出雲からはじまる

今年最初の日記です。年末は30日に出雲に帰省し、4日の最初の便で東京に戻ってきた。その間、パソコンは持っていったものの、日記は書かず、ネットには接続せず、メールも送受信しなかった。けっこう、何の不便も感じないものである。その間、出雲で起きたコトは……。

★松江の老舗古書店〈ダルマ堂書店〉が12月31日で閉店(道路拡張のため)。高校生の時から、松江に行くたびに通っていた店なので、残念。どうにか最終日に行くことができた。店内は昔からの常連で満員。探していた、朝日新聞松江支局編『旧制松高物語』(今井書店)ほかを買えたのは、いい記念になった。オヤジさんと話すと、ネット専門にするつもりだったが、お客さんの店舗への思い入れが強いので、店舗での再開も考えているとのこと。

★実家のある場所に道路が通ることになり(どこもかしこも道路ばっかり! 土建屋王国である)、隣に新しくウチを建てることになった。今回帰ったら、棟上げまで終わっていたので、ビックリ。70歳を越えた父親は、自分で建てる(大工なのです)最後の新築ということで、張り切っている。今年6月までには引っ越しを終えるというので、その前に手伝いに行かなければ。庭の書庫もクレーンで移すらしいが、本は一度外に出さねばならず、ユウウツ。

★正月はわれわれ夫婦のほか、次男一家も一緒だった。9歳のシンタロウと6歳のユウキは、口がよく回る。ぼくなんかしばしばやり込められる。「おっちゃん(いつの間にかこう呼ばれている)は何の仕事してるの?」というご質問あり。義理の父と同じく、「本を読むのが仕事だ」と答えておいたが、納得する様子はなかった。

★三が日は、本を読んだり、ゲラをちょっとだけ見たり、昔のテープを聞き返したりして過ごした。2日は歩いて1キロ以上あるファミレスまで行って本を読み、3日もジャズ喫茶(〈味巣亭〉という店)で過ごした。車に乗らない人間は、田舎では暮らしにくい。そういえば、出雲大社への初詣は行かずにすませてしまった。

出雲市松江市も、ロードサイドの発展とそれに反比例しての中央部の廃墟化がいちじるしい。駅の周囲なんて、昔の面影がまったくない。無惨な街になっている(駅通りの〈三島書店〉が消滅していたのもショック)。これは土建屋王国・島根だけの現象ではナイはずだ。誰か、全国の地方都市の「シャッター通り」の研究をやってくれないだろうか。もっとも、ロードサイド発展のおかげで、書店・新古書店の数は増えた。宅急便を出しに行ったついでに、新しくできた〈ほんだらけ〉に5分だけ寄ったけど、古い文庫が大量に置いてあって使えそうな店だった。


今日は12時前に仕事場へ。年賀状数十通。年末にやり残した連絡や、メールの返事、今週来週の対談、座談会の準備など。夜は、南千住でヒトと会うことになっている。日記を書くのは久しぶりなので、感じがつかめず、今日はこの程度にしておこう。みなさん、今年も「ナンダロウアヤシゲな日々」をヨロシクお願いします。