攻めるマーガレットズロース

午前中に『赤旗』の書評を書く。今回は田中啓文『ハナシがうごく! 笑酔亭梅寿謎解噺4』(集英社)を。『Sanpo magazine』でインタビューさせていただいた縁もあるが、ほかの候補本はどれも面白いものの、いざ書くとなるとポイントが絞りにくいものが多く、消去法でこの本になった。ちなみに、選ばなかったのは堂場瞬一『虚報』(文藝春秋)、新井素子もいちどあなたにあいたいな』(新潮社)、井上夢人魔法使いの弟子たち』(講談社)、北森鴻『うさぎ幻化行』(東京創元社)など。新井素子は7年ぶり、井上夢人は9年ぶりの長篇というコトで期待しすぎたか、両書ともラストに肩透かし感があった。北森鴻のは生前最後の長篇で、なにか鬼気迫るものがあったが、それをうまく書けそうになくて。


2時に出て、いつものうどん屋なめこ温玉ぶっかけ。郵便局に寄ってから、千代田線に乗る。鶴川から学バスに乗り、和光大学へ。ことしもこれから3カ月間の週1通勤がはじまる。新しくできた棟のメディア室でオリエンテーション。今年から許可科目になったので、思いっきり人数を絞るつもりで行ったが、時間が遅いせいか30数人しかいなかった。これぐらいなら何とかできそう。簡単な課題を書かせる。


鶴川まで歩き、小田急線で下北沢、井の頭線で新代田。初めて降りる駅。駅の正面にあるはずのライブハウス〈FEVER〉が見つからず、ちょっとウロウロ。ネオンを見つけて入る。マーガレットズロースのイベント「世界は変わる」。中に入ると、スタンディング仕様のレイアウトで若い女の子ばっかり。テーブルの横で、寄りかかるところがあったのでまだましだった。こういうトコロに一人で来ると、はじまるまでが手持無沙汰だ。


最初の出演はtabacco juice。男性4人のバンド。はじまると女の子たちがドドーッと前に押し寄せて踊りはじめる。一曲の中にさまざまなリズムがぶちこまれた、変幻自在の演奏。それにストレートな歌がかぶさる。ボーカルの声質はマガズロの平井さんにちょっと似てる。熱狂のうちに前半が終わり、休憩の後、マーガレットズロース。さっき前にいた連中がさーっと後ろに引いてしまい、なんとなく距離を置いて見ている。やりにくいだろうなと思ったが、若いバンドに対抗するように平井さんは押しまくり、前に人を集めていたのはさすが。今回、新しいギタリストが加わり、4人編成でひたすらロックンロールしていた。全編「攻め」の姿勢での演奏で、はじめて聴く曲も多かった。次のアルバムへのステップがすでに始まっているようだ。アンコールは二度あり、二度目には三人でやったが、その「いつもの感じ」もすごくいいのだった。


終わって、ライブハウスの入っているビルのカフェで待ってくれていたNEGIさんと会う。自宅が近くなので、よかったら飲みましょうと誘っていたのだ。しばらく歩き、代田橋駅の近くの立ち飲み屋(といっても椅子があったが)へ。夜中2時までやってるという店。ハイボールやシークワーサーサワーを飲み、いろいろ話す。世代が近いし、読書経験もかなり重なっているので、一発で話が通じるのが気持ちいい。もっと話したいところだったが、12時前に別れて、京王線で新宿。西日暮里に着いたのは12時半だった。