加藤嘉と犬塚弘

朝8時起き。下読みタイム。今日中に終わらせたかったが、ちょっと手こずる。神保町へ。〈神保町シアター〉で、山田洋次監督《九ちゃんのでっかい夢》(1967)。三木洋(小林信彦)『消えた動機』が原作(『宝石』に掲載されたようだ)ということで、ちょっと期待して観たのだが、あんまり面白くない。展開がすく読めてしまうのと、ギャグが不発だからだ。前半で坂本九が舞台で演じるコントがあるのだが、この寒いことと云ったら……。山田洋次がそれを何の工夫もなくそのまま3分ぐらい撮っているので、時間が止まったように思えた。ヒドすぎ。坂本九のコメディの才能ってあるんだろうか? 歌はたしかにうまいけど。ただ、てんぷくトリオ伊東四朗が若い!)のコントは笑えるし、後半のドタバタも芸達者が多い(ジェリー藤尾佐山俊二渡辺篤E・H・エリック)ので救われている。


ひとつだけ大ウケしたのは、大学病院のシーン。「大河内教授の総回診が始まります」というアナウンスが流れ、大河内の名前のある机の向こうで、男が立っている。おもむろにこっちを向くと、ちょびヒゲを生やした犬塚弘だというもの。明らかに山本薩夫監督《白い巨塔》での加藤嘉演じる大河内教授のパロディだ(ホントは大河内は総回診しないけど)。加藤嘉犬塚弘ってたしかに似てる。あとで調べると、やっぱり《白い巨塔》はこの映画の前年(1966年)公開なのだった。


もっとも、面白くないと思いつつ最後まで観てしまったのは、芸人のバックステージものということもあるが、倍賞千恵子が輝いているからだ。斎藤達雄ウクレレをバックに、彼女が英語で海の歌をうたうシーンはとてもいい。この斎藤や谷幹一といった濃い顔がたくさん見られるのもよかった。


三省堂書店〉で、『映画秘宝』と『ユリイカ』(橋本治特集)、柳広司『キング&クイーン』(講談社)、貫井徳郎『明日の空』(集英社)を買う。『ユリイカ』には栗原裕一郎岸川真らが執筆しているが、浅羽通明の名前がないのはざんねん。大学1年生のときに、橋本治の『青空人生相談所』がいかに凄いかを教えてもらった恩人なのだが。〈徳萬殿〉で、半チャーハン・ラーメン・ギョーザのセットを頼んだら、チャーハンの量が多くてキツかった。


都営新宿線で新宿乗り換え、小田急で鶴川へ。大学の図書館で調べもの。閲覧席には寝ころんだり携帯をいじっている学生ばっかり。先生や司書も見て見ぬふりだ。ロビーで、今日のゲストであるデザイナーの渡部真さんと待ち合わせ。高校までは和光で、大学にも何度も来ているそうだ。ぼくと同じ1967年生まれ。編集とデザインの両方のキャリアがあるので、判りやすい説明だった。学生がコピーしてきた雑誌の目次を見て、コメントしていただく。終わって、西日暮里まで一緒に帰りながら、いろいろ話す。


本駒込図書館でリクエストの本を受け取る。文京区の図書館、この4月から月曜日に開館したり開館時間を延長するようになった。平日9時までというのはかなりありがたい。だけど、全面的に業務委託を受け入れる代償だという感じもする。〈ときわ食堂〉で、チューハイと定食。帰って、書評の本を読みながら寝てしまう。12時過ぎに起きて、最後まで読み終わり、眠れなくなった勢いで原稿も書いてしまう。そのあと、日記も書いていたら4時過ぎた。

今日のつぶやき


08:28 @nabe_saketsuma あー、やっぱりなあ…。でも、このときまでに13号間に合わせるとおっしゃったんですが。きっと「間に合わせたい(願望)」だったんでしょうね。ちょっとマジな話すると、昨年末に取材した記事が半年後に出ないのは、書き手のテンションは下がりますよどうしても。 #

20:21 @itutubabunko 長野って広いんだよね。安曇野から小布施までどれぐらいかかるか、五っ葉くんに教えてやってくれませんか?>花井館長 #

20:26 @pippoem 今日、学校行くのにジャケットに「古本パンダ」バッジをつけっぱなしだったことに気づいて、外しました。つけたままの方が学生に受けたかしら。 #

20:31 なかなか書けずにいたのですが、タイガー立石『TRA』(工作舎)の書評が『週刊読書人』に載りました。よかったら見てください。ちなみに、同紙のミステリ時評を林哲夫さんがやっていて目を疑ったら、「林哲矢」さんでした。字面はほとんど同一人物。 #

21:56 @pippoem やっぱり、「まだ普通の人に見られたい」という気持ちがどっかに残っているらしい。 #

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