根岸線で古本市へ

kawasusu2006-09-30

8時半起き。さっさと準備してとっとと出る。東京駅で東海道線、横浜で根岸線に。港南台に着いたのは10時半頃。ちょっと迷って、山手学院に到着。今日明日は学園祭だ。入り口から食べ物の屋台がやたらと並ぶ。衛生がどうとかで屋台を出させない学校も多いナカ、こんなに盛んなのはいまどき珍しいのでは? 古本市は11時からというので、おにぎりを買って休憩所で食べる。


11時に、少し離れたところにある図書館へ。もう客が群がっている。本を詰めたケースを床にじか置きしているので、ちょっと見にくい。単行本100円、文庫・マンガ50円。開成に比べると、本の数が少なく、ほとんどが最近のモノだ。それでも、武藤康史編『林芙美子随筆集』(岩波文庫)、巌谷國士『ヨーロッパの不思議な町』(ちくま文庫)、スティーブ・ジョーンズ、友成純一訳『鍵穴から覗いたロンドン』『恐怖の都・ロンドン』(ちくま文庫)など、50円なら掘り出し物の文庫が7冊買えた。松本零士の戦場まんがシリーズ『衝撃降下90度』(小学館)も50円とは安い。ほかはナンにも見ずに、学校から出る。前に取材のときに行った、大通りの〈こうなん〉で「こうなんソバ」を食べる。山菜を載せたあんかけ風のラーメン。けっこうウマイ。


根岸線で東神奈川へ。久しぶりの反町古書会館。ほぼ2年ぶりじゃないのか? ココの2階も使った規模での古書展が好きだったのだが、その頃から1階のみになり、目録も発行しなくなったので、足が遠のいたのだ。それでも、公園の端から「古書市」ののぼりが立っているのを見ると、心が躍る。入り口の前で、古本屋さんが数人休憩していたが、その一人が肩に大きなネコを乗せていた。なんで? 会場を一回りするが、うーん、残念ながらボウズであった。京浜東北線で帰る。途中、眠ってしまい、快速なのを忘れて、田端まで行ってしまう。田端から坂をぶらぶらと下ってウチに帰る。『路上派遊書日記』を献本した奥成達さん、藤本和也さんからハガキ。藤本さんはイラストも描いてくれた(図版参照)。10/8(日)14:00〜〈よるのひるね〉で行なわれる「アックスフリマvol.3」に参加して、イラストを売るそうだ。それと、書き忘れていたが、一昨日、編集工房ノアの涸沢純平さんからもハガキをいただいている。


筑摩書房から手紙が来たので、なんだろうと思ったら、「〈狐〉山村修さんを送る会」の案内だった。日時を見ると、ナンと明日だ。明日は朝から夜までいろいろあってムリだなあ。残念。ご遺族宛に献本したので、筑摩に連絡してくださったのだろう。陰ながら、ご冥福を祈らせていただこう。


〈古書ほうろう〉で、「秋も一箱古本市」のポスターを受け取ろうとしたら、ナカムラ&イシイが今出たところだという。〈まある〉の前で会い、十数枚受け取る。旬公と〈結構人ミルクホール〉に行き、コーヒーを飲む。棚にあった千原ジュニア『題と解』(太田出版)という、インターネット投稿ネタの本を見ていたら、微妙なおかしさに顔がゆるむ。静かさがウリの店なので、笑い声も立てられないし、一瞬苦しかった。晩飯は、塩ジャケを焼いたのと、タケノコの味噌汁、シラス。


東京新聞の土曜朝刊に連載されていた、冨田均「坂道を歩こう」が150回で終了。3ヶ月ほどまでに同紙を購読し始めてから、愛読していた。最後は冨田氏が「喪山」と呼ぶ上野台地の北端、赤羽の稲付城跡の坂を歩く。ヨコにこの連載をまとめた『東京坂道散歩』(東京新聞出版局)の広告が。コレは買わねば。気になるのは、「120の坂を紹介」とあることで、連載の全部じゃないのだろうか? 冨田均が読みたくなり、『住所と日付のある東京風景』(新宿書房)を取り出す。


今日も朝から持ち歩いていた、小谷野敦谷崎潤一郎伝 堂々たる人生』(中央公論新社)を読了。「たまたま作家であった一人の興味深い人物である谷崎を描きたかった」(まえがき)という意図は、充分に成功していると思う。最初の妻・千代の妹であるせい子(数えで16歳)に谷崎が惚れ、彼が脚本を書いた映画《アマチュア倶楽部》に主演させた(芸名は葉山三千子)とか、谷崎のところに編集者として催促に来た作家の古木鐡太郎が、千代の末妹のすゑと知り合い結婚したとか、『蓼喰ふ蟲』の連載担当者が、カフェーなどの社会現象について書いた村嶋帰之だったというような、谷崎をめぐる人間模様がじつにオモシロイ。精二以外の妹弟や、二番目の妻・丁未子のことなどは、本書ではじめて知った。もちろん、「ゴシップ風でもいいではないか」というように、谷崎本人の嗜好・性癖にも特有のねちっこさで迫っており、覗き見的な興味も充分満たされる(性的な面については、かなり大胆な推測も)。エッセイだとちょっと色気に欠ける文章(「しかし」が続けて二回も出てくるような)も、一月一月、一年一年と谷崎の生涯をたどっていく本書の構成には、むしろマッチしていて、ぐいぐいと読ませる。多くの文献を参照しているが、その何冊かを読んでみたくなった。


『路上派遊書日記』、アマゾンとbk1にデータが載りました。まだ入荷していないようで、どちらも24時間発送にはなっていませんが。書店への配本は10月2日(月)なので、並ぶのはその日以降になります。〈東京堂書店〉と〈書肆アクセス〉には、2日の午前中には確実に並びます。両店ともサイン本をご用意してあります。いちばん早く買えるのは、明日の早稲田青空古本祭と、18時から〈古本酒場コクテイル〉で行なわれる「オヨちゃんとモクローくんの古本ジェットストリーム」にて、であります。どうぞよろしくお願いします。明日に備えて、今日は早寝しよっと。


東京坂道散歩―坂道上れば昭和がみえた

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谷崎潤一郎伝―堂々たる人生

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路上派遊書日記

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