結構な古本喫茶

朝早めに起きて、仕事。一息入れるために、ビデオで井筒和幸の《ゲロッパ!》を観るが、あまりのヒドさにボーゼン。ギャグ、アクション、ダンス、すべてがスベっている。そのあと、ブロードウェイミュージカルの映画版《シカゴ》を観るが、お金の掛け方よりも前に、演出・演技の力量の差は歴然(一緒にするのも気の毒だが)。ただ、《シカゴ》もラストはずいぶん唐突だった。


大阪の狆こと前田くんから電話あり、〈古書ほうろう〉で待ち合わせる。久しぶりに行くと、ウィンドーの展示が、真鍋博の装丁本に変わっている。どれも珍しい本ではないが、こうして並べると味わいがある。こういう見せ方、もっとやってほしい。そのあと、〈往来堂書店〉、そして、数日前に存在を知った〈ふるほん結構人ミルクホール〉へ。往来堂のほとんど裏側、路地というか行き止まりの細い道に看板が出ている。その先、木造の一軒家が店になっている。


中に入ると、噂どおり若い店主が作務衣を着ていた。手前に本の入ったガラスケースと本棚。その奥と本棚の裏側にテーブルが4つぐらい。「結構人」(http://kekkojin.heya.jp/)というオンライン古書店をやっていて、それと同じ本が並んでいるようだ。ガロ系・少女漫画と、B級・タレント本といったカンジ。長井勝一の『「ガロ」編集長』刊行を記念してかなり長い特集を組んでいる『ComicBox』1982年10月号を500円で見つけて、やったと思う(実家にはあるかもしれないが)。本日のコーヒー(数種類ある)とチーズケーキを頼む。どちらも悪くない味だけど、コーヒーはもっと熱くしてほしいなあ。ほかに客はいないし、店主も話しかけてきたりしないので、本を読んだり原稿を書いたりするのには良さそうだ。夜7時閉店なのがちょっと惜しいが、ときどき行くことにしよう。


根津駅の前で、東京駅に向う前田くんと別れる。昨日谷中のアパートに旬公が彼宛のメモを置いておいたら、「それを見て東京に来てからいろんな人に会えたコトを思い出して、ちょっと泣いてしまいました」と、なんだかウルウルした声で云う。その目はまさに狆そのもの。充実した一週間でヨカッタな、前田くん。その代わり、君の渾名は今後「大阪の狆」で決定ですから(やはり今日大阪に帰った中尾務さんからも「前田くん、狆やて?」と電話があった。パソコンやらないくせにナゼそれを……)。


ココまで来たついでに、弥生美術館(http://www.yayoi-yumeji-museum.jp/)で、「石原豪人展」を覗く。疲れてたので早足で見たが、オモシロかった。晩年にもいろんな雑誌でイラストを描いている。ビル・ゲイツまで描いてるのんだよなあ。石原さんは、島根県の簸川郡大社町の生まれで、終戦直後は松江東宝の看板を描いていたという。その後上京し、昭和25年、27歳で日大芸術学部に入ったという(のち中退)。小沢信男さんが入学する前の年だ。まあ、面識はなかったと思うが。〈オヨヨ書林〉をちょっと覗いて、ウチに帰る。


夜にかけて仕事。9時からテレビで《ボウリング・フォー・コロンバイン》を観て(ビデオで一度観てるが)、そのあとゴミを出したり、コンビニで宅急便出してそのあと散歩したり、で12時過ぎる。


【今日の郵便物】
★古書目録 騎士亭文庫