調子っぱずれの一日

夜中に蚊の羽音で目が覚める。すでに何か所も刺されまくっている。殺虫剤撒くけど、効果あったかどうか。だいたい網戸をしているのに、どこから入り込むのか。今年は例年よりよく刺されている気がする。

そんな感じで寝不足のまま、8時起床。日記を書いてから出かける。すでに暑い。渋谷駅から〈ユーロスペース〉までが遠く感じる。エドワード・ヤン監督『台北ストーリー』(1985)観る。主人公のカップルのうち、男は映画監督のホウ・シャオシェンが演じている。最初、熱の感じられない二人の関係に、台北の都市の無機質な表情が重なって引き込まれるが、途中から眠くなってしまい、その後は寝たり起きたりで、寝ぼけ半分で観てしまう。目が覚めると似たようなシーンで、また眠くなったりして。なので、ラストの意味とか、エンディング曲がなぜド演歌なのかとかも、判らなかった。いつかもう一度観よう。

外に出て、道玄坂の方へ歩く。なんとなくラーメンが食べたくなり、どこにしようか探しつつ歩くが、横道の奥の方に「ちゃんぽん」という古い看板が見えたので、〈長崎飯店〉に入る。このあたりは以前から歩いているが、こんな店があるとは知らなかった。人気があるらしく、奥まで満席。女性二人組と相席に。ちゃんぽんと小ライスのセット。うまい。前の女性の片方が最近見たお笑い番組の内容を、見ていないもう片方に説明するのを聞かされるという地獄のような時間だった。

駅に戻り、地下に入るが、副都心線まで歩きそうなので、銀座線に乗ろうとすると、地上2階まで階段を上がらなければならない。電車に乗って、赤坂見附丸ノ内線に乗り換えて新宿御苑前駅。ここから歩いて5分ほどの原書房へ。すっかり汗だくになり、水をもらう。20冊ほどサインを入れる。駅まで戻り、こんどは霞が関で千代田線に乗り換えようとするが、ここでもかなり歩く。西日暮里駅に着いた頃にはかなりへたっており、家までの十数分がきつかった。

少し休憩して、久しぶりの立石で久しぶりに会う友人と飲みに出かけるはずだったが、体がだるくて起き上がれず、延期してもらう。シャワー浴びて3時間ほど眠る。ちょっと元気になり、ネギトロ丼とハマグリの味噌汁で晩飯。

『町を歩いて本のなかへ』を贈った大村彦次郎さんから、葉書をいただく。「早稲田の青春とその界隈のこと、〈俗研〉の話など面白く拝見」とあり、「小生も53年東映の『早稲田大学』では大隈講堂前で角帽に学生服姿でエキストラに参加しました」という証言をいただく。

夜になっても気温が下がらないのでエアコンかけたまま寝るが、蚊が飛び回っているような感じがあり寝付けない。3時過ぎにごそごそ起きだして、書類をちょっと手直ししたり、日記をつけたりする。なんだか、調子っぱずれの一日だった。