草64のバスに乗って

子どもの頃から、日記はつけたりやめたりの繰り返しだが、つけている時期は、日記に書き漏らしたコト、書ききれないコトがあるのがイヤで、記録魔みたいになってしまう。次の日になっても、前の日の出来事を思い出したりして、書き加えたりする。当然、それはそんなに続かず、何も書かない日が続くと、書き落としたことのあまりの多さに、再開するコトができなくなってしまうのだ。だから、このblogの日記も短いほうが続くハズなのだけど、久々に毎日日記を書いてみるとどうも一日の記述が長くなってしまう。


午前中、〈古書ほうろう〉へ。7月末から三週間行なわれる予定の「第一回モクローくん大感謝祭」の打ち合わせ。南陀楼関係のミニコミや、モクローくんグッズ、そして古本や紙モノを販売する。イベントもやる予定。詳細決まったらココでお知らせします。


〈西村医院〉(美人の女医さんに会えずに残念)で薬をもらい、池袋行きのバス(草63)に乗る。上池袋の停留所で、何気なく左を見て、〈長野屋酒場〉というボロボロの看板を発見。『下町酒場巡礼』に出てきたあの店だ。すでに廃業している。何度となくこの道を通っていたのに、なぜか気づかなかった。車中、中野朗さんからいただいた『山口瞳通信』1〜3号をパラパラ。次号への原稿依頼をいただいたが、ぼくにとって山口瞳はあまりにも縁遠いヒトなので、受けようかどうしようか悩む。とりあえず、池袋に着いてから〈光芳書店〉で『礼儀作法入門』正・続(新潮文庫)を、〈リブロ〉東池袋店で『諸君! この人生、大変なんだ』(講談社文庫)を買ってみたりして。


新文芸座〉で中島貞夫特集。今日は、千葉真一主演の《東京=ソウル=バンコック 実録麻薬地帯》(1973)と、《さらば、わが友 実録大物死刑囚たち》(1980)。前者は、各国でロケしてる。菅原通済原案とあるが、どんなアイデアだったのやら。やたら出たがりなのか、本作でも出演している。耳毛がすごい。最後に出てくる川谷拓三は、大企業の社員役なのにどうみてもいつものチンピラ(笑)。後者は期待せずに見たが、面白い。主演の 磯部勉は知らない役者だが、堂々とした演技。帝銀事件の平沢貞通や三鷹事件の犯人などと一緒の死刑囚の収容棟での物語。


終って、グリーン大通りから、浅草行きのバスに乗る。いつも乗っているのとは違い、王子を通るやつだ(草64)。初めての路線に乗るときは楽しい。田端新町二丁目(だったかな)で降りて、〈神谷酒場〉にちょっと寄る。先客は一人だけ。デンキハイボールとにら玉。田端に出て、〈ブックマーケット〉で東直己の新作を見つけて買う。JRで帰る。


夜は小沢信男さんにいただいた湯島〈デリー〉のカレー。映画は《チャリング・クロス街84番地》(英、1986)。出演は、アン・バンクロフトアンソニー・ホプキンス。ロンドンの古書店の店員とニューヨークに住む本好きの女性(脚本家)とのあいだで取り交わされた書簡をまとめた本が原作。アン・バンクロフト演じる率直な独身女性がとてもイイ。書き込みや献呈がされている本が好きで、その人の読んだ跡をたどっていくのがいい、という意見には、古本好きならみんなうなづくだろう。未読のままの原作を読む気になった。


原稿を少し書いたり、〈海文堂書店〉のスムースフェア用にPOPを書いたりしていたら、1時になった。最近、夜が深まるのがすごく早い気がするなあ。


【今日のしおりページ】小田扉団地ともお』第2巻、小学館
25ページ ともおが、『走れメロス』のどこが好きかと聞かれて、「メロスが急いで走ってく時、犬を蹴っ飛ばすところとか…」と答える。そんな場面あったけなあ?