田川律さんとヒナタ屋で

「『書肆アクセス』の本をつくる会」ブログ(http://d.hatena.ne.jp/jinbouac/)にて、本づくりの基金の呼びかけをアップしました。アクセスという店あるいは機能の継続の可能性については、いくつかの動きがあるようですが、この基金はあくまでも、『書肆アクセスの本』の製作資金に充てるものです。具体的には、200部買い取りを目標と思っております。また、8月8日(水)午後2時から、〈ヒナタ屋〉で依頼状などの発送作業を行います。どなたでも、できる範囲で参加できるので、よろしければ。アクセス関連の最新ニュースも聞けるかも。


8時起き。ベランダに出ると、日差しの強さにクラクラする。本郷図書館に寄ってから、歩いて西日暮里へ。もろもろの雑用。『SPA!』が届く。今週号の書評欄で、「文庫一冊決め」というコラムを書いているのだ。紹介したのはランダムハウス講談社の『手紙読本』。日本ペンクラブ編で福武文庫が出していたシリーズを、ランダムが再刊しつつある。『SPA!』では今後、だいたい1月に一度、文庫本を紹介するコトになった。


バスで早稲田へ。昨日買った『HB』の巻頭コラムで、早大演劇博物館の「古川ロッパとレヴュー時代 モダン都市の歌・ダンス・笑い」展が日曜日までだと知ったので、慌てて見に行く。ロッパの個人史と、レヴューの歴史の両面についてよく判る、非常に質の高い展示だった。ロッパ日記の現物が見られてヨカッタ。このヒトの字は素晴らしい。今日はオープン・キャンパスとかで、やたらヒトが多かったので、ゆっくり見られなかったのが残念。受付で売っている図録(1200円)もスゴイ出来で、あとでセドローくんに見せたら、「牛先生なら倍付けて目録に載せますよ!」と云っていた。この展示は、同館助手の中野正昭氏の個人研究発表でもあるらしい。この中野氏には注目したい。


西門通りの立ち食いそば屋でざるそばを食べ、缶ビール買って〈立石書店〉へ。牛先生に代わって、店の前で椅子に腰掛けて店番。岡崎武志さん、『yom yom』のK&Tコンビなどやってきてくれる。岡崎さんがマッチ箱入りの古いビンを買ってくれた。昨日ほどではないが、それでも立ち寄るお客さんが多く、見ていて飽きない。暑いけど、風がよく通るので意外と過ごしやすい。ビール飲みつつ、本を読んでいたらいい気分になって、ちょっとうとうとしてしまった。


4時に出て、神保町へ。〈書肆アクセス〉に行くと、満員列車のごとき盛況。『出雲そば街道』(ワン・ライン)を買う、出雲市のそば屋も多く載っている。来週帰省だから、何軒か寄ろう。アクセスと〈東京堂書店〉に『「阿佐ヶ谷会」文学アルバム』が入っているのを確認。


5時前に〈カフェ・ヒナタ屋〉へ。田川律(ただす)さん、先にいらしていた。帽子、シャツ、ズボンのどれも派手でカッコいい。72歳とは思えん。奥に座って話すことになっていたが、田川さんが「あそこはひが差すし、このあたりがいいよ」といい、窓際のソファに座って話すことに。お客さんに囲まれるような位置なので、たしかにリラックスして話せた。さすが舞台監督。15人ほどのお客さんの前で、トーク。岡崎さん、根岸さんも来てくれる。田川さんはどんな振り方をしても、おもしろいエピソードで答えてくれるのでやりやすい。ぼくのほうは、田川さんに振られても、うまく打ち返せず。アドリブ利かんなあ。でも、「38年間フリーで暮らしている」大先輩の田川さんのハナシが聞けて、ぼくとしては満足。


1時間半で終わり、畠中さん、小柳さんらもそのまま残って、打ち上げになる。ヒナヤ屋の新メニュー「タコライス」を食べる。うまい。田川さん、ヒナタ屋が気に入ったようで、「どうすればお客さん入ってくるかなあ」と心配してくれる。厨房を覗いて、「ここでぼくが料理つくろうか」と。それを食べながら、あれこれ話す会をやろうというコトになる。ナンだかおもしろいことになってきたな。10時ごろにお開きとなり、これからカラオケに行くという畠中さん(疲れてるハズなのに体力あるなあ……)らと別れてウチに帰る。


DVDで、ジェフ・フォイヤージーク監督《悪魔とダニエル・ジョンストン》(2005・米)を観る。絵にも歌にも天才的なセンスを持ちながら、精神を病んで苦しむ男の半生を描くドキュメンタリー。表現と才能について悩んだことがあるヒトは、《ゴースト・ワールド》とともに、ゼッタイ見るべき映画。ふちがみとふなとがカバーした、「うたうひと」のオリジナルが聴けたのもよかった。