藤沢から横浜へ

朝8時半起き。飲みすぎか、少し頭が痛い。今日のインタビューのメモをまとめて、12時過ぎに出る。山載せて銭で東京駅、東海道本線。座れたので車内で少し寝る。藤沢には1時半に到着。早めに着いたので昼飯食べようと思ったが、待ち合わせの喫茶店が見つからずうろうろ。時間なくなり、駅のそば屋でタヌキそばをかきこむ。駅の隣のビルだと判って、時間通りに行けた。

宮田昇さんと創元社の編集の方と待ち合わせ。宮田さん、90歳近いというのにお元気で、話も記憶もしっかりしている。もう20年近く前に『季刊・本とコンピュータ』にエッセイを書いていただいたときにお目にかかって以来か。今日は『サンデー毎日』に掲載する『昭和の翻訳出版事件簿』(創元社)についてのインタビューだが、以前から宮田さんの本が好きで、改めて読み直したりしたので、戦後の翻訳出版や編集者についてあれこれお聞きする。お会いできてよかった。

大船まで東海道本線、そこから京浜東北線石川町駅。改札で待っていると、星羊社の星山・成田夫妻が登場。こないだまで成田さんの実家の青森に帰っていたそうで、青森話をいろいろ聴く。このあとは『はま太郎』の取材で、寿町で9月1日から公演する水族館劇場を覗いて、山手方面に歩き、古本屋に寄って、最後は山手駅前のレストランに落ち着く。意外な発見があり、楽しい取材行になった。

10時前に解散して、京浜東北線で帰る。「乗り過ごさないでくださいね」と云われ、「そんなに酔ってないから大丈夫だよ」と返事したのだが、上野あたりで眠くなって、気がついたら東十条だった。慌てて下りて、田端まで戻った。

新潟の〈シネ・ウインド〉が出している雑誌『ウインド』9月号で、〈北書店〉店長の佐藤雄一さんが拙著『町を歩いて本のなかへ』(原書房)を紹介してくれました。7年前、私が新潟を訪れたときのことをふりかえっています。

東京を語る

朝8時起き。仕事の本を読む。夕方、〈古書ほうろう〉へ。レッジプレスの五十嵐さんと待ち合わせ、〈やなはじ珈琲〉で打ち合わせ。6時半にほうろうに戻る。

7時半から、南陀楼綾繁×吉上恭太×山川直人トーク「東京で語ること、歌うこと、描くこと」。お客さんは20人ほどか。少ない分、リラックスして話ができた。もっとも、私は今回、恭太さんに司会を頼んだので、全体の進行を意識せずに自由に話せた。開演前からビール飲んでたので、途中、どうしてもおしっこが我慢できずトイレに行ったりする。「東京で」という部分でどれだけ話ができたか判らないけど、最近考えていることは大体話せたかな。

云い忘れたこと。会場に来たお客さん限定で、「東京的新聞」というフリーペーパーをつくった。三人がそれぞれ、他の二人について短い文章を書き、こまものやさんの題字とイラスト、原書房Hさんのレイアウトの協力を得て完成したもの。このタイトルは、関川夏央山口文憲の『東京的日常』(ちくま文庫)から思いついた。2人の中年男がファミレスで、愚痴めいた話を延々しているのが良かった。もっとも、あのときの二人はいまの私よりもずっと若いはずだ。

後半では、恭太さんの発言をとらえて、なめらかにRYUTistの紹介をぶち込み、その流れで『柳都芸妓』から「夢見る花小路」をかける。おおむね好反応。あとで知ったのだが、その頃、新潟ではとんちピクルスさんのライブを、RYUTistのともちぃが聴きに来て、一緒に写真撮っていたのだった。これが共時性というやつか?

終わった後は、店内で打ち上げ。そういえば、ほうろうでトークをするのは、2年ぶりなのだった。なんか楽しい。解散して帰宅したのは、1時頃だったか。

善行堂のち埴原一亟

朝8時半起き。残りの刺身で漬け丼。今日は涼しくてありがたい。11時前に出て、吉祥寺へ。北側に歩いて10分ほど、夏葉社の事務所へ。ここに移ってからははじめて。京都の〈古書善行堂〉が出張販売するのだ。長蛇の列になっているかなと思ったら、5人ほどだった。しばらく待ち、12時にオープン。棚4面ほどの量だったので、さほど押し合いせずに見ることができた。さすがにいい本が多い。

吟味して、3冊買う。田辺福徳『本と珈琲』(私家版)は、北海道大学医学部の医師が体感記念に出したもの。趣味の古書集めについて書いたものだが、「古本の小包」「左川ちか詩集」など興味深いタイトルが並ぶ。決め手になったのは「寿多袋」で、これは酒井徳男発行の趣味誌のこと。田辺氏はその誌友だったのだ。「何だが【ママ】、酒井さんが粋がるために出した雑誌に、劣しい財布をはたいて財政援助をしているような気がした」と本音も漏らしている。装丁はみすず書房の本を参考にしたと思しき、シンプルなもの。3500円とちょっと高めだったが、手元に置いておきたくて買う。

ほかに、野田宇太郎『桐後亭日録』(ぺりかん社)600円。目次を見てエッセイ集かと思って買ったが、あとでよく見ると日記本だった。もちろん、そっちのほうが嬉しい。もう一冊、『近松秋江研究』第2号を500円で。買わなかったが、『天文台日記』の石田五郎の追悼文集もありちょっとほしかった。帳場に座る山本善行さんに、『埴原一亟 古本小説集』にサインをもらう。埴原の文章の一説を書いてくれた。岡崎武志さん、古ツアさん、ますく堂など知った顔多し。

駅のほうへ戻り、〈百年〉が出した新しい店〈一日〉へ。ギャラリーや限定本、リトルプレスなどを中心に置く店で、店内の古本の量はさほど多くはない。しかし、奥のガレージに入ると、いい本が多く並んでいる。この20年ぐらいのリトルプレス、ミニコミが多いのもいい。読売新聞社編『建築巨人 伊東忠太』(読売新聞社)買う。

パルコの地下の〈パルコブックセンター〉。ここに入るのは数年ぶりか。地下に降りていく感じが変わったなと思ったら、エスカレーターの向きが逆になっていた。こんな変更することあるんだ。夏葉社であった人から、岡崎さんのパネル展をやっていると教えてもらったが、それらしいものは見つからなかった。

新宿経由で田端へ。〈ときわ食堂〉に入ると、ラストオーダーの時間。ちょっと飲んで、定食を食べる。田端図書館に行き、新聞の書評欄を眺める。あとは仕事の本を読む。

帰宅して、パソコンの前に座り、ふと右奥にある本棚に目をやると、この数日探していたが見つからなかった埴原一亟短篇集『一国一畳ぼろ家の主』(栄光出版社)があるではないか! さっきも夏葉社で「これ持っているんだけどなあ」と云って、古ツアさんに「どうせ床に落ちてるんでしょう」とからかわれたところだ。よかった。これで「持っているのに出てこない」詐欺じゃなくなったぞ。買ったままになっていた『一国一畳ぼろ家の主』を手に取ると、状態も良く、900円で買っていた。しかも、見返しには埴原のサイン入り。鉛筆で書いているのがこの人らしいというべきか。

夜は録画しておいた『鳥人間コンテスト』。昨年も見たけど、妙に好きなんだよな。事前撮影してある要素と、コンテストの中継とのバランスもよく、ずっと見ていられる。

出かけない土曜日

朝8時起き。〈往来堂書店〉のメルマガの原稿を書いたり、本を読んだり。午後から、志津で開催される古本市を覗きに行くつもりだったが、連絡することが結構多く断念。今日は一日、どこにも出かけず家にいた。夜は『ゴッドタン』のゴールデン3時間半特番を、珍しくリアルタイムで見る。

それが終わってから、radikoプレミアムで「ようこそ夢街名曲堂へ!」を聴く。土橋一夫・長門芳郎がMCの音楽番組。ゲストはRYUTist。1時間たっぷりゲストの曲と話を聴かせてくれる番組。パーソナリティの土橋一夫さんの的確な進行が心地よく、長門芳郎さんの音楽に関わる人への敬意が伝わる語りが素晴らしい。長門さん、「アーケード街さんのステージさん」って云ってた(笑)。音楽好きに向けての『柳都芸妓』入門編になっている。作り手の意図を見抜く解説はさすが。メンバーも楽しそうに話してました。

そのあと、布団の中に入るが寝苦しく、RYUTistの動画をあれこれ見ていたら4時過ぎになってしまう。やばいな、これは。

「読んで、書いて、食べていく」

イベントのお知らせ。

◎テーマ:「読んで、書いて、食べていく」
ライター生活およそ四半世紀のなかで見えてきたもの、変わってゆくこと、そしてこれからどうする?!
◎出演:岡崎武志×南陀楼綾繁
◎日時:2017年9月18日(月曜・敬老の日)/13時30分開場
14時スタート(1時間半くらい)
◎場所:夏葉社
東京都武蔵野市吉祥寺北町1-5-10-106
◎参加費:1500円
◎参加ご希望の方は下記へ9月16日までにメールでお申し込みください。
会場スペースの関係で先着15名様までとさせていただきます。
原書房 編集部・百町(ヒャクマチ)
hyakumachik☆(☆→@gmail.com

★夏葉社新刊『埴原一亟 古本小説集』を会場で販売します。

フリーランスのライターとしてどう生きてきたか(いるか)を語り合います。岡崎さんはライター生活25年、私も編集者から数えると同じぐらいです。岡崎さんはともかく、私はいまなお「食べていく」ことが高いハードルです。なので、多少の愚痴はご容赦を。岡崎さんブログで私とのトークは初めてと書いてますがそれは嘘です(笑)。『読書の腕前』のときにやってますよ。広島の路面電車の中でもやっているし。あと、テーマを決めてから夏葉社を会場に借りたのですが、その新刊が『埴原一亟 古本小説集』というのも何かの引き合わせかもしれません。身につまされながら読んだので、この本の話もしたいです。限定15名です。お早めに。

朝8時半に郵便局から荷物届く。実家からの梨。豚まん。連絡いくつか終えると、やたら眠くなり二度寝。昼はチキンラーメン。1時に谷中の某店で取材。これから二週間ほどで数店を取材して原稿を書くことに。今日も暑い。家に戻り、取材予定を組む。

夜は〈古書ほうろう〉で、和氣正幸『東京 わざわざ行きたい街の本屋さん』(GB)刊行記念のトーク谷根千の本屋ということで、ほうろうの宮地さん、往来堂の笈入さん、タナカホンヤの田中くんが出演。後ろのほうで聞く。さすがに知らない話はなかったが、改めて聞くと面白い。いちばんびっくりしたのは、往来堂の斜め前にある〈カフェ・ド・クリエ〉が8月いっぱいで閉店とのこと。タバコ吸う人を中心に常連の多い店なので、なくなると困るだろう。店員が客のおばあさんと普通に世間話していたりするのを見るのは、好きだった。ただ、料金の安いチェーン店なのにあまりにも常連ばかりだったところに、難しさもあったのではないか。

ヴィスコンティと埴原一亟

ホテルで8時起き。テレビのニュースを見ながら出かけようとしていたら、雑誌の編集部から電話で急ぎの確認。無線LAN使えるうちだとPDFやり取りしやすいので、その場でチェックする。元町商店街の〈サントス〉でモーニング。ミニサンドウィッチとコーヒー。1階は常連らしき一人客でほぼ満席。『埴原一亟 古本小説集』の続きを読む。

そこから西に向かって歩き、元町通4丁目の〈元町映画館〉へ。地方のコミュティシネマはビルの中とか、繁華街からちょっと外れたところにあるのが多いが、ここはアーケードの路面にある。上映開始30分前だったが、もう受付が開いていたので中に入る。観るのは、ルキーノ・ヴィスコンティ監督『家族の肖像』(1974)。数年前、日田の〈リベルテ〉でヴィスコンティの『ベニスに死す』を観たときは客は私一人だった。今日も午前中の上映だし、ヴィスコンティだし、客は少ないだろうと思っていたが、あとからあとから客が入ってくる。上映開始時には30人近くになっていたのに、驚く。

『家族の肖像』は、バート・ランカスター演じる老教授が孤独と静寂を楽しむ余生を送っている家に、人間的にも性的にも奔放な人々が住み着くというもの。最初はホラーとコメディ、途中から恋情、最後は悲劇で終わる。『ベニスに死す』もそうだったが、ヴィスコンティは自分の世界を持っているインテリが、異質な世界の美少年に翻弄される話が好きなのだろう。デジタル修復版ということで、きれいな画面だった。途中、ちょっとだけ眠って話が見えなくなったが、面白かった。

外に出ると、次に上映する別の作品のために、客が並んでいてまたビックリ。いいプログラムを組んでいても、集客に悩む映画館が多いのだが、ここはよほど告知に力を入れているのか、地元の映画好きに愛されているのだろう。また、観に来たい。

そこから、北側の坂を上がり、花隈公園の正面あたりにある〈古書ノーボ〉へ。今年3月にオープンしたという。店内は広く、まだ棚を置ける余裕がある。しかし、今並んでいる本だけでも、文学から思想、漫画まで私好み。店主が同世代なのか、エッセイだと荒俣宏、漫画だと吾妻ひでおが何冊も見つかる。読書漫画『バーナード嬢曰く。』の作者・施川ユウキの単行本コーナーがあったりする。加藤政洋『神戸の花街盛り場考 モダン都市のにぎわい』(のじぎく文庫)など4冊買う。http://koshonovo.hatenablog.com

下に降りて、元町高架通の〈サンコウ書店〉の100円均一で2冊買う。並びの〈来々亭〉へ。夫婦でやっている店で、まだ座ってないのに「なんにします?」と聞かれる。まずビールと餃子。小ぶりでうまい。そのあと、ラーメンと焼き飯の定食。おばさんが餃子のたれを「これ、ラーメンや焼き飯にちょっとかけるとおいしいから」と教えてくれる。ちょっと混ぜてみると、たしかに味が深くなる。「お客さんはなんにでもこれかけるよ」とくったくなく笑う。味にも店にも大満足して、会計してもらうと、おじさんが「1450万円」とお約束を云うので、こちらも「じゃあ1500万円」と差し出すと、おばさんが「おつり50円ね」と返す。そこは50万円じゃないんだ。さらに出ようとすると、おじさんが「じゃあ、また明日」と送り出してくれる。いいなあ、この明るさ。

大通りを渡って、正面のビルの2階にある〈レトロ倶楽部〉へ。以前より古本が減って、CDが増えていた。1冊買う。もう一軒、アーケードの中に新しくできた〈読尊〉へ。ビルの3階で急な階段をのぼる。じつは昨日も覗いたが、休みだった。漫画と文庫中心の古本屋。このあと、レンタサイクルで博物館に行こうと思っていたが、照り付ける暑さにそういう気は起きず、〈1003〉に行ってアイスコーヒーを飲みつつ、涼ませてもらう。

ここで『埴原一亟 古本小説集』を最後まで読み終える。7篇入っていたが、どれも素晴らしい。戦前の作品も入っているが、難しい言葉遣いはせず、日常の言葉で書かれているが、そこには生活の実感がある。生活の中で鍛えた言葉というか。いまの小説や雑誌のインタビュー記事などに感じる、いいことを云っているようでどこかツルツルと上滑りしている文章とはまったく違う。埴原一亟のような文章を書きたいと思う。

ひとつひとつの作品に触れると長くなりそうなので、いちばん身につまされた文章を引く。

「赤三はほんとうに自分の生活を考えていた。よりよい生活をするためには、もっと積極的に生活にぶっつかってゆかなければならないと考えた。だが考えられることは考えられても、それをどんな風に具体的にやるかと言う問題になると、夢のような理想ばかりが先走って現実には一歩も進歩していないのだった」(『生活の出発』)

なんかもう、私自身の生活に引き比べて、思い当たるところがありすぎる。島赤三は私だ。勢いで、「これは全古本屋とフリーランスで生きている人全員に必読の小説です。まじに。」とツイートすると、その日のうちに100件以上の反応があった。これは、いま読まれるにふさわしい小説なのだ。夏葉社にとっては第二の『昔日の客』(関口良雄)的な存在になるかもしれない。なってほしい。

2日間世話になった〈1003〉を辞し、同じ通りにある編集プロダクションのくとうてんへ。雑誌『ほんまに』も発行している。Iさんと初めて会うSさんと話す。こういうのをやったら面白いのではということを話すが、さて、実現するだろうか。ホテルに戻り、預けていた荷物を受け取る。本が増えたので重い。

近くの店で豚まんを買い、JR元町駅から三宮で地下鉄に乗り換え、新神戸へ。まだ時間があったので、無線LANのつながるベンチに座り、RYUTistのライブの動画を見る。なんか、ずっと見ていられるなあ。新幹線の中では無線LANがつながらないので、動画は見られないのだ。

のぞみ号は高校の運動部かなんかが集団で乗っていて、満席。ビールとすき焼き弁当。本をちょっと読んであとは眠る。東京駅から山手線で田端。家に着いたのは9時半だった。疲れたけど眠くはないので、DVDで『THE KILLING/キリング』続き。けっきょく4話観てしまい、寝たのは2時。

神戸で取材とワークショップ

朝6時半起き。ベーコンと卵炒めと味噌汁、ごはん。東京駅の構内で土産を買う。8時前なのにもう開いているのは、さすが東京駅。しかし、東海道新幹線の改札前にあった書店が見当たらない。別の場所に移ったか、閉店したのか?

8時半ののぞみ号は満席。二つ隣に座った女性が、「コンセント使わせてください」と云われ、こちらも使うんだがと思ったら、ちゃんと二股のタップを用意していた。車内では『埴原一亟 古本小説集』の続き。たんに書かれている内容が面白いだけでなく、その描写や主人公の心情が胸に迫ってくる。一気に読み終えるのが惜しくて、1篇ずつ読んでいる。

11時前に新神戸着。ホームに降りると熱気が押し寄せる。元町に行くには三宮で地下鉄に乗り換える。たいした時間じゃないけど、それがめんどくさくて、バスに乗ることに。観光案内で聞いて乗り場に行くと、いま目の前を出発したところ。ベンチに座って15分ほど待って、次のバスへ。シティループバスといい、主要な観光スポットを回る。中には女性の車掌もいる。

元町の大丸前で降りて、中華街へ。そういえば、横浜も元町と中華街が近くにある。たんなる偶然だろうか? 横浜もそうだが、中華街でどの店に入るか決めるのは、ある程度知ってないと難しい。表通りは諦めて、横丁の店を見てみるが、なかなか入りたいと思える店がない。結局、中華街を出てすぐの通りにある〈志奈乃〉といううどん屋へ。広い店だが、客がたくさん入っている。うどんと牛丼のセット、600円を食べる。だしがちょっと辛めだったが、うまかった。

そこから10メートルほどの〈1003〉へ。今日は定休日だが、ここで二つ用事がある。店主の奥村さんとコーヒー飲みつつ、雑談交じりの打ち合わせ。2時にNさんが来て、この方が長年出されているミニコミについてのインタビュー。現物もたっぷり見せてもらい、いい話が聞けた。最近お会いしている人に共通する要素として、この方も「いまの視点で地域の歴史を掘り起こす」活動を続けている。『ヒトハコ』2号に掲載予定だが、ほかの記事がまだ固まってないので、急がないと。

新刊で並んでいた、西秋生『ハイカラ神戸幻視行 紀行篇 夢の名残り』(神戸新聞総合出版センター)と『夢幻小説集 神楽坂隧道』(西秋生作品集刊行委員会)を買う。筒井康隆主宰の同人誌『ネオ・ヌル』に参加していたSF作家だそうで、どちらも没後に刊行。前者は大学の同級生の戸田勝久さんが装釘している。後者には眉村卓高井信かんべむさし、堀晃らの追悼文を収録。「名張人外境」の中相作さんとも同人誌仲間だったようだ。


元町プラザホテルにチェックイン。ここは前に泊まったことがあるが、元町駅のど真ん前で便利。少し休憩してから、出かける。適当な中華料理屋に入り、ビールセットというのを頼んで、ワークショップの流れをメモする。〈1003〉に行き、しばらく待つうちに、参加者が集まってくる。神戸以外に大阪から来た人も。

10名に向けて、「ちいさな出版物の『設計図』をつくるワークショップ」をスタート。まず、趣旨を説明し、それぞれがやってみたいことを聞き、作業時間に入り、発表という流れ。何度もやっているので慣れているが、人数に合わせて時間配分をするのが一番大変かな。今回も面白いテーマやつくり方が出てきた。すぐにつくってみせてほしい。

終わって、有志で打ち上げ。ほとんど全員残ってくれた。近くの店が満席ということで、三宮駅近くまで歩く。〈味香苑〉という中国東北料理の店。羊肉の串焼きとか珍しい料理が多く、どれも香辛料がたっぷりなので、ビールによく合う。あとから川浦くんも参加。2年前だったか、神戸の街を案内してくれた若者。いまは映像制作会社に入って、忙しそうだった。

12時前に解散して、ホテルに帰る。ビールを飲みつつ、RYUTistが出演している「タワレコTV」のアーカイブを見る。先日、〈タワーレコード〉各店で行ったインストアライブの模様で2時間近くあるが、カメラも編集も細かいところに行き届いているので、見ていて飽きない。〈北書店〉での「柳書店」のときも感じたが、撮影も音響もベテランの技術があり、しかも心からRYUTistが好きであることが伝わってくる。