薄花葉っぱを聴こう

しばらくの間、誰にも知らせずにblogで日記を書いてみようと思ってたが、更新するそばからエンテツ氏が言及してくれて、バレバレです。でも、blogというのはそういうモンなのであろう。締め切りには大幅に遅れてますが、例によって書き出し部分で呻吟&thinkngしてるだけです。だけ、ってそれが一番長いんだけど。明日の朝には突破したい。


というワケで、朝から机に向かっていたが進まず。もろもろメールを書いたりしてるといつの間にか3時過ぎてしまう。中島貞夫を観たかったが行けそうにナシ。電車に乗って、三鷹まで。駅前、古本屋さんがあったあたり、まったくの更地になってしまっている。〈上々堂〉で『ナンダロウアヤシゲな日々』のサイン本を5冊渡し、無明舎から届いていた5冊と交換する。無明舎の対応が早い、というか、いまの出版流通からすると異常な速さであることは、〈古書ほうろう〉の日記(http://www.yanesen.net/horo/)でも触れられているが、上々堂の長谷川さんもカンゲキしていた。


ところで、今日の上々堂、どうかしたんかと思うぐらい、安く本を出している。外の均一代(350円というのがイイね)には、『植草甚一コラージュ日記』第2巻が。他にも出たばっかりの本が350円。店内も安い。長谷川さんは6月に入って客が減っているのでテコ入れだというが、店内でやっている岡崎武志さんの委託本の安さにつられてるんじゃないの。均一小僧に影響されちゃ、あかんでェ。その岡崎堂で山口瞳『江分利満氏の優雅なサヨナラ』(新潮社)を500円で。これも安い。先日読み終わった金井美恵子『目白雑録』も500円。三鷹方面のヒトは駆けつけるように。


ついでなので、前から行こうと思っていた、〈フォスフォレッセンス〉という古本喫茶に行ってみる。この店を勧めてくれたのは、わが家のアイドルのマユたん(カピパラ科)だった。彼女のマユ語によるレコメンデッドは超難解で、行ってみないとよく判らない。上々堂からさらに奥に10分以上歩き、たどり着く。入ってみると、たしかに棚には本がたくさん。ただ、三つほどある席に人が座っていると、棚の本を見ることがほとんどできないのだ。せっかく本棚が目の前にあるのに、手にとって見られないフラストレーションよ。アイスコーヒーを飲むが、気分はいまいち。自分で気に入った言葉があったらそれを書いて栞代わりに本に挟め、なんて書いてあるのも、なんかむずがゆい。ぼくにはご縁のない店かもなあ。早々に出て、バスに乗って三鷹駅へ。マユたんのもう一軒のオススメ〈文鳥舎〉には今度行ってみよう。


西荻窪で降り、〈戎〉で生ビール小とタン、ガツを喰ったあと、〈音羽館〉へ。手持ちのサイン本2冊を渡し、3冊にその場でサインする。ここでも無明舎の対応の早さに感心していた。会社にいるヒトは三人しかいないハズだ。中華料理屋で焼きそば喰って、駅で旬公と待ち合わせ。〈アケタの店〉に行くと、今日は昨日よりは少なめ。壁際に座ると目の前に〈興居島屋〉の石丸さんがいた。


今日の前半は、デビューしたばかりの京都の「薄花葉っぱ」。5人組の20代前半のグループだ。田中亜矢が来れなくなった(残念!)代わりに急遽呼ばれたらしいが、どうしてどうして、堂々としたステージだった。ボーカルの下村よう子は野性味のある声で、風貌がちょっと笠置シズ子を思わせる。あとはギター、ピアノ、ベース、ドラムという編成で、ピアノとベースが女性。ぼくの座っているところからはピアノはよく見えなかったが、[シャバdeダンス]という曲で、ピアノの坂巻さよが前に出てきて唄ったのを見て、ビックリ。声がイイし、とてもキレイな顔なのだ。清楚で、なんか昔の日本映画に出てくる若い女性のカンジ。香川京子とかな。普段はこんなコト書かないんだけど、恥ずかしながら書いてしまった。旬公に云ったら、もちろん冷やかされた。


全部で7、8曲やったけど、どれもイイ。最近「昭和歌謡」が流行りで、「薄花葉っぱ」も一見そこに位置させられてしまいそうだけど、彼らはレトロをやっているつもりはないだろう。だから、チャップリンが『モダン・タイムズ』で歌った曲に日本語詩をつけたという珍品(原曲は生田恵子)のカバーも、新しい感じを受けた。オフノートから強力な新人現る。彼らのデビューCD[薄花ドロップ]を買ったので聴いてみよう(今日は一緒に、鈴木翁二の[未明の歌]も買った)。しきりのMCがヘタだと云ってたけど、東京の客はあまり反応を表に出さないだけなので不安だったのだろう。昨日のようにエンテツさんがいたら、一言喋るたびに「そうだ!」と云ってくれたのに。客の反応が鈍そうなイベントには、すべからくエンテツさんを投入すべし。


後半は、皆勤賞の船戸博史(ベース)と向島ゆり子(バイオリン)で二曲やり、そこにロケット・マツ(ピアノほか)が加わって、上野茂都の三味線と歌で一時間ほどやる。ホントにいろんな引き出しがあるヒトだなあ。「オフノート社歌」をライブで聴けたのが収穫だった。旬公がイイ気分で眠ってしまったらしく、終って店を出るときに、寝ぼけて、出演者のあとをついてそのまま楽屋に突入してしまった。後ろから声かけるも、間に合わず。あまりに当たり前に行動したので、周りも一瞬気づかなかった。


電車に乗って、ウチに帰ると11時。作業しながらレンタルのノルウェー映画《歌え、フィッシャーマン》を見るが、ドキュメンタリーとはいえ、あまりに単調なつくりにリタイアしてしまう。


【今日のしおりページ】
遠藤哲夫汁かけめし快食學』(ちくま文庫)半分ぐらい読了。単行本『ぶっかけめしの悦楽』とはテーマを同じくしながら、まったく別の本だといってもいいほど書き換えている。すごいバイタリティだ。
★69ページ NHKの「かけめし差別」について。「そういう思想が、新しいカガクを都合のよいところだけ都合のよいように利用し、あたかも偏見に合理性があるがごとき態度で、ひらきなおる傾向がある。文化や伝統について理解に欠けるし、おもえばそのようなイイカゲンな中途半端な新しいカガクに性急にとびつき、継続していた文化や伝統を簡単に捨ててきたのが近代日本なのかもしれないのだが」。これは、いろんな分野で当てはまるよなあ。
★笑った箇所。
87ページ 男女の掛け合い。女がかけめしをつまみにビールを飲むと云い、「魯山人さんには聞かせられない話ですけど」と云うと、男が「魯山人は死んでいるから大丈夫」。そりゃそうだ。死んでるからねえ(笑)。
あと、昨日紹介した以外に、もう一ヶ所、南陀楼の名前が出てきた。探してみてくれ。