阿波踊り前夜の高円寺

kawasusu2007-08-24

今朝の東京新聞に、幻戯書房の下段2分の1という大きい広告。『「阿佐ヶ谷会」文学アルバム』が中心。西日暮里に行き、短い原稿を一本書く。そのあと資料読み。またしても、つい一月前に買った本がけものみちにうずもれてしまい、いまだ発見できず。


「日本の古本屋」で注文した、太宰治『正義と微笑』(永晃社、1947)が届く。2000円。名前だけの「文庫」かと思えば、ほんとに文庫判だった。奥付を見ると、発行者は永井直保。発行所の住所は「世田谷区下代田92番地」だ。林さんの『古本屋を怒らせる方法』およびブログ(http://sumus.exblog.jp/7308793/)によれば、筑摩書房版『太宰治全集』の書誌には、永晃社の住所は「中央区入舟町2ノ3」とあり、発行者は「杉村一嘉」とあるそうだ。書誌に記載されたものとぼくが買ったものは、同じ1947年11月刊行であり、違う版とは考えにくい。この異同はドコから生じたのだろうか? また、永晃社のほかの本に杉村一嘉の名はあるのか? どうでもイイことだろうが、気になってきた。


ちなみに、『正義と微笑』のバックには、薄い模様と「青春文庫」「永晃社」という書き文字が入っている。サインはないから断言できないが、このフォーマットは花森安治の手になるものでは?(写真では見えにくいが)


2時すぎに出て、神保町。古書会館で「ぐろりや展」。『鶴見俊輔書評集成1』(みすず書房)3000円、『早稲田大学八十年史』300円、『暮しの手帖索引(第一世紀)』500円を買う。『鶴見俊輔書評集成1』は新刊で買おうかどうか、悩んでいたので、ありがたい。〈三省堂書店〉へ。コミック売り場で『本屋の森のあかり』を探すが、見つからず。これで5軒目ぐらい。見当違いなところを探しているからか? 諦めてアマゾンで注文することにした。〈ヒナタ屋〉で新聞社の取材を受ける。そのあと〈右文書院〉の事務所に行き、青柳さんと打ち合わせ。塩山本のゲラ、半分近くを受け取る。


中央線で高円寺へ。明日から始まる「高円寺阿波踊り」のために、街全体がざわついている。少し時間があるので、久々にガード周辺の古本屋を回るが、ナニも買わず。〈RARE〉でKYOZO&BUN[トラベリン・バンド]を買う。KYOZOは西岡恭蔵。ベースで参加している高橋ゲタ夫は、1980年代に松岡直也向井滋春オルケスタ・デル・ソルなどのレコードで見て、なんておかしな名前だと思っていた。こないだ道を歩いていてふっと、「高橋ゲタ夫っていまナニしてんのかな?」と考えたところだった。ご本人のサイト(http://www.visioni-net.com/getao/)を見ると、いまでも活躍中である。


高円寺文庫センター〉で、すぎむらしんいち(画)・リチャード・ウー(作)『ディアスポリス』第5巻(講談社)を買い、店員兼『モツ煮狂い』発行人のクドウヒロミさんに第2号を早く出すように云う。〈高円寺書林〉で「キノコカフェ」を見ようとするが、人形作家のイベントが急遽入ったとかで、すごい人ごみ。こんな小さな店で2つのイベントを一緒にやるのはムリでしょう。大橋あかねさん作の「エノキダニョッキ」のぬいぐるみストラップ(1500円)を買う。ミニコミ『きのこる』で連載しているマンガのキャラクターだとか。大橋さんと、この展示の企画者の福本浩子さんと話す。福本さんとは7年ほど前、京都の〈ギャラリーそわか〉でミニコミ展をやったときにお目にかかっている、はず。


駅で『ぐるり』の五十嵐さんと待ち合わせ、〈グッドマン〉へ。〈円盤〉の近くだった。行きがけに、屋台で飲んでいる渋谷毅さんに会う。「富樫雅彦さんが亡くなりましたね」と話す。まだ67歳だった。ブラバンでパーカッションをやっていた中学校のとき、富樫雅彦は偉大なる先輩だった(高校生のときは仙波清彦)。


「狭いから早めに行きましょう」という五十嵐さんの言葉通り、〈グッドマン〉は10人入るといっぱいになる店だった。そこに15人ぐらい入っていたので、酸欠状態に。渋谷さんのソロで開始。松倉如子と渋谷さんの組み合わせは、今回は初めて。まだ慣れてないカンジはあるが、渋谷さんのピアノに乗った松倉さんの歌は、渡辺勝さんとのときとは印象がかなり違ってくる。これは、松倉さんの新しい方向かもしれない。休憩を挟んで10時すぎまで。


店を出ると、阿波踊りのタイコの音。本番は明日なのに、前夜祭から盛り上がっているようだ。御茶ノ水で千代田線に乗り換えて、千駄木で降りる。地上への階段を上がろうとしたら、途中にヒトが溜まっている。急に大雨が降ってきたのだ。近くだからと外に出るが、ものすごい勢いの雨にびしょぬれに。なんとか駆け上がり、ウチに入って濡れたものを乾かす。旬公は、講談社の若手編集者と麻布十番でモヒートを飲むとかで、夜中まで帰ってこなかった。まさかとは思うが、酔っていい気分になって、若い連中を「新しいおっぱいをつくる会」に勧誘したりしなかっただろうな。