図ったようなタイミングの悪さ

朝刊を見て、驚いた。日本時間の昨夜10時頃、スマトラ沖でM8.9の大地震があり、周辺の数カ国で津波が発生、8000人以上が死亡したという(その後、1万人を超したという報道もあった)。夕べは飲み会のあと、寝てしまったので、ゼンゼン知らなかった。それと詩人の石垣りんさんが亡くなったという記事も。84歳。数年前に、「げんげ忌」でのお話を聞いた。11時過ぎに仕事場へ。連絡や年賀状書き。

昼飯に外に出たついでに郵便局に行くが、年末とあって混雑している。郵便と振込の番号札を引いて待つ。郵便は9人待ち、振込は4人待ちだったから、振込が終わったあとで郵便が呼ばれるなと思って待っていたら、振込はなかなか次に進まず、郵便はどんどん進んでいく。で、もしかしてと恐れていたとおり、振込と郵便でほとんど同時に番号が呼ばれるハメに。こういう、まるで図ったようなタイミングの悪さが、ぼくの身上である。とん汁定食を食べたあと、〈麗文堂書店〉を覗いて戻る。


ネットで検索していたら、フリー百科事典「ウィキペディアWikipedia)」に「南陀楼綾繁」という項目があって、ビックリ(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%97%E9%99%80%E6%A5%BC%E7%B6%BE%E7%B9%81)。最近話題になっている、誰でも記述/編集できるウェブ上の百科事典だ。コレを書いてくれたヒト(一人だと仮定して)は、ぼくの書いたものをよく読んでくれているらしく、判りやすい解説なのだが、固有名詞にいくつも間違いがある。「季刊・本とコンピュータ」の編集長はいま、ぼくじゃないし、『宮武外骨全集』は『雑誌集成 宮武外骨・此中にあり』だ。「東京古書通信」は「日本古書通信」のことだろう。南陀楼綾繁は「俳人」ではなく「狂歌師」だし、内澤旬子は「異文化や建築をテーマにするライター」ではなく、「イラストルポライター」だ。だいたい、蒐集家じゃないしなあ……と、いろいろ突っ込みたくなってしまう。間違いは見つけたヒトが修正する、という方針らしいが、これ全部訂正するのはメンドくさいなー。しばらく、ほっておいて様子を見るか。


それにしても、はてなにしてもそうだけど、キーワード辞典なりキーワードリンクなりをつくっていくときに、どうしても書き手の身の回りの興味からつくっていくので、基本的な事項が抜け落ちているコトが多い。ぼくのことなんかより先に事典に載せておくべき項目は、もっと山ほどあるだろう。あと、事典の記述は客観性を装っていてもそこにどうしても、編者や版元の主観が混じり込むもので、それがその本の個性になっていた。しかし、「ウィキペディア」では主体不明の「個性」が、一文のなかにいくつも混じり合っているようで、読んでいてちょっと気持ち悪い(「古書店」の項なんて、読んでいてイライラする。なんだ「主人の審美眼」って)。だから、ぼくは「ウィキペディア」を調査の手がかりにすることはあっても、そこから引用する気は、いまのところまったくない。


著者との打ち合わせのあと、神保町に出て、〈岩波ブックセンター〉でK社のKさんと会い、近くの喫茶店で打ち合わせ。うーん、前よりは一歩前進か。千代田線で北千住へ。〈ブックオフ〉で堀切直人さん、右文書院のAさん、セドローくんと待ち合わせ。〈大はし〉を覗くが、予想通り満員。堀切さんが、宿場通りの奥まで案内してくれる。昔の商店や蔵が残っている。今度は昼間に歩いてみよう。昔からやっていそうな中華料理屋で、いろいろ話し、そのあと、(大はしはやっぱり入れなかったので)駅近くの〈酒の永見〉に入る。堀切さん、ぼくの『図書新聞』書評は3回読んだと喜ばせておいて、セドローくんの「店番日記」は5回読んだとおっしゃる。うーん、憎いお方。


10時半にお開きになり、帰ってくる。11時半からテレビで、しりとり竜王戦を観る。放送時間が早めだったり、松本人志がゲストだったりで、いつもと違うなァと思ったら、今回は全国放送なのだった。納得。『ビッグコミックONE』で勝川克志「同人誌の日々」を読む。おお、ぼくも取材したことがある、伝説の同人誌『跋折羅』のハナシじゃないか。当事者の絵でつづる貴重な記録だ。旬公は例によって原稿を届けに出ているが、なんか疲れたので、先に寝ることにする。


【今日の郵便物】
★古書目録 LINE(古書籍BOX)、山猫屋&書肆ひぐらし