勝田文はいいぞ

朝、「早稲田古本村通信」の原稿を書く。謎の「ガウディ・マンション」について。午前中は仕事場で、台北ブックフェアの件など。2時半に出て、神保町へ。〈岩波ブックセンター〉で、Yさんと待ち合わせ。S社の取材。受付で、編集の徳山雅記さんに会う。大学に入った年、『本の雑誌』の配本部隊(無給アルバイト)で出会って、高円寺のアパートによく遊びに行った。写真が好きで路上観察をずっとやっていた。S社ではその執拗なオタク心をいかして、数々のヒット企画を実現しているヒトだ。


まず、資料室の別室に案内してもらう。戦前から現在までの雑誌のバックナンバー、子供向け百科事典や図鑑、コミック、一般単行本などが開架されている、スゲエ部屋だ。ココで一日過したいなあ。そのあと本社に行き、3人の方から話を伺う。ビックリするハナシをいくつも聞いた。6時過ぎに終って、〈高岡書店〉を覗いてから帰る。


ウチに一度戻り、自転車で出る。昨日、ウチから歩いて30秒のところに〈ファミリーマート〉がオープンした。店の前は開成学園の生徒が溜まっている。田端新町の〈神谷酒場〉へ。ビールとチューハイを飲み、さっと出る。適当に走っていたら、どこなのかゼンゼン判らなくなってしまった。この辺りは似たような道が多いので。〈ブックマーケット〉で、『悪趣味洋画劇場』(洋泉社)、ロドリゲス井之介『ぴんちら』第1巻(実業之日本社)などを買い、スーパーに寄って帰る。


数日前から読んでいた、勝田文(かつたぶん)の『あのこにもらった音楽』第1、2巻(白泉社)と『あいびき』(集英社)を読了。『YOUNG YOU』でこのヒトのマンガ(これが『あいびき』だった)を読んで、銭湯が舞台であり、ほんわかとしたムードが気に入った。しかし、恋愛ものではないし、読者の受けも悪かったんだろう。3回だけで終ってしまった。なんだったかで、検索していたら、単行本が出てることを知り、書店で探したが見つからず、アマゾンで注文したというワケだ。デビュー作の『あのこにもらった音楽』は旅館が舞台になっている。主人公がピアノを弾いて、その曲名がストーリーに関わっている辺りは、『のだめカンタービレ』にちょっと似てる。『あいびき』(銭湯が舞台なのにナンでこのタイトルなのか、2回読んでも判らない)に収録の短篇もよかった。地味な作風だけど(だから?)、ぼく好みのマンガである。


林哲夫さんの日記(http://www.geocities.jp/sumus_co/daily-sumus0501.html)を見て驚く。「『雲遊天下』38号。『BOOKISH』の初代編集長・鵜戸口哲尚氏が亡くなったとある」とのこと。まだこの号が届いてないので、どうして亡くなったかは判らない。お会いしたことはなかったが、『BOOKISH』の創刊前に、電話で取材したコトがある。後ろでお子さんの元気な声がしていたのを覚えている。ブコウスキーの著作の訳者でもあった。ご冥福をお祈りします。