももう開けちゃってるので、10時半にはすでにお客さんが来ている。それも古書会館初日派というカンジの濃い男性が多い。10分前には15人ぐらいになってしまった。ヤバイ、このままだと混乱すると思い、手近なモノで箱にフタをしてもらう。最初の店番は枝川公一さんなので、つり銭の入ったお財布を渡す。そして11時になり、フタをとり除いて、「古本市スタートです!」と宣言する。とたんに群がる人々。すごい勢いで本を選びはじめる。スタンプを押してほしいヒトも何人か。しばらく見てから、花影抄→NOMAD→青空洋品店→ギャラリーKINGYOと回っていく。まだ客が来ていないスポットもあれば、少しずつ増えているスポットもあり。花影抄は階段の前の狭いスペースで、荻原魚雷さんが階段に座っていたのが妙に似合ってた。NOMADはベンチがあり、内沼くんが一冊一冊本を説明しながら売っていた。青空用品店は日差しの中で立ちっぱなし、一方、ギャラリーKINGYOはギャラリーの正面に特設の台を出してもらって売っていた。スポットによって環境は大きく違うが、みんなそれぞれ工夫して店番をしていた。


往来堂書店に行くと、20人ぐらいの客が前にいる。笈入さんのハナシでは、つつじまつりからの客が相当立ち寄っているらしい。店番は柳瀬くんと森まゆみさん。森さんはスタンプを押してあげる係りだった。次に乱歩前。EDIの藤城さんが店番。あとから岡崎さん、にとべさんが帰ってくる。岡崎さん黄色い袋を持っているので、「ブックオフに寄ってきたんですか?」と訊くと、「そうや」とこともなげに。まだはじまって1時間なんすけど……。月夜と眼鏡も盛況で、店番の大井さんに売れたスリップを何枚か見せてもらう。箱の前にしゃがむ人たちの後ろを通って、大沼ショージさんの写真展をやっている部屋へ。大沼さんと田端くんがいる。銭湯写真の印画紙がいい感じに展示されていた。次にやなか珈琲店。スペース的にはいちばん狭いので心配していたが、なんとか収まっていた。そこで携帯に連絡が入り、古書ほうろうへ。読売新聞のSさんと落ち合い、路上で取材を受ける。ほうろうの前はかなりの混雑。17箱がうまく置けるか心配だったが、数箱ずつ固めて置くやり方でいい動線ができていた。


花歩に行く。セドローくんが店番。立ち話していたら、前を通ったおじさんが「ウチに要らない本があるけどあげようか?」と。「今日は本を売るだけなんです」と云うも、なんだかよく判ってないようで、さらにタダであげるからと云う。古本市のエプロンしてたので、古本屋だと思ったのか。断るツモリだったが、ヨコにいた「彷書月刊」の田村さんが「行ってきなさいよ」と云うので、おじさんについて目の前のアパートへ。ひょっとしてイイ本がタダでもらえるかも……とちょっと甘い期待を抱いてしまう。しかし、「それ持っていってイイよ」と指差した十冊ほどの山を見てガックリ。『五体不満足』『暮らしのヒント』『恍惚の人』、◎◎健康法、仏教の法話集……。どう転んでも売れそうにないし読みたくない本ばかり。「ちょっといま持っていけないので」と抵抗を試みるも、「オレが一緒に持っていってやるよ」と親切におっしゃる。しかたなく10冊だけ袋に入れてもらってくる(『五体不満足』はサスガにお返ししました)が、セドローくんに見せたら鼻で笑われ、「いらないって云えばいいじゃないですか!!」と云われる。それができりゃあねえ。


しょうがないので、その袋を持ってウチに帰り、おにぎり食ってちょっとだけ休憩。旬公から電話があり、おにぎり買って持って行き、地図がなくなったというのでほうろうまで取りに行ったら、ほうろうの人手が足りなくなってしばらく専従を代わり、そのあと「新文化」の石橋さんに会って取材された。最後のスポットであるルシェルシュに着いたのはもう3時過ぎていたか。それからもう一度逆にたどり直し、チラシや地図を補充して回る。スタンプラリーをしているヒトが多く、用意していたプレゼントが次々になくなっていると報告を受ける(最終的には特製マッチ150個と台湾で買ったハガキ100枚がすべてなくなり、50人ぐらいがプレゼントなしになった)。


5時前にほうろうから連絡で、売れた数が多すぎて早めにスリップの仕分けにかかるので、ほうろうの専従を代わってほしいと連絡があり、途中何カ所かに寄って、ほうろうに到着。最後の一時間はワリと人が少なく(ほうろう店内の客は多かったが)、いっしょに店番してた人と話ができた。6時に販売を終了し、各自の箱を閉じてもらう。さて、そこからがタイヘンだった。ミカコさんと小森さんは、牛イチロー大先生に手伝ってもらって奥で集計に入る。宮地さんは店のシャッターを下ろし、イベントの設営に。ここでは店主でありBOOKMANの会のメンバーである野口さん、助教授に手伝ってもらう。ぼくは、店主に生産が遅れていることを告げ、30分後まで解散してもらう。コレもBOOKMANの藤田さんに手伝ってもらって、荷物を預かっていく。各スポットにいる専従スタッフは、そっちの精算に時間がかかってなかなかほうろうまで戻ってこられないので、ぼくの友人にずいぶん手伝ってもらった。


店内では桂牧さんがチューニング開始。6時半になるとヒトが集まってくる。他のスポットからもだんだんと戻ってきて、財布がレジに集まる。6時45分、ようやくほうろう前の集計が終り、全員に売上を渡していく。ぼくはイベントの準備に入り、牧さんやプレゼンターと段取りを打ち合わせる。7時15分、客入れ開始。どんどん中に入ってくる。マイクの1メートル前まで並んでもらう。全員立ち見なので、こちらがみんなに取り囲まれているような圧迫感がある。全員が入ってくるまでいたたまれず、何度も奥に入ったり出たりする。7時半、イベントスタート。ぼくの挨拶のあと、プレゼンターに一人ずつ出てもらい、個人賞を授与してもらう。その結果は以下の通り。


セドロー賞=浅生ハルミンさんのオリジナル色紙
森茉莉かい堂(オヨヨ書林前に出店)
書肆アクセス賞=明治時代の鉄道双六の復刻版
 笹文庫(ルシェルシュ前に出店)
★岡崎賞=平凡ソングブック(キャンディーズ表紙、1978年)と、タイムスリップグリコ思い出のマガジン3冊
 旅猫書房(オヨヨ書林前に出店)
★内澤賞=しのばずくんの紙粘土細工
 オホンゴホン堂(月夜と眼鏡前に出店)
谷根千賞仰木ひろみさん)=『谷根千』1年分と〈NOMAD〉ビール1杯分
 ふぉっくす舎(乱歩前に出店)
南陀楼賞=マッチラベル貼込帖とサイン色紙
 BOOK DESIGN/BOOK STORE(ギャラリーKINGYO前に出店)


 ほかにも、オモシロイ箱のつくり方や本のセレクションの店主が多く、それらを一つ一つ紹介したかったが、時間がないコトだし、桂牧さんのライブへ。立っている客を前にしてやりにくかったと思うが、さすが場数を踏んだベテラン。不思議な声とギターで、きっちりと客を桂牧ワールドに惹きこんだ。5曲やってくれる。最後にやった「ふり」という曲の歌詞は、孤独な街歩きという風情で、ちょっと泣けました。そして最後に、売上金額のトップと点数のトップを表彰する。

★売上金額部門
1位 古書碧鱗堂(やなか珈琲店前に出店) 59,930円
2位 室賀書房(乱歩前に出店) 47,130円
3位 トンブリン(やなか珈琲店前に出店) 33,510円

★売上点数部門
1位 トンブリン(やなか珈琲店前に出店) 74点
2位 文壇高円寺古書店(花影抄前に出店) 72点
3位 森茉莉かい堂(オヨヨ書林前に出店) 64点


旬公がトップになったのは、製本関係やチェコの本に相当強気な金額をつけ、それらがかなり売れたからだろう。専従スタッフが受賞してしまうのはマズイのだけど、みんな笑って許してくれたようだ。ちなみに、点数の最下位はこれも専従スタッフの、野良猫ブック、つまりオヨちゃんの2点。しかし、金額は2万近くというのだから、やっぱりタダモノじゃない。


9時前に閉会を宣言。終わったとたん、安心してその場にへたり込みそうになる。片づけをしたり、東京新聞の取材を受けたりしていると、客は全員帰り、スタッフだけになる。手の空いたヒトから〈大栄〉に行ってもらう。桂牧さんが機材を片付けるのを待って、ぼくたちもそちらに向う。入ったらすでにみんな飲みまくっていた。森まゆみさんも来てくれていた。片づけをしていたほうろう、オヨちゃん、笈入さん、小森さんも合流して、全員で乾杯。そのあと、みんなテンションが上がりっぱなし(あの冷静な笈入さんまで相当ハシャいでいてビックリ)で、マジメな話からくだらない話までで盛り上がる。最後は、急遽専従スタッフになってくれた加福さん(文句堂という名前で〈豆腐room Dy's〉に古本を置いているヒト)に彼女がいるかどうか、みんなで賭けることに。結果はヒミツ。なにやってんだろうなあ。で、解散は2時。牧さんを谷中のアパートまでお送りし、ウチに帰って、簡単な報告を書いて3時に寝た。


古本市でお会いしたヒト(店主以外)は以下の通り。西秋学さん、西尾彩さん、前田美紀さん、奥成達さん、アライユキコさんとよねみつさん、ポプラ社の鎌田さん、高橋茅香子さん、吉田勝栄さん、ほかにも数人のかたとすれ違いました。例によって顔を覚えるのへタだから、久しぶりに会ってトンチンカンな顔してたと思いますが、すいません。他に来ていたらしいが会えなかったヒトは、濱田研吾さん、上原隆さんほか多数。あと、退屈男さんと四谷書房さんがいらしてたそうだけど、ちょっとでも話せたらヨカッタなー。


今日の古本市はスタッフ側だったので、客としての目で古本を見ることはできなかったが、それでも何冊かは買ってしまった。

とんち書房(往来堂書店前)で、
『古本ぐらし』第7号(時刻堂)800円
『古本ぐらし スーパーブックオフマニア』(時刻堂)1000円

文壇高円寺古書店(花影抄前)で、
吉行淳之介スラプスティック式交友記』(角川書店)300円

書函アクアリウム(古書ほうろう前)で
梅本巧光追悼文集編集委員会『ウメちゃんと泪橋を渡った!?』1000円

ビッグピンク(古書ほうろう前)で、
『絶体絶命』1978年2月号(野坂昭如特集)、800円

タコシェ(ギャラリーKINGYO前)で、
林月光『月光秘宝館』(タコシェ)850円(新刊)

大沼ショージ写真展示(月夜と眼鏡)で、
『SENTO』『廃墟の博物学』パンフ、『SENTO』ハガキ、計1000円

あと、買ったんじゃないけど、「売れ残ったから」と「水牛」の八巻美恵さんにレコード[Cynical Hysteria World]をもらってしまった。作詞、歌は玖保キリコ、演奏はピッキー・ピクニック。