万歩計のご利益?

朝、コンビニに産経新聞を買いに行く。文化面(20面)に不忍ブックストリートMAPと一箱古本市についての記事が載っている。1面の4分の1ぐらいあるから、けっこう大きい扱いだ。見出しは「『谷根千』を“本の街”に」。取材を受けたのは、ほうろうの宮地さんとぼく。オレって「古書街案内本なども手がけ」てたっけ? と思うが、これは毎日ムックや散歩の達人ブックスに書いたという意味なのでしょう。写真はマップの表紙。「しのばずくん」もちゃんと見えてます。全国配信のはずだが、実家の親のハナシでは、「出雲では載ってないよ」と云っていた(見落としの可能性もあり)。関西方面ではどうでしょうか? ご覧になった方はメールくだされば幸いです。【後記】記者の方からの連絡で、今回の記事は東日本のみの掲載だと教えていただきました。わざわざコンビニまで買いに行ってくださったにとべさん、すいません。訃報欄に、丹羽文雄が死去したと出ている。100歳だった。アルツハイマーになってから十数年来、作家としての仕事はできなかったのだが、戦前からの活動してきた作家としては、ほぼ最後の生き残りだったろう。この人こそ「最後の文士」と呼べるのでは。


仕事場へ行き、あれこれやって、1時半に神保町へ。〈ふらいぱん〉でむつ煮定食(煮過ぎたか、グズグズだった)を急いで食べ、〈FOLIO〉へ。ポプラ社の矢内さん来る。『古本道場』のハナシをしていると、海野弘さん登場。コーヒーを注文するなり、店のヒトが水のグラスに手を引っ掛けて、倒してしまい、大騒ぎになる。気を取り直して、矢内さんを紹介。打ち合わせ……だったんだが、例によって、海野節が炸裂し、いろいろ拝聴してるウチに時間切れとなった。でも、ある企画が決定したのでヨカッタ。ちょうど同じ時期に出るという新刊を2冊いただく。一年間かけた書きおろし『ホモセクシャルの世界史』(文藝春秋)と『アール・デコの時代』(中公文庫)だ。前者の装幀は、スキャンダラスなカンジ。


神保町の書店を少し回って、資料本を探す。そのあと、新宿経由で小田急線の経堂へ。〈ロバロバ・カフェ〉(http://www15.ocn.ne.jp/~robaroba/)に置いてもらっていた地図がなくなったと聞いたので、補充に来たのだ。アイスコーヒーを飲みながら、オーナーの女性と話す。お客さんで、「一箱古本市に出したかったけど、間に合わなかった」というヒトが複数いたらしい。オンライン古書店をやっている女性もいたそうだ。そんなに話題になってたとは、当人たちはまったく知らなかった。経堂の反対側に出て、〈遠藤書店〉の北口店で2冊買う。〈大河堂書店〉は休み。


代々木上原で千代田線に乗り換え、そのまま綾瀬まで。東西横断だ。〈デカダン文庫〉に地図を置いてもらおうかと思ったのだが、閉まっていた。万歩計をつけてることだし、もうちょっと歩くかと、しかたなく(?)〈ブックオフ〉へ。末井昭『東京デカメロン 風俗異人見聞録』(角川文庫)105円は、けっこう珍しいかも。この店はオープンのときに来て以来だが、単行本の棚がずいぶん増えたような気がする。なんだか濃い本がありそうな気がして、丁寧に見ていくと、種村季弘の本を発見。それは買わなかったが、ほかにも種村本がありそうと目を凝らしたら、なんと、『書国探検記』(筑摩書房)があるではないか! 650円。このあいだ図書館で一部をコピーしたが、やっぱり通しで読みたいからオンライン古書店で買おうかと思っていたトコロだった。20年前に出たその本に、ブックオフで出会えるとはとても嬉しい。コレも万歩計のご利益かな。


調子に乗って、駅の周辺をしばらく歩き、綾瀬から千代田線でウチに帰る。今日の歩行は1万3000歩。ふだんからけっこう歩いているコトが明らかになったが、しかし一向に体重減にはつながらないのであった。三ノ輪のギョーザ、豆腐などで適当に晩飯を済ませ、この一週間ずっと持ち歩いていた、堀切直人『浅草 江戸明治篇』(右文書院)の残り100ページを一気に読む。アタマの中に同時にいろんな引用が入り込んできて、楽しいけど疲れる、疲れるけど刺激的。でも、これからこの本の書評書くんだよなあ。歯が立つんだろうか。


【今日の郵便物】
★亀鳴屋の勝井さんより 
藤澤清造貧困小説集』の編者である西村賢太氏が、文学同人誌『煉瓦』(青木正美さんも同人のようだ)に発表した小説二編のコピーを頂戴する。読ませていただこう。また、金沢の『駅前シネマニュース』2005年3月号も同封されていた。やっぱり、住所は笠市町だった(なぜか電話番号が載ってない)。たった4ページだが、すごく小さな文字で組まれた映画コラム、批評が6本も載っている。コレはすごいぞ。